クッキン女子高生 カン!キン!ほむら!
クッキングジェイケー焔か、このタイトルにするかで39分くらい悩んでました。
「それじゃあ、食料調達開始ね。5分くらいで食べられるようになる食料を探そうか!」
ホムラがニコニコしながら話す。
「5分!?そんなインスタント食品みたいなもの、この部屋の中にあるのかなぁ?」
首をかしげながらも、食料を探して辺りを歩きまわるマリコ。調理実習室の食料は、どれも調理をされる前の物ばかりで、即席で食べられそうな物は見当たらない。
「あるよ、5分で調理出来る食材あるよー!」
ホムラがそう言って、ピーマンとごま油を持ってくる。
「マリコちゃん、まな板!」
「まな板ぁ!?誰がまな板ですって!?」
マリコはクラスで一番身長の小さい女子であると同時に、胸もクラスで一番小さい女子なのであった。故にまな板という言葉に敏感なのである。
「いや、向こうに置いてあるまな板と包丁持ってきて欲しいなーって意味だよ。」
「あ、そう言う事かぁ......」
小さい声でそう話すマリコ。照れながら包丁とまな板をホムラの元へと持っていく。
「ありがとうーまなこちゃん。」
「なにそのナマコみたいな呼び方。」
ホムラはマリコから貰ったまな板を調理台に置き、制服の袖を捲る。そして、コンロの上に置きっぱなしだったフライパンにごま油をしき、コンロを点火する。
「チッチッチッチッチッチチボ!」
ホムラがニヤニヤしながらコンロの音を声で真似る。
火がついたのを確認すると、次は包丁を握りピーマンを薄切りにし始める。マリコはホムラの包丁さばきを見て、少し感動した。
「凄い......テレビの料理番組より手際が良い!どうしてそんなに上手なの!?」
「いつも家でやってるからねー。」
マリコの質問に少し誇らしげに答えるホムラ。
「そろそろかなー。」
油に火が通ったのを確認すると、フライパンに薄切りにしたピーマンをまな板から流し込む。そして、そのままピーマンを炒める。
「マリコちゃん。」
「なあに?」
「ポン酢と醤油どっちが好き?」
「うーんっとポン酢かなー。」
マリコがそう答えると、冷蔵庫からポン酢を取り出し、瓶の蓋を開けてフライパンに少しずつ入れる。
「ウチと......青島さんだったら......どっちが好き?」
「え、なになに急に!?」
それは料理と全く関係無いよね!?と思いながらも少し考えるマリコ。青島茸実はクラスで席替えが行われる前に、マリコの一つ前の席に座っていた女子である。よく休み時間や放課後にマリコと話している。
「うーん、どっちが好きとかは選べないかな?」
「そ、そうだよね。」
そこで会話は終わった。
フライパンのピーマンを皿に盛り付け、その上に鰹節をかける。ピーマン炒めの完成だ。
「美味しそう!凄いねホムラさん!」
目をキラキラ光らせるマリコ。
「それ程でもないよー。さてと、じゃあこれも出してっと!」
ホムラはそう言って、バッグからコンビニおにぎりを4つ取り出す。そこから2つマリコに渡す。
「お握りあったんだ......」
食べる物が何も無いからここに来たのかとマリコは思っていたが、そう言うわけでは無かったらしい。
「夜の調理室で、料理してみたかったんだー。」
ホムラはニヤニヤしながらそう話した。
「そういえば、お泊まりの話だけど。」
「ん?」
ホムラの声に、マリコがお握りをもぐもぐしながら反応する。
「学校でする?ウチの家でする?それとも......」
「それとも......?」
「ホ テ ル?」
「決めて無かったんだね。」
ホムラが誘惑するように体をクネクネさせながらやらしく問うが、マリコはその時ご飯の方を見ていたたので、それに気づかなかった。
「もう、ちゃんとこっち見てよ。」
ボソっと呟くホムラ。
「元々ホムラさんのお家に泊まるんだと思ってたし、ホムラさんのお家がいいかなー。」
「分かったわ。」
「ごちそうさまでした!」
「ごちそうさまー。」
食事を終える二人。
「あ、そうだ。さっき冷蔵庫の中見た時に、何故かパンケーキが入ってたんだけど。ウチらで食べちゃう?」
「流石にやめとこうよー。すでに作ってある物食べちゃうのはまずいよー。」
立ち上がろうとするホムラをマリコが止める。
「それもそうか。でもなんか甘い物食べたいなー。」
「じゃあ、後で駅前のコンビニで、甘い物買おう!」
料理に使った物を全て綺麗に洗い、元の場所に戻す。ゴミは全てホムラがお握りを入れてきたビニール袋の中に集めて、それをバッグにしまう。ピーマンとポン酢とごま油が少し減るくらい、誰も気づかないだろう。と二人は思いながら部屋を後にした。
午後8時をまたぎ、部活動や生徒指導などで残っていた職員達は皆帰って行く。
「最後に行きたい所があるの、そこに行ったらお泊まり会ね。」
窓の外を眺めながら、ホムラが話す。
「おっけー!どこ行くのー?」
マリコはドキドキしていた。提案したホムラよりも、夜の学校探検を楽しんでいるようにも見える。
「逆に何処だと思う?」
「えーっと、音楽室......図書室とか?」
「はずれ。」
「うーん、じゃあ体育館?」
「違うよ。」
ホムラは立ち止まり、次の目的地を告げる。
「トイレ。」
まさかの答えにマリコは笑ってしまう。
「それって、ただおしっこしたいだけじゃん!」
「うん、冗談だよ。その行きたい場所に行く前に、トイレ行きたくなっただけ。」
「ふう、お待たせ、マリコちゃん。」
トイレに行ったあと、ホムラは本当の目的地を発表する。
「ウチが本当に行きたいのは......」
「本当に行きたいのは?」
マリコがドキドキしながら身構える。
そしてその部屋の前に辿り着くと同時にホムラが答えを口にする。
「職員室だよ。」
職員室に、侵入!