表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/147

ゴブリンが友好を申し出てきた件

話の最初の部分がコピペミスで切れてました。

申し訳ございません。

現在は直っております。

「ゴブリンザムライが来た……」


 僕がモニターを見ながら言うとリアが真銀の剣を手に取る。


「いやいや、ちょっと待って。江波さんと一緒に来てるよ」


 ディートも杖を構える。


「江波の奴、ゴブリン側に寝返ったわね……」

「うん。いや、そっち? 違うでしょ」

「違うの?」

「きっとゴブリンはオークと和解したんじゃないかな」

「え~? そうかな~」


 声をあげたディートだけでなく、リアも疑いの顔を向ける。


「ともかくダンジョンに行ってみようよ」


 皆とダンジョンに出て鋼鉄の扉を開ける。

 ニコニコ顔の江波さんが出てきたが、すぐに引きつった顔に変わる。


「皆さん、こんにちは! ちょっ! リアさんなんで剣を構えてるんですか? ディートさんも魔法の詠唱しないで!」

「江波、裏切ったわね!」

「ええぇっ? ディートさん、裏切り!?」


 僕が慌ててディートを止めた。


「ま、まずは話を聞こうよ。江波さんゴブリンザムライを連れてきた理由は?」

「あ、ああ」


 江波さんもやっと裏切り者扱いされている原因に気がついたようだ。


「実はオークはゴブリンと停戦協定を結びまして」

「「「「「停戦協定~?」」」」」


 皆は驚いていたが、僕はそんなことではないかと思っていた。

 江波さんとゴブリンザムライの話によれば、地下ギルドの支援が無くなった今、ゴブリンが圧倒的有利ではなくなったので停戦を申し入れてきたようだ。


「そんな都合のいい!」


 リアがそういうのもわからなくもないが、サバイバルな世界に生きていれば、絶対勝てる時にしか戦わないし、状況が変わればすぐ手の平を返すのかもしれない。

 江波さんに聞いてみた。


「オーク達はそれを受け入れるんですか?」

「ええ。オークは戦士でもありますが、平和を愛する種族ですから」

「へ、平和を愛する種族……そうですよね」


 確かにオークは人間とも和解しようとしている。

 すぐにオークを薄い本の悪役に使う日本人代表として、僕は謝罪した。心のなかで。

 江波さんはさらに言う。


「停戦協定だけじゃなく、友好条約を結びたいなとも思っているんです」

「ふむふむ。なるほど」


 停戦の取り決めだけじゃなく、平和的な条約を結んで交流もしたいということだろうか?

 殺し合った仲なのにモンスターは度量が広いな。

 まあ日本人もアメリカ人と仲良くしているし、厳しい世界に生きている者同士はもっとドライなのかもしれない。


「いいことじゃないですか」

「ただ、問題もあって、オークとしては停戦協定はともかく、友好条約を結ぶならゴブリンも人間を襲うなという条件を付けたいんです」


 確かにオークは人間と仲良くやっていこうと思っているのに、友好を結んだゴブリンが殺しまくっていたら、色々と角が立つ。


「ゴブリンの意見はわれています。今まで通り人間を襲うか、襲わないで生きていくかで。ゴブリンザムライさんは襲わない派で」

「おお、ゴブリンザムライ! ありがとう!」

「ウム。シカシダ。オソウハノイウコトモワカル」


 現状ゴブリンは数が増えてしまい、地下六層の畑だけでは食料を賄えないらしい。

 また地下ギルドとの交易で生活レベルも上がってしまった。


「ふーむ。一度、便利な生活を知ってしまうとなあ」

「ムカシノ クラシニ モドロウト イッテイルノダガ、ナットクシナイモノモ オオイ。 サラニ ショクリョウノ モンダイトハ ドウニモナラヌ」


 そりゃそうだ。生まれたものを死ねとも言えない。


「それに冒険者が五層に来て襲ってきたら、結局反撃せざるを得ないですしね」

「まあゴブリンとしては襲われたらね」

「そこでトオルさんにお知恵をお借りできないかと。大賢者なんでしょ?」

「えー?」


 どうやら江波さんは、僕がただの大学を中退したフリーターだということを忘れてしまったらしい。

 このなかでは日本のフリーターのことについて一番詳しそうなのに。

 異世界にかり過ぎだろう。


「わかりましたよ。なんとか考えておきます」

「おお! ありがたい! さすがは大賢者!」

「ところで僕の方からも少し相談が」

「なんですか?」


 相談というのは江波さんというよりもゴブリンザムライにだった。


「実は僕達は人間同士で争っているんだ」

「ソレハナントナクシッテル。ドウシュデアラソウナドバカゲタコトダ」

「その通りなんだけど、中毒になってやめられなくなる薬を同種の人間に売って儲ける悪どい奴らがいるんだ。商人ギルドのテシオなんだけど」

「ユルセンナ」

「ああ、だからやっつけたい。例え、同種でも」

「ナルホド。ソレナラ キョウリョクシヨウ」

「ありがとう。ゴブリンザムライ」

「ヤツラトハ、モウギリハ ナイ」

「じゃあゴブリン達と取引したのは? どんな奴らだった」

「アサグロノ タラコ クチビルダ」

「浅黒のたらこ唇……ソロッツォか。傭兵ギルドのマスターだ」

「アア、ソロッツォダ。ソウ、イッテイタ」


 ソロッツォは自ら取引をしてたのか。金になることだからな。

 しかし、テシオは用心深い男で、常に影にいる。なかなか尻尾を見せない。

 ノエラさんと行った地下ギルドの会合でも友好的な顔をしておきながら、僕達の帰る道中に刺客を潜ませていた。


「マア、ソロッツォヨリモ、ヨクキテイタノハ、 ショロウノ メツキガスルドイオトコダッタケドナ」

「初老の目つきがするどい男?」

「アア、コウジョウノ コウリツカガ ドウトカウルサクテナ」


 アイポンでこっそりと撮影しておいたテシオの画像をゴブリンサムライに見せる。


「アア、コノオトコダ」

「おおお!」


 どうやらテシオは名乗らなくても麻湯の工場には何度も足を運んでいたらしい。

 細かい性格が裏目に出たようだ。

 テシオは今も証拠がないとたかをくくっているらしいが、まさかアイポンやゴブリンにやられるとは気がついていないだろう。


「これでテシオを倒せるかも知れないぞ!」

新作『娘達をS級に育てたから引退するおっさん、伝説の聖剣を抜いてしまう』もよろしくお願いします。

次回の更新は土日かと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ