「ヒーローが活躍した日」 8
そんなチャコのようすを見定めてから、彼女は言った。
「――戻りましょう」
「え?」
シンディが顔を向けた先。それは、今まで旅して来た道。逆戻りの方向だった。
「まさか……」
オサカの都会に戻りたくなった?
「違う違う、誤解しないで。――調査よ」
「……」
シンディはやっぱり甘くなかった。
今日、天草四郎はどこへ行っていたのか?
男たちが言ってたように、もし本当にやっていたのだとしたら、どこで“辻説法”をやっていたのか?
聴衆がいたのか?
いたとしたら、その規模は?
その説法の内容はどうだったのか──すべて確認する。
「──」
チャコ、言葉が出ない。
やっぱり、シンディは甘くなかったのだ。
チャコ、かろうじて。
「今、彼女を追わなくてもいいの?」
「もう彼女は、家に帰るだけでしょう? 有名人のようだから、住居を探すのはわけない。それより、今度あったときのために、少しでも情報を固めときたいの」
天草四郎と再戦する気まんまんだ──!
チャコ、言葉が出ない。
これは彼女、きっついことになるぞ。……大丈夫か?
「行くよ、レッツゴッ!」
「い、い、いぇー……」
容赦なく引きずられるチャコであった。
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