世界観、地名、文化、技術など (追記予定)
作中の舞台コスモニアは紀元前後くらいの時代の中近東によく似た文明を持つ国です。
技術のほとんどはその頃すでに世界のどこかで存在したものだけが登場しています。
例えば衛生の概念の原型になるものはギリシャのヒポクラテスが紀元前に、ガレノスが紀元後には提唱しています。
そのように世界のどこかで発明されていたものや、それを伝える技術者を、作中の人物ルメスがあちこちからかき集めて出来上がったのがコスモニアなのです。
ルメスと、その肉体は、この世界に訪れたイレギュラーであり、彼が関わったことであらゆる人物たちの運命が捻じ曲げられました。
彼自身は主人公ではなく、彼に近しい人物たちの過去や状況、異なる視点によって展開していきます。
コスモニアという国家、あるいはそれをきっかけとした新たな時代の黎明期に生きた人々の物語。
始まりが終わるまで。そのわずか数年の間のお話となります。
コスモニア
大陸中央南部に興った新国家。国王ベルゼルが前国家テオニアの王モレクを暗殺し、王位を簒奪することによって成立した。
この時点では味方に被害はなく無血でのクーデターであった。
その後のコスモニア建国戦争においてテオニア軍を隣国カーミスと共に撃滅。
建国までに三十年の年月をかけ準備してきたことで迅速に体制を整えることに成功。
以来テオニア残党が逃れた東の国アドリオスと交戦状態にある。
国王ベルゼルを中心した王政を敷いており、王への提案や助言を議論する貴族のみが参加できる元老院が存在する。
王律法という王位の継承や国王の退位、その他国王が守らなければならない要項についてまとめた法律がある。
前テオニア時代に専横を極めた人間神信仰の神官やその他の宗教への牽制として、宗教に関わる者の政治への参加、および宗教的価値観に基づいた政治行為を禁止している。
国の四方を四人の公爵が、中央西側を大公爵が、国王に準じる権限を与えられそれぞれの地域を統治している。
王都ゼウルドはティグラト川をはさんで東側がテオニアの都であった旧市街、西側がルメスによって設計された規則正しい碁盤目状の区画を持つ新市街となっている。
新市街側と大公領の中心街ウルギアには大規模浄水魔術による上下水道が設置されている。
大公領 コスモニア中央西側
大公爵ルメスが中心となり統治している地域。プラテス川を利用した灌漑農業により国の胃袋を満たす大穀倉地帯となっている。
主な産業は農作物の他にはビールなどの加工品が中心。
石鹸、歯ブラシ、消毒液、軟膏といった医療品も生産している。
戦時中であることもあって常備兵が国軍を除いて最も多く、約四千人いる。戦争時には兵士をだいたい二万から三万まで徴兵することができる。
税率は安めだが領民ではない商人にかける税は高め。だが商業取引は国内で一番活気がある。
コスモニア南西
ザガン公爵が中心となり統治している地域。乾燥地帯ではあるが果樹栽培が盛ん。
カナートという用水路を用いて水を確保し、ブドウやナツメヤシなどを生産している。
公爵自らが学んだワイン造りを推進していて、主な輸出先は西国カーミスとアドリオスより東の国バラナ。
コスモニア北西
フェノール公爵が中心となり統治している地域。テオニア時代から続く牧畜で栄えている。
主な生産品は肉、皮革、堆肥、チーズ、豆類など。
旧テオニア貴族が多くいる土地で、フェノール公は代表者として彼らを取りまとめており人望がある。
コスモニア北東
ベリル公爵が中心となり統治している地域。賭博と鉱業、性風俗、それと一部では果樹が産業となっている。
大規模なカジノがあり、そこで借金を作った者を鉱山送りにして利益を上げている。
岩塩の採掘も行っているため、中心街ロスルートは塩柱の街とも呼ばれる。
鉄資源に乏しいコスモニアでは鉄と塩は専売制が敷かれているため、取引は厳正に管理されている。
子供への福祉は充実しており孤児院が国内で一番多い。
コスモニア南東
アシュタール公爵が中心となり統治している地域。繊維産業を活性化させている。
元々あった亜麻、羊毛に加えてバラナから伝来した綿花、極東から伝来した絹を生産している。
生活に困窮している女性を積極的に受け入れ仕事を与えている。
性風俗のための労働環境を整える活動も行っている。