1/49
「復活の日」 0
式が、戻ってこなかった。
最初、なにか間違いが発生した可能性を考えたものの、今となっては、もう認めざるをえなかった。
式が、自分のコントロールを、自ら振り切ったのである。
「……」
信じられぬ事態であった。が、十分に考えられる事態でもあった。
なんとならば──
あの、式は、あの──
蘇我秀麿を、モデルにしたものだったからである。
「チッ……」
男は一つ舌打つと、事態収拾のため、歩き始める。
「さすがは、わが師匠殿の……」
苛立たしくつぶやきをもらす。
「性格 <キャラクター> の、コピーよ……」
やがて、男の姿は、闇夜に紛れはじめ──
もう一度舌打ちが聞こえ──完全に、消え去った。