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隣の席のホムラさん  作者: えのしぃ
3/5

クッキン女子高生 カン!キン!ほむら!

クッキングジェイケー焔か、このタイトルにするかで39分くらい悩んでました。

「それじゃあ、食料調達開始ね。5分くらいで食べられるようになる食料を探そうか!」

 ホムラがニコニコしながら話す。

「5分!?そんなインスタント食品みたいなもの、この部屋の中にあるのかなぁ?」

 首をかしげながらも、食料を探して辺りを歩きまわるマリコ。調理実習室の食料は、どれも調理をされる前の物ばかりで、即席で食べられそうな物は見当たらない。


「あるよ、5分で調理出来る食材あるよー!」

 ホムラがそう言って、ピーマンとごま油を持ってくる。

「マリコちゃん、まな板!」

「まな板ぁ!?誰がまな板ですって!?」

 マリコはクラスで一番身長の小さい女子であると同時に、胸もクラスで一番小さい女子なのであった。故にまな板という言葉に敏感なのである。


「いや、向こうに置いてあるまな板と包丁持ってきて欲しいなーって意味だよ。」

「あ、そう言う事かぁ......」

 小さい声でそう話すマリコ。照れながら包丁とまな板をホムラの元へと持っていく。

「ありがとうーまなこちゃん。」

「なにそのナマコみたいな呼び方。」


 ホムラはマリコから貰ったまな板を調理台に置き、制服の袖を捲る。そして、コンロの上に置きっぱなしだったフライパンにごま油をしき、コンロを点火する。

「チッチッチッチッチッチチボ!」

 ホムラがニヤニヤしながらコンロの音を声で真似る。

 火がついたのを確認すると、次は包丁を握りピーマンを薄切りにし始める。マリコはホムラの包丁さばきを見て、少し感動した。

「凄い......テレビの料理番組より手際が良い!どうしてそんなに上手なの!?」

「いつも家でやってるからねー。」

 マリコの質問に少し誇らしげに答えるホムラ。


「そろそろかなー。」

 油に火が通ったのを確認すると、フライパンに薄切りにしたピーマンをまな板から流し込む。そして、そのままピーマンを炒める。

「マリコちゃん。」

「なあに?」

「ポン酢と醤油どっちが好き?」

「うーんっとポン酢かなー。」

 マリコがそう答えると、冷蔵庫からポン酢を取り出し、瓶の蓋を開けてフライパンに少しずつ入れる。


「ウチと......青島あおしまさんだったら......どっちが好き?」

「え、なになに急に!?」

 それは料理と全く関係無いよね!?と思いながらも少し考えるマリコ。青島茸実あおしまたけみはクラスで席替えが行われる前に、マリコの一つ前の席に座っていた女子である。よく休み時間や放課後にマリコと話している。


「うーん、どっちが好きとかは選べないかな?」

「そ、そうだよね。」

 そこで会話は終わった。


 フライパンのピーマンを皿に盛り付け、その上に鰹節をかける。ピーマン炒めの完成だ。

「美味しそう!凄いねホムラさん!」

目をキラキラ光らせるマリコ。

「それ程でもないよー。さてと、じゃあこれも出してっと!」

 ホムラはそう言って、バッグからコンビニおにぎりを4つ取り出す。そこから2つマリコに渡す。

「お握りあったんだ......」

 食べる物が何も無いからここに来たのかとマリコは思っていたが、そう言うわけでは無かったらしい。

「夜の調理室で、料理してみたかったんだー。」

 ホムラはニヤニヤしながらそう話した。


「そういえば、お泊まりの話だけど。」

「ん?」

 ホムラの声に、マリコがお握りをもぐもぐしながら反応する。

「学校でする?ウチの家でする?それとも......」

「それとも......?」

「ホ テ ル?」

「決めて無かったんだね。」

 ホムラが誘惑するように体をクネクネさせながらやらしく問うが、マリコはその時ご飯の方を見ていたたので、それに気づかなかった。

「もう、ちゃんとこっち見てよ。」

 ボソっと呟くホムラ。


「元々ホムラさんのお家に泊まるんだと思ってたし、ホムラさんのお家がいいかなー。」

「分かったわ。」


「ごちそうさまでした!」

「ごちそうさまー。」

 食事を終える二人。

「あ、そうだ。さっき冷蔵庫の中見た時に、何故かパンケーキが入ってたんだけど。ウチらで食べちゃう?」

「流石にやめとこうよー。すでに作ってある物食べちゃうのはまずいよー。」

 立ち上がろうとするホムラをマリコが止める。

「それもそうか。でもなんか甘い物食べたいなー。」

「じゃあ、後で駅前のコンビニで、甘い物買おう!」


 料理に使った物を全て綺麗に洗い、元の場所に戻す。ゴミは全てホムラがお握りを入れてきたビニール袋の中に集めて、それをバッグにしまう。ピーマンとポン酢とごま油が少し減るくらい、誰も気づかないだろう。と二人は思いながら部屋を後にした。


 午後8時をまたぎ、部活動や生徒指導などで残っていた職員達は皆帰って行く。

「最後に行きたい所があるの、そこに行ったらお泊まり会ね。」

 窓の外を眺めながら、ホムラが話す。

「おっけー!どこ行くのー?」

 マリコはドキドキしていた。提案したホムラよりも、夜の学校探検を楽しんでいるようにも見える。

「逆に何処だと思う?」

「えーっと、音楽室......図書室とか?」

「はずれ。」

「うーん、じゃあ体育館?」

「違うよ。」


 ホムラは立ち止まり、次の目的地を告げる。

「トイレ。」

 まさかの答えにマリコは笑ってしまう。

「それって、ただおしっこしたいだけじゃん!」

「うん、冗談だよ。その行きたい場所に行く前に、トイレ行きたくなっただけ。」


「ふう、お待たせ、マリコちゃん。」 

 トイレに行ったあと、ホムラは本当の目的地を発表する。

「ウチが本当に行きたいのは......」


「本当に行きたいのは?」

 マリコがドキドキしながら身構える。


そしてその部屋の前に辿り着くと同時にホムラが答えを口にする。


「職員室だよ。」

職員室に、侵入!

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