表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/147

この埋蔵金伝説は本当かもしれない件

 リアとディートとミリィがバイトする理由が日本での生活費を稼ぐための?

 ああ、そういうことか。


「生活費ってみんな日本で一人暮らしでもするの? それはちょっとぉ……」

「違います!」

「違うわよ!」

「違うにゃ!」


 ち、違うのか。


「もう、トール様が寝られてないから言ってるんじゃないですか。目の下にクマができていますよ」


 リアが頬を膨らます。


「寝られてないって話はさっきしたけど、みんなが生活費を稼ぐのと、どういう関係が?」

「だから私たちがお金稼いでるんじゃない!」


 ディートも口を尖らせるが、意味はわからない。


「バイトを続けてるのは凄いなあと思うけど。店長も助かってるって」

「そうじゃなくって! トールはダンジョンの領地運営するのも大変でしょ。実質的には地下都市の市長でもあるんだから」


 ホントそうなのだ。

 案件の決済をする書類に目を通すだけでも凄い量がある。


「だから私たちが日本の生活費を稼ぐっていうのよ。トオルの分もね」


 えええ? そういうことなのか?


「俺たちが日本で働けば、トールはダンジョンの領地経営に集中できるにゃ」


 ミリィが胸をはる。


「マ、マジ? 今までずっと僕におんぶに抱っこだったのに」

「しょうがないだろ。俺たちは日本で働けなかったんだからさ」


 確かにそうか。

 異世界人が日本で働けるわけがない。

 エルフも獣人も日本にはいないのだ。

 お店を覗いても、日本人の感覚からしたら多少の問題はありながらも三人はよく働いていた。

 僕のために……。

 視界が目から出た液体で歪む。


「本当に……」

「今までのファミレスは店長様がやめられてブラック化したんですよね」


 僕がずっと生活費を稼いでいたファミレスは、店長がやめて増々ブラック化が進んでいた。

 リアが言ってくれる。


「そっちは辞めちゃっていいわよ。トオルはダンジョン経営に集中してくれたほうが私たちも助かるしね~」

「そうそう。特に俺はトールに頑張ってもらわないと盗賊ギルドが困るにゃ」


 ううう。

 みんながそんなに僕のことを考えてくれるとは。


「ありがとう。みんながそう言ってくれるならしばらくダンジョン経営に集中しようかな。でも……」


 僕が「でも……」というと、三人がなんだろうという顔をする。

 前々から考えていたことがあったのだ。


「僕も店長のメグメルで働こうと思ってたんだ」

「「「そ、そうなの?」」」


 店長も最初は引き抜きみたいだからと僕が直接手伝うことを断っていた。

 でも、あれからずいぶん時間が経っている。

 それに今はダンジョンの仕事が忙しいからメグメルに入るのはもう少し先になりそうだ。


「うん。もうちょっと先だけどね。その前に領地経営をもっと円滑にできるように頑張るよ」


 リアとディートがうんうんとうなずいてくれる。


「リアとディートには先輩として俺が教えてあげるからトールは安心して領地経営してていいぞ」


 ミリィが胸を張る。


「まあ元々は盗賊ギルドが税金を払わないことからはじまったことなんだけどな。まだ利子分しか払ってもらってないぞ。元金は?」

「にゃはははは! ついに! その元金も! 支払う目処が経ったよ!」

「ええっ?」


 盗賊ギルドの税金滞納を持ち出したのは僕の照れ隠しだった。

 盗賊ギルドは今も積極的にショッピングモールに投資している。

 お金があるとは思えないのだが。


「そうとうな金額になってるよ? 払えるの?」

「猫型獣人に二言なし」


 聞いたことないことわざだ。

 僕も異世界の常識が身につきはじめている。

 その常識に照らし合わせば、猫型獣人の約束はむしろいい加減な性格として有名な気がするけど。


「それどころか三倍払ってもいいにゃ」


 やはり、な。

 僕の猫型獣人の常識は間違っていない。

 ダンジョン経営は今、色々とものすごく経費がかかっているから、本当に三倍も払ってくれたらとてもありがたいのだけど嘘に決まっている。


「はいはい。夢物語はいいよ。ちゃんと元金払ってね。分割でいいから」

「嘘じゃないのにっ!」

「はいはい」


 僕が相手にしてなかったらディートが聞いた。

 お金のことは嘘でも興味があるらしい。


「盗賊ギルドが滞納した税金の三倍ってどこから出てくるお金なの?」

「トールに三倍払っても、それ以上に残るよ。ディートにもあげるよ」

「ホ、ホント?」


 ディートが信じはじめている。


「でも、それにはトールたちの協力が必要にゃ」

「トオル話を聞いてみましょうよ」


 聞く気はない。

 盗賊ギルドが考えそうなことといったら……。

 どーせ僕のダンジョン卿としての名前を使って物を売るとか、金持ち貴族の屋敷に盗みに入るとかそんな話じゃないだろうか。

 いや、むしろちゃんと計画を聞いたほうがよさそうだな。

 危ないのだったらすぐ止めよう。


「それで、どうするのさ」


 僕が聞くと、ミリィが胸を張った。


「テシオの隠し財産の場所がわかったんだにゃ」

「隠し財産~?」

  

 隠し財産ってまた嘘くさいワードがでたな。

 こりゃ期待できそうにない。

 でも、テシオ? 何処かで聞いた名前だ。

 あっ……。


「テ、テシオって地下商人ギルドの元ギルドマスター?」


 テシオは元商人ギルドのマスターで、ヨーミのダンジョンの地下街の支配権を巡って争った。

 テシオはモンスターを使って麻湯を製造流通させたり、邪魔者は暗殺も辞さない悪人だ。

 今は弾劾され刑務所暮らしのハズだ。


「うんうん。アイツ捕まっただろ? でも役人が差し押さえできた財産はほとんど無かったんだ」

「確かにあんな悪どく金儲けてたやつの財産がちょっとしか無かったっていうのは変だな」


 本当にあるのか?

 テシオの隠し財産。

僕ダンの漫画版3巻が7月29日に発売します。

それにともない僕ダンの別バージョンを投稿しました。

トオルが高校生になって異世界とつながる学生寮を舞台にラブコメしたり、冒険したりします。

【放課後の異世界冒険部 僕の部屋がダンジョンの休憩所になってしまった件】

詳しくは下のリンクで。

こちらも小説の一巻が7月29日に発売して、コミカライズもはじまりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 設定や展開はとても面白かったのでここまで一気に読めましたw 続きを書く予定はもうないのでしょうかね? [気になる点] 全体的に慣用句の誤変換や俗に言う「てにをは」がおざなりになってる部分が…
[良い点] 続きが気になりま〜す。 せっかくなので完結まで頑張りましょう。
[一言] コミックもこちらも本当に面白いです。 続きが気になりますが、楽しみにしてます。 無理をせずに頑張って下さい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ