リアルクラフトに向かう件
リアとディートとミリィがランクラに嵌って二台のパソコンは取り合うことになった。
三人は冒険よりもどちらかというと家づくりなどを中心に楽しんでいるみたいだ。
最近では立石さんも彼女の自宅のパソコンから参加しているらしい。
僕はあまりパソコンが使えないので相変わらずシズクとリアルスケルトン狩りをしていた。
「そろそろ戻るか」
「はい!」
そろそろ寝ないといけないなと思って部屋に戻ると誰もいない。
「あれ? 誰もいないのか。おかしいな」
「書置きもなしに変ですね」
皆は携帯を持っているわけでもないので連絡することもできない。
あまりに帰ってこないようならダンジョンの一層にある地下街やへラクレイオンの街にある冒険者ギルドなどの心当たりを探す必要もあるかもしれないけど、今は慌てずに待つことにした。
「皆でダンジョンの何処かに行ったのかな?」
「そうですよね」
誰もないからパソコンも空いてる。
ランクラしてみるか。みんなが作っているものがどうなったかみたいし。
パソコンを起動してランクラを開く。
「へえ~皆かなり作りこんでるなあ」
花畑と動物に囲まれたこの木の上にあるログハウスがディートの家ということは知っている。
「ならこのお城と屋台と……なんだかわからないへんてこりんの建物は? シズク誰が作ったかわかる?」
「わかりません」
城はリアだろうか。
昔の主君は小さな城を持っていたと聞いている。
屋台に近づいてみる。
おお、屋台には大釜という水をためるアイテムがせっちしてあってそのなかを魚が泳いでいた。
「これはミリィ様の金魚掬いの屋台ですね」
僕もシズクの意見に同意する。
「うん。間違いない。とすると……」
残った変な建物は立石さんのか?
とりあえず入ってみるか。
「入ってもなんの建物かわからないな」
「なんでしょうね」
シズクと二人でモニターをのぞき込んでも答えはでない。
と思ったときだった。
ゲーム内のチャット画面枠に文字が流れる。
「鈴木さん(○'ω'○)?」
変な建物内にはプレイヤーキャラがいた。
カーソルを合わせるとtateishiと表示される。ちなみに僕はtouruだ。
「あ、立石さんか!」
「やっぱり鈴木さんだヽ(=´▽`=)ノ」
「この建物って立石さんが作ったの?」
「はい。お寺ですo(*^▽^*)oエヘヘ! どうですか?」
ここはお寺だったのか……。さすが寺生まれのT……。
「??(・_・*)(*・_・)(*~^~)/??」
い、いかん。
「ああ、うんうん。凄いお寺だよ。大きいしさ」
「わあい\(^▽^\)(/^▽^)/わあいっ」
「ところで皆がどこに行ったか知らない?」
「皆さんならゲームをやめてダンジョンに行くって言っていましたよ」
「え? そうなの?」
おかしいな。最近じゃ皆バーチャルの世界にはまっているのに。
「なんか地下街を再開発するとかなんとか」
おお。フルブレム商会が本格的に動き出したのかもしれない。
僕も地下街に行くか。
ランクラで建物を建てるよりもリアルダンジョンで建物を作ったほうがいい。
「シズク地下街に行こう」
「はい!」
決まりだ。ならゲームを落ちよう。
「立石さん悪いんだけど僕も地下街に行こうと思うから落ちるよ」
「えーそうなんですか(ノ△・。)」
「う、うん。会ったばっかりで悪いんだけどさ、また!」
僕は有無を言わさずランクラを落ちた。
「シズク!」
ジャージから久しぶりにシズクアーマー、異世界の冒険者風の革鎧に着替えた。
さーて異世界に行くかと思った時だった。
アイポンのラインにメッセージが入る。
「鈴木さん私も異世界行っていいですか?」
えええ?
「もうかなり遅い時間だよ」
そう返信したが。
「お父さんはいいって(*^-^)/\(*^-^*)/\(^-^* )」
いいのかよ。なら断るのもかわいそうかな。
デパート作るなら僕よりも女の子のほうが詳しかったりセンスが必要かもしれないし。
「なら迎えに行くから」
ラインにそう返す。
「シズクお願い」
「はい!」
革鎧の僕は一瞬にしてTシャツジーンズになった。
「シズク! お寺に立石さんを迎えに行くぞ!」
「はい!」
再び革鎧姿になって立石さんと地下街を歩く。
「うわー工事はもう始まってるんですね」
彼女はいつものクールな顔になった。
よし! まずは盗賊ギルドの本部に行くか。
6月10日二巻の正式発売日です。
もう書店には並んでいると思います。
よろしくお願いします。
明日も更新できたらと思います。
コミカライズもよろしくお願いします。