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僕も一緒に研修を受けることにする件

 ディートも働きたいなんて。

 そう言われれば、日本の物って異世界だとアーティファクトのような効果を発揮するものがあるんだよな。

 一時期、家の中でまでスク水とかブルマとか着ていた。

 異世界の闇オークションで高く売れるらしい。

 ディートは魔導の研究もしているので、日本のものにも興味があるのかもしれない。


「でも客商売なんて出来るのかなあ? お客様は神様ですなんて奴隷宣言しちゃうサービス業の人がいるぐらいの気質だよ。日本人は」

「な、なんですか、それ。日本怖いです」

「ど、奴隷にされちゃうの?」


 リアとディートが怯えだす。

 二人はまだ日本の細かい風習はわかっていない。

 異世界にはたまにガチ奴隷がいる国があるしな。


「いや、そういう意味じゃなくてさ。例えだよ。日本のお客に対するサービスはそれほどレベルが高いってこと」

「なんだあ。うんうん。確かに日本のお店の店員は凄く親切よね」


 ディートが感心している。

 心配だなあ。


「それをディートがやんなきゃいけないんだよ? 出来る?」

「なんで出来ないと思うのよ!」

「いや、だって」


 リアがたまに僕の部屋に来ると料理以外の家事はパパッとやってくれる。

 ディートはたまに来てもベッドの上でダラダラしてるイメージしかない。

 まあミリィも家事をしてくれないという意味ではディートと変わらないけど、どこかに連れて行けとかアクティブなタイプだし、実際にお店でメインの戦力になっている。


「だって何よ?」

「いつも僕の部屋来ると疲れた~とか言ってダラダラしてるイメージだから」

「私はダンジョンに潜って探索の仕事してるんだから当たり前じゃない」

「え? ダンジョンの探索とかやってんの?」

「やってるわよ! 私の職業、知ってるでしょ」

「知ってるけどさ」


 まあディートは冒険者なんだけども。


「リアは孤児の面倒見てるし、ミリィは盗賊ギルドの首領でしょ。トオルはダンジョンの再開発とか領主業にかかりきりだから、私は一人で冒険してるから疲れてるの!」


 魔法使いはパーティーを組むものなのに、ディートは単独パーティーを好むからぼっち魔法使いって言われてた気もするけど。

 でも、こうやって僕たちを仲間に思ってくれるのはいい傾向だよな。

 お店も一緒にやりたいのかもしれない。


「わ、わかったよ。とりあえず店長に聞いてみるよ」


 また、いい子がいたらいつでも紹介してと言われている。


「やったー!」

「わかればいいのよ」


 うーん。何事も無ければいいけど。


◆◆◆


 店長に電話したところ営業がはじまる前の午前中に来て欲しいということになる。

 二人だけ行かせるのは怖いので、全員で一緒に行ける三日後にメグメルに向かった。

 木の扉をいつものベルが鳴る。


「あ、鈴木くん。いらっしゃ……」


 店長が固まっている。


「どうも」

「驚いたよ。また外国の人とは聞いていたけど。すごい綺麗だから」


 二人がドヤ顔で僕を見る。はいはい。

 二人はミリィと同じようにネット上の日本のアニメや漫画のマニアが高じて来日したという設定だ。

 その設定をもとに事前に考えてあった自己紹介をする。


「へ~やっぱり日本のアニメとか漫画とか流行ってるんだねえ。僕は海底の要塞ナディシカぐらいしか知らないけど、アレは本当に面白かったよ」


 げっ。この設定、アニメとか漫画のことに突っ込まれたら終わりじゃん。

 毎年のように再放送されているスタジオジッチャンの有名アニメ映画だ。

 ナディシカを知らないのはマズイ!


「私もナディシカ大大大好きです!」


 へ? リアは知ってるのか。


「バドーが手を伸ばしてゴーレムからモトコを取り戻すシーンは感動しますよね~店長さんわかってる」

「えへへ。そう?」

 

 ディートも知ってるようだ。

 それどころか上級者のように既に店長を手球に取ってるぞ。


「じゃあ皆でそこのテーブルに座っていて。僕はマニュアルとか取ってくるから」


 店長が店に奥に入っていく。


「リアとディートはナディシカ知ってるの?」

「はい! ミリィさんから教えてもらい見ています!」

「店長はナディシカしか知らないからその話ばっかりする言ってたわ」


 そうだったのか。

 確かに僕も店長からナディシカの話を聞いたことがある。


「お客さんともお話できるように今はいろんなのを見てますよ」


 リアが言った。

 そういえば僕が異世界やファミレスに行っている時も二人は部屋に来てパソコンを見ていたな。


「まものの姫も面白かったわ~」


 ディートも見ているのか。

 どうやら二人はかなり真面目に考えていたようだ。

 店長がマニュアルを持って戻ってきた。


「じゃあ二人は一から教えるね」

「え? 採用不採用とかないんですか?」


 教えるって仕事をだろうか。

 先に二人について聞くとかないのだろうか。


「ないよ。鈴木くんとミリィちゃんの友達でしょ。むしろ仕事を知ってもらって、研修に入ってもらって、その上で二人に本当にやってもらうか決めてもらうって感じかなあ」


 どうやら僕やミリィは店長にかなり信用されていたようだ。

 店長からの説明を二人は真面目に聞いている。


「もし二人が大丈夫だったら今日の二時半から四時半頃入ってみない。その時間ならお客さんが少ないから」

「はい」「はい」


 二人が元気よく返事をする。

 僕も聞いてみようか。


「店長。迷惑じゃなかったら僕も今日、勉強のために研修させてもらってもいいですか?」


 僕も店長のように本格的な料理を学びたいと思っていた。


「鈴木くんが?」

「はい。キッチンのほうで。僕もちゃんとした店の料理を学んで見たいんです。すぐにメグメルで働かせて欲しいってわけでもないのですが、何かあったら二人にもアドバイス出来ますし」

「うんうん。鈴木くんなら僕はいつでも歓迎だよ。メグメルに入ってくれるのもね」


 僕もリアとディートと研修を受けることになった。

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