「ヒーローが活躍した日」 7
おもわず苦笑してしまうチャコ。
さらっと置き去りにされてしまった二人だった。
実を言えば、旅の道筋から言うとチャコたちも同じ方向なのだが──追いかけての同道がためらわれる。気まずくもあるし。しぜん、その後姿を見送る格好になった。
なにやらシンディがぶつぶつ言っているが、気にしない。
チャコとしては、シンディから、逃がしてやりたい気持ちの方が勝っていた。
逃げて、お隠れなさい! 何かやりたいことがあったとしても、上手に、ひっそりと、ね……。
──
少し、安心して──
心に余裕ができて──
──
プラチナの頭髪、白いシャツと黒い半ズボン。背に揺れる朱鞘の刀。華奢な体つきの彼女が、だんだんと小さくなる。
──
そのときになって、ようやく気づいたのだ。
「あ……」
「どうかして? チャコ?」
最後の最後になって、チャコは自分の胸にわだかまっていた感覚、もやもやの正体に、ようやく気づいた。
「あの子……以前に、会ったこと、あったっけ……? どこかで……」
あの顔かたち――
──
それは──強い、既視感だった。
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