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ダンジョン探索はやはり気をつけないといけない件◆

 いざ!


「ステータスオープン!」


 心のなかで思いながら吠えてみる。

 ちなみに吠える必要があるとは一言も聞いてない。


◆◆◆


 【名 前】鈴木透スズキトオル

 【種 族】人間

 【年 齢】21

 【職 業】無職

 【レベル】1/∞


 【体 力】19/19

 【魔 力】27/27

 【攻撃力】114

 【防御力】45


 【筋 力】10

 【知 力】18

 【敏 捷】12

 【スキル】成長限界無し


◆◆◆


 お、おおおおお!


「でた……本当にステータスだ……」


 パッと見、それほど強そうではないが、本当に心のなかにイメージとして浮かんだ!

 いや誰でも最初は弱いのかもしれない。

 重要なのは現在のステータスよりも潜在的な成長性だ。

 その意味では大当たりなんじゃないだろうか。


 僕はスキルをメモしながら、それぞれのスキルについてもう少し詳しく考えてみた。

 まず、【名 前】、【年 齢】だが、留意すべき点はない。

 自分の名前と年齢が正しく書いてあるだけだ。


 【職 業】の無職はどうなんだろうか? 実際にはアルバイトで生計を立てていた。

 ステータスへの影響やスキルの獲得方向という意味での【職 業】なのかもしれない。


 そして注目すべきは【レベル】だろう。

 1というのはよくわかるが、その分母が無限大だ。

 成長限界無しというスキルと連動しているのではないか。

 ひょっとするとひょっとする夢をもたせる内容だ。


 【体 力】これは非常に怖い数値だ。

 おそらくHPに該当するのではないか。

 今はどちらも19/19だが分子が0になれば、死、なのかもしれない。

 わかりやすい。ゆえにおそろしい。


 【魔 力】いわゆるMPじゃないかと思う。これも期待が持てる。

 能力的に期待が持てるというよりもこの数値が存在しているということは……。


「僕でもなんらかの方法で魔法が使えるようになるんじゃないか?」


 リアや僕がマンションの部屋内ではステータスチェックができなかったように、多分、日本ではできないんだろうけど。


「ダンジョン側の世界なら僕でも魔法が使える可能性は……ある!」


 ワクテカしてきたぞ!


 次は【攻撃力】について考察してみよう。

 【攻撃力】は現時点で他の数値に比べて圧倒的に高い。

 コレについて僕は一つの仮説がある。


「ちょっと試してみるか」


 辺りにモンスターがいないかヘッドライトで確認してから、手に持ったピッケルを再び腰のベルトに挿し込んだ。

 すると【攻撃力】が10になった。

 もう一度、ピッケルを手に取る。

 【攻撃力】114。

 ベルトに挿し込む。

 【攻撃力】10。

 手に取る。

 【攻撃力】114。

 おーし! 推測通りだ!

 ピッケルを手放せば10、手に持てば114。

 つまりピッケルの攻撃力は104で装備するとそれだけ加算される。

 素の攻撃力の10というのは、ほぼ間違いなく【筋 力】の数値だ。

 ヘッドライト付きのヘルメットも少しだけ外してみる。

 外すと【防御力】の数値が45から24になって、かぶり直すと45に戻った。


「なるほどなるほど。面白い。こういう仕組みかー。包丁とか金属バットとかも試してみたいな。金属バットなんか持って無いけどさ」


 【筋 力】【知 力】【敏 捷】【スキル】この辺は今までのステータスに関連して考察は終わっているかな。


 ちょっと気になるのは【筋 力】10だ。

 筋トレとかしたらどうなるんだろう? レベルは変化しないで上下するんだろうか。

 実は筋トレしようと思ってアマゾーンで買った握力計を持っているんだけど、いつも大体、利き腕で40キロ、左手で37キロが表示される。

 プラスマイナスで1キロぐらいあるが、【筋 力】の数値が変化したら握力がどう変化するかも興味深いところだ。

 メモも終わってステータス表示にもだいたい満足する。


「今できることはこれぐらいかな。とりあえずリアの盾を取ってくるか」


 まだわからないこともあるし、試したいこともあるけど、今できるのはこれぐらいだった。

 それに盾をとってくるとリアに約束している。

 ステータスも気になったが、彼女からの好感度もやっぱり欲しい。


「慎重に、慎重に……」


 言葉ではそう言いながらも、ダンジョンへは足を踏み入れるのは既に三度目だ。

 いくら大部屋が広いとはいえ、盾まで20mぐらいだと思う。

 まっすぐ無警戒に歩いたら往復で3分もかからないだろう。

 緊張感は薄れて高揚感や好奇心に満たされている。

 それに実際に緊張感だって自分では失っていないつもりだ。

 あった、あった。盾だ。


「そう例えば……今から拾う盾の下に水色のプルンプルンッとする物体が隠れていたり、などということも僕は想定している」


 盾は大きいし、僅かに歪曲している。下にスライムが入れる空間があってもおかしくはない。

 ヘッドライトで照らしながら盾を持ち上げる。

 プルンッ!

 水色だが先ほど見たリアのオッパイのようにプルンプルンとする物体が盾の下から出てきた。


「チェストオオオオオオオオオォッ!」


 僕は叫びつつ、人生で最速の動きで、ピッケルを水色の小さな物体に振り下ろした。

 どっと冷や汗が出るのと同時に、水色のオッパイ、もといスライムはプルンッと肉片を四散させた。


 その時、体がなにか熱くなる。

 総身に力満ちる、とはこのことか!

 僕は素早く盾を担いで、慎重かつ全速力でマンションの部屋に逃げ帰る。

 そしてメモこそとらなかったが、走りながらステータスのチェックもした。


◆◆◆


 【名 前】鈴木透スズキトオル

 【種 族】人間

 【年 齢】21

 【職 業】無職

 【レベル】2/∞


 【体 力】20/20

 【魔 力】30/30

 【攻撃力】115

 【防御力】45


 【筋 力】11

 【知 力】20

 【敏 捷】13

 【スキル】成長限界無し


◆◆◆


「はぁはぁっ。やっぱりレベルが上ったのか……死ぬかと思ったが、スライムを倒したぞ!」


 後ろ手に玄関のドアを叩き閉め、鍵をかけながら僕はそう呟いた。

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