決戦の日 17
歴史にifは禁物である。だがもし──
もしここで聖斗が“行く”ことをためらっていたなら、結末はどうなっていただろう?
※
「おおうッ!!」
完璧に準備されて、しかも理論上勝ちはあり得ないと諭されもして──
その上で来いといざなわれて──
それでも──!
超・絶体絶命の境遇で、なおも身体を前へと、未来へと突き動かすエネルギー、“気合い”を一つ吐き出して──
源聖斗──
まるで神仏に向かって祈っているかのようだった。
敬うように真摯に差し出された諸手の突きは、武蔵の喉元に突き刺さり――
<傍点> 聖斗をマネた </傍点> 、武蔵の左手の一刀だけによる、ただ差し出されただけのやる気のない突きは、物理的にもリーチの差で届かず――
「ムサちゃん……ああ……」
武蔵は──
「……」
じろりと聖斗を見て、なんの表情も表さず瞑目する。
そして、ポン、というかわいらしい音をたてて、消滅したのだった──
あとには、喉を切り破かれた人形 <ひとがた> の紙片が一枚。ひらひらと天の高みへと、どこまでも上って行く。
※
「! ! ! ! ッ──!」
言葉にならない歓喜の声をあげて、両手を突きあげて駆けだすチャコ──
その先に──
勝ったのか、負けたのか?
天を見上げる、茫然自失の聖斗だった――
次、終章に続く。ああしんどかった! それぞれの侍のファンのかた、こんな文章をかいてすみませんでした。剣豪同士の勝負なんてオレ書けねえよ。僕にはこれが精一杯。もう、あっぷあっぷ。苦しかった。ヒドイ文章をここまで読んでくれた方に感謝。もうチョットで終わりですよ(笑)。つきあってね。けど、しばらく休みます。ぎゅーーーーっ……。