第六話
なんか、おかしい。
今日の心愛、なんか、おかしい。
心愛は、小学校のときから、男子になんて、見向きもしていなかった。しゃべるときは、たいてい、上から目線でしゃべってたし、まともにしゃべるときは、ほとんどパシっているときだけだった。(つまり、心愛は、男子を自分の支配下に置いていた)
それなのに、きょう、心愛が言っていた、山月って人に対する態度は、なんか、ちがうみたい。
心愛は、男子に見下されたり、からかわれたりすることが、大っ嫌いだった。
もし、そんなことをされれば、心愛は、たぶん、マジギレするだろう。織花のことを待たずに、一人で家に帰っちゃうと思う。
でも、今日はちがった。
織花に、全部のことを話してくれた。そういうときの心愛は、本気でキレていない。
「かわいい心愛ちゃん」って言われたってことは、完全に、からかわれている。それを、心愛が、なんとも思わないなんて、おかしすぎる。
もしかして、心愛は、「かわいい心愛ちゃん」って言われたことを、内心では、喜んでいるのかな・・・・・?
ってことは、心愛は・・・・・・・・・・・。
えええええーーーーーーーっ!!!!!
い、いや、そんなことないよね。心愛が、山月って人に、ひ、ひとめぼれするなんて・・・。
心愛が、男子のことを、好きになるなんて・・・・・・。
ない。そんなことは。きっと、ない。
なんてったって、心愛だから。あの、心愛だから。きっと、そんなことは、ない!
あー、もう、こんな話、忘れよう。心愛に言ったら、怒られちゃうし、ね。