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裏スキルは危険な味がする件

 ダンジョンのこの部屋ではもうモンスターの心配をする必要はない。

 もしいたとしても隣には魔法使いのディートがいるのだ。

 安心してステータスチェックをした。


「おお! オオムカデを倒したからレベルが上がってるぞ! 食べ物の効果は無くなっているけど」

「教えて教えて」


 ディートが僕のステータスを教えてとせがんでくる。


「待ってて。メモるから……っと。はい」


◆◆◆



 【名 前】鈴木透スズキトオル

 【種 族】人間

 【年 齢】21

 【職 業】無職

 【レベル】4/∞


 【体 力】23/23

 【魔 力】36/36

 【攻撃力】118

 【防御力】44


 【筋 力】14

 【知 力】25

 【敏 捷】16

 【スキル】成長限界無し



◆◆◆


「どれどれ」


 ディートは嬉しそうに僕のメモを受け取ったが、内心、渡すのに少し抵抗があった。

 だって無職って書いてあるんだぞ。


「ぷっ。本当はトールじゃなくてトオルって名前なんだ。年齢は21。若いわね……」


 そういえば、エルフは長命種と聞いた。

 ディートは何歳なんだろう。


「ディートはいくつなんだよ?」

「人間にしたらトオルと同じぐらいよ」

「それっていくつさ」

「後で教えてあげるから」


 怖いような聞きたいような。


「職業は無職」


 ぐっ。悲しいところを読み上げられた。

 ってかモンスター語、読めるのかよ。


「レベル4なのにもう〝成長限界無し〟覚えてるのね」

「最初から覚えてたけどね。それってどうなん?」

「最高よ。成長限界無しは私も喉から手が出るほど欲しいわ」

「マジで? やった!」


 しかしディートは最高という割にはあまり明るく言わなかった。


「もし……トオルがエルフみたいな長命種ならね。人間の寿命は短いから」

「どういうこと?」


 ディートの話を聞くとやはり成長限界無しは大器晩成型らしい。

 しかも人間の寿命枠ではおさまらないほどの晩成。

 エルフだったら長い時間を弱いモンスターを無数に倒していく手段もあるが、人間では強いモンスターと戦っていかなくては寿命の時間的制約にひっかかる。

 もちろんその過程で命を落とすことも多い。


「ちなみにオオムカデはレベルひとケタが戦う相手じゃないわ。そもそもこのフロアに出ることが珍しい強敵だしね。運が良かったわ」

「そうなのか……ちなみに無職っていうのは……」


 大賢者でもない上に無職ってのは幻滅されないだろうか?


「職業無職っていうのはその人の性向ね。生業なりわいが表示されるわけじゃないわ。冒険者やる人もいるし。でもまあ本当に無職になる人も多いかしら」


 ディートは無職は意外と役に立つスキルも覚えるとかなんとなく励ましてくれてるような気がするが、僕はあまり聞いていなかった。

 次のステータスチェックはディートの順番だからだ。

 そして体を隠しているマントの下は……。


「じゃあディートも自分のステータスチェックしてみなよ。それからマントで隠さないでちゃんと着てるか見せてよ」

「う、うううぅ……」


 ディートがマントを押さえている手を離す。ふわっと広がるマントの下は聖紺せいこん色のスクール水着だった。


「おおおおおおお!」


 黒革のボンテージファッションでは胸はパッツンパッツンだったか、拘束のゆるいスクール水着ではボヨンボヨンだった。

 しかも太もものすべてとお尻の一部が見事に露出している。


「こ、この服、恥ずかしいんだけど本当にステータスアップしてるの?」

「してる……してると思う」


 ディートは不満を言いながらステータスをチェックしはじめたようだ。


「ええええええ! こんなペラペラな服で防御力が200以上!? しかも限界レベルがあがっている???」

「僕も見たい。書いて書いて!」


◆◆◆



 【名 前】ディート=マカロン

 【種 族】ハイエルフ

 【年 齢】221

 【職 業】魔法使い

 【レベル】47/48


 【体 力】71/71

 【魔 力】149/149

 【攻撃力】38

 【防御力】258


 【筋 力】22

 【知 力】198(+38上昇中)

 【敏 捷】66

 【スキル】攻撃魔法LV7/10 支援魔法LV3/10 古代魔法LV4/10 詠唱短縮LV6/10



◆◆◆


 マカロン、かわいい家名だな……。

 それと年齢のところには触れないでおこう。


「エルフは千年ぐらい生きるから人間にしたら二十歳ぐらいでしょ? 見た目の年齢はずっととらないし」


 触れないでいたら有無を言わさない声で説明してくれた。かなり無茶な論理だし、二十二歳ぐらいのような。

 その辺は無視してステータスを見る。


「レベルほとんどマックスなんだね」

「違うのよ!」

「へ?」

「前から上限だったの。いくら努力してももう伸びなかったのに上限が増えてるのよ。この服最高!」


 こんなに喜んでくれるなんて。トンスキホーテのコスプレコーナーでスクール水着を買っておいて本当に良かった。

 けど服だと脱いじゃったらどうなるんだろう。なんか変な気もするが。

 

「まあ防御力高し、いいか」

「でしょ? こんなペランペランな素材なのに」


 嬉しそうにディートが体に密着したスクール水着をつまんで引っ張る。

 やることが一々色っぽい。


「そういやビキニアーマーって古き良き伝統があるしな。水着系は防御力が高いのかもしれない」

「なに? ビキニアーマーって」

「日本に売ってるから今度買いに行こうぜ」

「うんうん!」


 まあビキニアーマーじゃなくてビキニだけど。

 本人が嬉しそうだからいいだろう。


「その体操着っていうのも着てみたいなあ」

「これも着るのか?」

「うん。後ろ向いててね」


 効果が大きいとなれば、女性は現金だった。

 ここで着替えるっていうのかよ。

 まあ僕もブルマは見たいから異存はない。

 素直に後ろを向いた。

 背後からディートの楽しそうな歌声が聞こえてくる。

 着替えをしているのだろう。


「えええええ? 嘘おおおおおお? なんでええええええ?」


 急にディートの歌声が叫びに変わる。

 慌てて振り返ると……彼女はマッパだった。


「ぼ、ぼぼぼぼ僕のほうがなんでと言いたいよ!」


 指が自然に開ききった手で目を隠しながら叫んだ理由を尋ねる。


「スクール水着を脱いでもレベルの成長限界が1あがったままなの」

「え? それってどういうこと?」

「私もわからないけどレベル47/47で成長限界のはずだったのに……スクール水着を脱いでも47/48ままなの……あっひょっとして」


 ディートがなにか思いついたような顔をする。


「きっとコレよ」


 コレ? コレってなんだ!?

 そう思った瞬間、ディートは僕に顔を近づけてきた。


「んっ!? ん~~~!!!」


 ディートの柔らかい唇の感触を自分の唇で再び味わうことになる。

 

「ぷはぁっ」

 

 ディートが呼吸のために息継ぎをする。

 やっとこっちは話せる、いや叫べるようになった。


「ちょっちょっと! なんだって言うんだよ!」

「……」


 叫んでもディートはマッパのままなにも言わない。


「ちょっと聞いてるの!?」

「……~~~~~~やったぁ!!!」


 えええええ。意味がわからない。


「なにがやったのさ? というか服を着てくれ」

「う、うん? 服? きゃああああああああ!」


 マッパだったの気がついてなかったんかい。

 危なく僕は本能のままに動いてしまいそうだった。

 ディートは急いでブルマと体操着を着た。

 真っ赤な顔で少し前かがみになって体操着の上を手で引っ張って聖紺せいこん色のブルマを隠している。

 隠そうとしているがムチプリンとした健康的なお尻は隠せていなかった。

 僕の理性が決壊しそうになるのはマッパでもブルマでもあまり変わらない。


「で、さっきの奇行はなんだったのよ?」

「ご、ごめんね」


 今さらディートは急にしおらしくなる。

 しかし美人が顔を赤めながらしおらしくなるのは……いいね。

 その上、ブルマだ。


「いやいや、怒ってないんだけど理由は教えてよ」

「その……トオルとチューするとね」

「チュ、チューすると」

「レベルの成長限界が上がったの……」 


 な、なに? それって僕とチューすると強くなる上限が増えるってことか?

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