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異世界転移の融合者  作者: ミジンコ
幼馴染を救出
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15話 そして街に到着した

 そして俺達は森を抜け、街へと続く道をのんびりと歩く。ゴブリンの襲撃以降魔物との遭遇もなく平和な道のりである。二束三文でもお金になればと思いゴブリンの魔石は【無限胃袋】へと収納済みだ。

 え? 融合しないのかって? いやだってゴブリンですよ? たいした能力とか無さそうだし、変身してもあんまり旨味なさそうだからしてません。だってオークと並ぶ女性の敵だし? もし万が一愛梨の前で変身して嫌われたくないし。

 そして途中ピクニック気分のお昼休憩を挟んだが、奈落の底から脱出して約半日、夕方になってようやく俺達は冒険者の街こと【トレイズ】へとたどり着いた。


「うへぁー、でかいなー」


「確かに大きいですね。首が痛くなりそうです」


 街へ入る為の審査をしていると思しき列に並びながら壁の天辺へと目を向ける。

 いやー森から遠目に見てもでかいとは思ってたけど想像以上だな。ビルで言えば十階ぐらいか? そんでもって壁は左右どこまでも続いているんじゃないかって思えるぐらい広い。やっぱり街全体を囲んでるんだろうなー。


「次の人ー、次の人どうぞー! 次の人―! そこの上見上げてるあんちゃん! あんただよあんた!」


「うぇ!?」


「次あんただよ。街に入るんだろ?」


「あ、ああすいません。こんなに高い壁始めて見るもんでつい……」


 頭の後ろを掻きながら申し訳なさそうにしていると門番のおっちゃんはしょうがねーなーと言う雰囲気で苦笑している。俺の後ろに並んでる商人風のおっちゃんも笑いを噛み殺していて少し恥ずかしくなった。

 てかこれって完全にお上りさんだよなー……。


「それで、あんちゃんはこの街に何の用だ? そっちの小さい子は? 見た所獣人みたいだが」


「ああ、俺達は冒険者になりに来たんだ。ギルドの支部はいろんな街にあるって聞いたけど、せっかくなら冒険者の街で登録しようかなって。この子は妹みたいなもんだよ」


「ウィオです。よろしくお願いします」


「おうおう可愛い子だな、小さいのに礼儀正しいし。将来が楽しみだなー」


 おう、いい年こいたおっさんが顔をだらしなくしてウィオにデレデレしとる……。まあ俺の天使であるウィオの可愛さは天元突破してるし? おっちゃんからみれば娘みたいに見えるんだろうしな。仕方ないか。


「んでおっちゃん、通ってもいいのか?」


「ん? とりあえず通行料は一人銅貨五枚だ。二人合わせて十枚だな。てか俺はおっちゃんなんて歳じゃねぇ。これでもまだ二十七だ」


 げ、やっぱり金取るのか……。っておっちゃんその顔で二十七!? どう見てもおっちゃんにしか……。


「金……ないんだが……」


「なんだ無いのか……それならこっちで借用書に名前書いてくれ。そうすれば一時的に中に入れる。冒険者ギルドに登録に行くんだろ? 登録終わったらギルドカード見せに来てくれれば大丈夫だ。ただし、五日以内に持ってこないと借金奴隷に落とされるから気をつけろ」


 なるほど、借用書に名前書けば街に入れる、と。んで金を作るか冒険者ギルドで登録してギルドカード持って来ないと奴隷落ちする、と。冒険者からはお金取らないんだな。それもそうか、クエスト受けて街を出たり入ったりする冒険者から入るたびにお金取ってたら誰も寄り付かなくなるよな。ま、それならすぐに冒険者ギルドに行くか。


「了解。それじゃ借用書書かせてもらいますか。ウィオの分も書くのか?」


「んーそうだなぁ、お嬢ちゃん、字は書けるかい?」


「はい、文字はちゃんと教わりましたので、大丈夫です」


「そうかぁお嬢ちゃんは小さいのに偉いなぁ! よぉしお嬢ちゃんは通行料払わなくてもいいよぉ」


 こいつ……ウィオの余りの可愛さに籠絡されたな? ウィオは自分の可愛さに気づいてないからなー。てかおっさん、そろそろ顔が通報されてもおかしくない位だらしなくなってるぞ。……俺もウィオといる時こんな顔してるんだろうか……。


「ありがとうございますおじさん!」


「んー、何か困った事があったらいつでもおじさんに相談するんだよ? おじさんは大抵はここにいるからね」


「はい、その時はお世話になりますね!」


 確かにウィオから見たらおじさんなんだろうけどさ……なんだろ、この釈然としない感じは……。ま、いいか。ウィオが可愛いのは当然の摂理だしな。人が生まれていつか必ず死ぬくらい当然の摂理だ。


「書けたぞおっちゃん」


「あいよ、後おっちゃんって呼ぶな。そんな歳じゃねェし俺にはジークって名前もある。ったく、どれどれ? なぁあんちゃん、これ何て書いてあるんだ?」


 ジークって名前カッコイイな。顔はおっさんなのに。


「ああ、ユウって書いてあるんだよ」


「ふーん。初めて見る字だけどまあいいか、通っていいぞ。念の為もう一度言っておくが五日以内にギルドカード持って来いよ」


「りょーかい。元々ギルドに登録するつもりだったからな、明日にでも持ってくるさ」


「おう、待ってるぞ」


 門を潜り抜けて俺とウィオはトレイズの街に入っていく。街の建物はレンガで作られているものが多く、木造の建物はかなり少ないみたいだ。まあ街に入ってすぐの光景だから他の場所までは分からないんだけどな。第一印象だよ第一印象。全体的に中世ヨーロッパって感じかな? 道は裏路地に入るのを除けばかなり広めに作られてる。やっぱり馬車も通るんだろうか。


「しまった、ギルドの場所おっちゃんに聞くの忘れてた」


 後ろを振り向いておっちゃんに声を掛けようとするがどうやら街に入る人達の受付が忙しそうだ。どうすっかな……。とりあえずその辺の人に聞いてみるか。


「すいません、冒険者ギルドって何処にありますか?」


「ん? 冒険者ギルドならこの道をまっすぐ、街の中央にあるよ」


「ありがとうございます」


 俺が礼を言って頭を下げるのに合わせてウィオも頭を下げる。まったく、礼儀正しい上に可愛いなんてウィオってば最強ですね! おっさんもデレデレしてたし。

 おっさんに言われた通り俺達は大通りを歩いていく。道の左右には住宅の他、店や露店などが立ち並んでおり活気にあふれている。道行く人々は普通の服を着た人から冒険者らしい格好の人まで様々だ。てか冒険者の街だけあって冒険者っぽい格好の人間の割合の方が多い気がする。しかもヒューマンだけじゃなく獣人やエルフにドワーフetc、ウィオ以外では初めて見る人種に俺はかなりの感動を覚えている。これぞ異世界!

 てか冒険者の人達に限らず道行く人達がチラチラとこっちを見ている。正確にはウィオを。やっぱりみんなウィオの可愛さについ目が行ってしまうんだろうな。フフフ、羨ましいだろ?


「ちょっと君いいかね?」


「はい?」


 歩いてたら突然知らないおっさんに声を掛けられた。がっちりとした体格に何やら制服らしきものを来ていて且つ俺の事を厳しい目つきで見ている所為かちょっと厳めしい感じがする。


「幼い獣人の女の子を連れたヒューマンがいると通報があってね。ちょっと署まで来てもらおうか」


「え? いや、俺人攫いとかじゃないんですけど!?」


「話は署で聞く。とりあえず来なさい」


「融お兄さん……」


「大丈夫……だと思う……」


 大丈夫だよね? 俺人攫いとかじゃないし、大丈夫だよね? てか誰だ! 俺を幼女誘拐犯みたいな風に通報した輩は! 三百六十度どっからどうみても犯罪なんか犯しそうにない好青年(自画自賛)だというのに! 確かにウィオは可愛いよ? そんでもってそんな可愛い幼女を連れた青年がいたら……あー俺でも通報しそうだわ。万が一の事を考えると通報せざるをえないわ。

 逆らっても面倒な事になりそうなので俺はウィオを連れて大人しくおっさんについて歩く。

 俺とウィオのトレイズでの最初の行先は冒険者ギルドから警察署と思わしき場所に早変わりした。てかこっちの世界にも警察的な組織あるんだね。

次々とウィオの可愛さにやられていく人々が……!?

もはやトレイズの街でパンデミックは避けられないのか!?

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