レイジとフェルの山の日
久々に登りますか……!
俺が地球に居た頃は意識していなかったが……山の日、という日があるらしい。と言っても最近出来た祝日らしいし、8月の夏休み真っ最中と言う事で俺は全然知らなかった。じゃあ、何でシェーンに来て知る事になったかというと……
「それでは、第7回山登り企画をやるとしましょうっ!」
「オオオオオオオオッ!」「待ってました!」「これが楽しみでここに勤めているのよっ!」
…………ナニコレ? ネルガの号令によって、熱気に包まれる従者達。というか、最後に叫んだ女性は凄いな……そんなに楽しみなのか。
第7回って……ピグマが主人だった頃からやってたのか。アイツがよく許したな……全く、母の日以来の一斉休暇が何かと思えば、こう言う事か。
「毎年、ヤパンの方の山に登る事で、良い汗かいてストレス解消って事だ。勿論、オレも行ってくるぜ!」
レオも行くのか……まあ、母の日と違って、全員ではなく8割が山登りに参加だそうだ。運動や外が好きな人にはいい機会だけど、運動が苦手だったり1人でのんびりしてたい従者も居るよな。そういう従者も休暇にして休んでも貰おう。
俺もついていきたいな……でも、折角の息抜きなのに俺がついて行ったら気を遣われちゃうよな。ネルガとかレオみたいに良く話す従者は良くても、滅多に話さない従者からしたら邪魔になっちゃうかも。でも……
「山登りとか、ちょっとしたいよな……」
「ん? 何か言ったか?」
「いいや、何にも……」
「………………レイジ様」
◆
山の日当日。山登りに向かう160人程が乗り込む、特大筋肉車を見送る。周りには車椅子を押してくれるフェルだけなのを確認し、静かに溜め息を吐いた。
まあ、皆の息抜きの為についていかないと決めたんだ。ここは我慢して、屋敷の本でも読んでいようか。
「レイジ様、少しよろしいですか?」
「フェル……?」
「私達も山登りへ行きませんか? 勿論、ネルガ達が登っている山ではありません。ですので、他の従者が気を遣う事は無いでしょう」
フェル……俺の為にそんな事を考えてくれていたんだ。気にかけている事を解決する為に、別の山まで探してくれて……
「勿論行くよ! 何て名前の山なんだ?」
「鷹王山です」
んん? 聞き間違いかな……? 何処かで聞いた事ある山の名前だ。具体的に言うと、地球に住んでいて小学生だった時の遠足先の山の名前と同じだぞー? 偶然カナー?
「ええと……シェーンの山だよね?」
「いいえ……地球の山です」
フェルが指を鳴らすと、紫色のゲートが開かれる。そんな軽いノリで地球の戻ってしまって良いのだろうか? まあ、シェーンなら許可を出してくれるだろうけど……
「鷹王山には行きたいけど……地球じゃ俺は義手も義足も無いんだろ? 車椅子とかで登らせてもらうのは申し訳ないし……」
幾ら鷹王山が観光客の為に整備されているからって、斜めに登る道で車椅子を押してもらうのは申し訳ない。勿論、フェルがその程度で疲れるワケが無いと知ってはいるけれどね……
「でしたら、問題ありません」
「?」
「ゲートを潜れば分かります。さあ、準備いたしましょう」
ゲートを潜れば分かるって……まあ、準備してみないと分からないよな。
◆
澄み切った青空、生い茂る木々、照り付ける太陽に……高い所特有の美味しい空気。本当に鷹王山の頂上に来たんだ……山登りとは言えなかったけどね。
「どうです、問題は無かったでしょう?」
確かに問題無かった……山の頂上に直接ゲートを開くというシンプルな方法で解決した。これなら、フェルは全く疲れないし、俺もいつも通りくらいにしか思わない。ちょっと、周囲の人の視線が気になるけど、それは仕方ない。
フェルが用意してくれたおにぎりを食べさせてもらう。どうして山の上で食べるお弁当ってのは、こんなに美味しく感じるだろうかね……?
「楽しんでいただけてるようで何よりです。レイジ様がよろしければ、次は別の山にも行きましょう」
「ああ、頼むよ!」
今度は世界の山に挑戦するのも良いかもな……! 来年が楽しみだ!
頂上にワープして美少女にご飯食べさせてもらうとかズルい




