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異世界転移の融合者  作者: ミジンコ
幼馴染を救出
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16話 そしてギルドで登録を

「ふぅ~、朝日が眩しいぜ!」


 翌朝、俺とウィオは警察署から出てきた。トレイズの街で迎える初めての朝が警察署でとかマジで勘弁願いたい。

 警察署に連行された俺はいろいろと取調べを受け、ウィオの弁護のお陰もあってなんとか濡れ衣は晴れた。まあ夜中になってだが。てかウィオがいなかったら牢屋にいってた可能性が高い……。

 そのまま釈放されそうになったが街に到着したばかりで宿が無い旨を説明すると、流石に無実の人間をこんな時間まで拘束した事に引け目を感じているのか、警察署の客室に泊めてくれる事になった。

 客室に到着するまでに警察官のおっさんにいろいろ尋ねたところ、いろいろな事が分かった。


 一つ目、この建物の名前は普通に警察署らしい。なんでも昔に召喚された人間が作った組織なんだとか。やってる事は日本の警察と違わなかった。恐らく召喚された人間てのは日本人なんだろう。

 二つ目、この警察という組織にいるのは事務方を除いて全員が元冒険者らしい。その中でもBランク以上かつ人格にも問題が無い人間がなるのだとか。そうでなければ冒険者なんて荒事専門の人間が起こす犯罪を取り締まれないんだとか。ちなみに警察のトップは元Sランクの冒険者らしい。

 三つ目、何で冒険者が警察官になるのかと言うと、一番の理由は給料が高く安定してるからだとか。街の外で凶悪な魔物と命懸けで戦うよりも安全なので、警察官になるために冒険者になる人間もいるのだそうだ。

 四つ目、このトレイズと言う街は以前ウィオも言ってたがどの国にも属していない。この街を実質運営しているのは冒険者ギルドのギルドマスターなんだとか。ギルドと街、両方運営しないといけないとか大変そうだよな。


 とまあ以上の事がわかった。タイミングよく部屋に着いたのでその日はそのまますぐに寝たのだ。え? もちろんウィオをソファーに寝かせて俺は床にごろ寝ですよ? ウィオが申し訳なさそうに一緒にソファーで寝ようと言ってくれたが丁重にお断りさせていただいた。だってまともに寝れる気しないし。

 そんで朝になって目を覚ました俺達は、俺達をここに連行してきたおっさんの奢りで朝ごはんを食べ警察署を後にしたのだ。


「さて、今日は早いとこギルドに行って登録してこなきゃな」


「そうですね。五日以内に登録証を門番のおじさんに見せないと捕まってしまうみたいですし」


「だな。まさか捕まって借金奴隷になんぞされたら堪ったもんじゃない」


 この世界の奴隷の扱いがどうなってるか分からないが、もし万が一ウィオが奴隷になんぞなろうもんならどんな変態が幼いウィオの体目当てで出てくるか分かったもんじゃない。

 この街にいるかどうかは知らんが変態はどの世界にも一定数必ずいるからな。平和な日本だって例外じゃなかった。

 そして俺達はトレイズの街の大通りを歩いていく。相変わらず道行く人々がウィオの可愛さにやられてチラ見しているがウィオ本人は気付いていない。

 たまに俺に対して視線を向けてくるのもいるが俺にはわかる。あれは嫉妬の視線だ。可愛いウィオと仲良く手を繋いで歩いてる俺が相当羨ましいんだろう。中には血の涙を流さんばかりに見てる奴もいた。

 しばらく歩いていると俺達はようやく街の中心にある冒険者ギルドに到着した。

 茶色のレンガで建てられた建物は四階建てになっており、剣と盾のエンブレムが冒険者ギルドであることを示している。


「よし……早速入るぞ」


「はい……!」


 木製の扉を開け俺達は冒険者ギルドに入っていく。中に入ってまず目に入ったのは正面にいくつも並んだ受付のカウンター。幾人かの冒険者達が並んで自分の番を待っている。

 右側にはテーブルとイスが多く並び酒場になっている。朝だと言うのに既に酔っ払っているのもいて結構騒がしい。

 左側には冒険者のランク毎に別れた掲示板に依頼が書かれていると思しき紙が貼り付けられている。多くの冒険者達が割りのいい仕事を探して犇めき合っている。

 そんな冒険者達を尻目に俺とウィオは一番並んでいる人数の少ない受付カウンターの列に並び順番を待つ。自分の後ろに並んだのがどう見ても冒険者に見えない男と幼女に俺の前にいる冒険者が若干訝しげな表情を浮かべるが、受付に人に呼ばれてカウンターへと向いた。

 前に並んでいた冒険者の用事が終わったのかカウンターから離れていく。去り際にウィオの方へと視線を向けていたが何を言うでもなくそのままいなくなった。


「次の方どうぞー」


 準備が済んだのかカウンターから女の人が俺達に声を掛けてくる。


「ああ、すいません」


 受付カウンターに進んだ俺達の前には一人のお姉さんが座っている。セミショートの髪型は綺麗に整えられており、制服姿と相まって清潔感に溢れている。綺麗というより可愛いと表現するのがぴったりといった感じの風貌はさぞ冒険者達からの人気も高いだろう。


「本日はどの様なご用件ですか?」


「ええと、俺とこの子の冒険者登録をお願いします」


 俺の発言に受付のお姉さんの笑顔が一瞬固まった。どうやら俺達を依頼に来た人だと思っていたらしい。


「冒険者登録ですか……? その、失礼ですがそちらのお嬢さんもでよろしいですか?」


「はい、よろしくお願いします」


 ぺこりと頭を下げるウィオの姿にお姉さんの表情が一瞬ほんわかとなったのを俺は見過ごさない。しかしすぐに表情を元に戻すと不安げな表情を浮かべた。


「確かに冒険者ギルドでは冒険者になる為の最低年齢は定められていませんが、それでも十歳から冒険者になろうという方はかなり稀です。街中で出来るクエストも確かにありますがその……お嬢さんの身に何かあっても私達では責任が……」


「大丈夫だ。俺はウィオと片時も離れる気はないし、それにウィオの本領は戦う事じゃないからな」


 相手がアイアンゴーレムだったから戦いにならなかったのであって相手がゴブリンとかの普通の魔物だったら物理戦闘力がCのウィオは全く引けを取らないだろう。てかウィオの本分は戦う事じゃなくて癒す事だしな。


「わかりました。それではこちらの用紙に記入をお願いします」


 そう言ってお姉さんから二枚の紙が差し出される。恐らく必要事項を記入する必要があるんだろうが……。読めん。てか俺こっちの世界の字書けないしなー。


「あの……代筆しましょうか?」


「あ、お願いします」


 用紙をジッと見つめている俺を見て字が書けないと思ったのだろう、お姉さんが助け船を出してくれた。正直ありがたかったので行為に甘えるとしよう。

 因みにウィオはスラスラと必要事項に記入をしていた。


「それではお名前は?」


「ユウです」


職業(クラス)は?」


職業(クラス)?」


 え? 職業(クラス)? 剣士とか魔法使いとか? けど俺剣なんて持ってないし、かと言って魔法だって使えないしなー。


「はい、みなさんご自分の職業(クラス)を持っています。殆どの方がご自分のスキルにあった職業を選びます。まあ選んだからと言って何か恩恵があるわけでもないのですが、野良でパーティーを汲組む時の目安になりますので」


 なるほどな。よく考えれば相手の戦闘スタイルがまったく分からない状況でパーティー組むなんて自殺行為だよな。相手の職業(クラス)を知らなくて組んで討伐に行ってみたら全員魔法職で、詠唱時間稼ぐ近接職が居なくて全滅しましたとか言ったら目も当てらんないし。

 当然ながらこの世界にセーブポイントからリスタートなんてものは一切無い。死んだらそれでお終いなのだ。

 俺は【変幻自在】のスキルのおかげで戦闘にはかなりの幅があるし、これからも増えていく。けど人前で腕を剣に変えるわけにもいかないから……。


「それでは拳闘士でお願いします」


「分かりました。……はい、これで記入事項は全て書き終わりました。そちらのお嬢さんは……もう書き終わったみたいですね。お嬢さんの職業(クラス)は治癒師ですか。回復系統の魔法は貴重なのであまり言いふらさないで下さいね?」


 最後、こっそりと教えてくれたのは以前にも治癒師の争奪戦的なものがあったのだろう。命懸けの討伐をしている人間にとって現地での回復手段は多いに越したことはないし、何より魔法という薬なんかよりも強力な回復手段は冒険者にとって喉から手が出る程欲しいものなのだろう。


「分かりました」


「はい、それでは少々お待ち下さい」


 お姉さんが受付から立ち上がり背後の何やら機械の所まで歩いていくと、先程俺達が記入した(俺のを書いたのは受付のお姉さんだが)用紙を機械に入れていく。

 なにやら変な音がしたと思ったら二枚のカードが機械から出て来た。


「お待たせしました。こちらがお二人のギルドカードになります。身分証代わりにもなりますので無くさないで下さいね。無くしてしまった場合再発行に銀貨一枚が掛かりますので。それとそのカードには討伐した魔物を自動で記録する能力があります。嘘の討伐報告は出来ない様になってますのでお気を付け下さい。それと、冒険者のクラスは駆け出しのGランクから始まって最高Sランクまであります。クエストの達成回数や貢献度でランクアップしていきます。Dランクまではそれだけで十分なのですが、Cより上に上がる際はそれらに加え試験があります。それではご活躍を期待しています」


「分かりました。ありがとうご――」


「おいおい! このギルドはこんなションベン臭ぇ餓鬼まで冒険者にすんのかよ!」


 受付のお姉さんに礼を言っていざ門番のおっちゃん(ジーク)の所へと思っていた俺達になにやらイチャモンが飛んできた。はぁ、面倒事の予感しかしない。

朝チュンなんてものは無かった。まさかの初日警察署ですごす本作の主人公でした。

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