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いつもは凛々しい騎士でも可愛い時があってもいい件

 トンスキホーテから出て行こうとするとコスプレコーナーが目に入った。

 その時、僕の脳に電光走る!


「ひょっとしてダンジョンでコスプレ服を着たらステータスアップになるんじゃないか? いやいや、さすがに無いか……」


 でも念のため覗く必要はあるかもしれない。

 あくまで念のためだ。

 ダンジョンで生き延びるためには慎重に慎重を重ねても足りないぐらいなのだ。


 ゴスロリ服とかメイド服や制服が目に入る。

 チープでおしり丸出しと言えるぐらいスカート丈が短いデザインのものも多い。

 そう言えば今、リアはおそらく下着を穿かずに直接ジャージを着ている。

 おパンツは濡らしてしまったからね。

 後ろから〝おパンツ見せ見せ〟でウインクしながら振り返っているモデルさんがパッケージのメイド服があった。

 値段はサンキュッパ! 意外と安い!


「こ、これは恐らくダンジョンに効きそうな……」


 モデルさんも十分にかわいいのだが、リアの可愛さとは比べるべくもない。

 リアがこの服を着て同じポーズをしてもらったら……しかも彼女はナッシングおパンティーなのだ。

 僕はフラフラと手に取りそうになる。


 い、いかーん! おばあちゃんが悲しむぞ! なにを考えているんだトオル!

 このっこのっ! 僕は自分で自分を叩いた。


「まったくなんという不謹慎な男なのだ。なにも知らない女の子に対して破廉恥な服を騙して着させようとするなんて。ア、アレ? ひょっとしてこれとかこれならリアの下着代わりになったりするんじゃね?」


 僕はトンスキホーテを出て自宅に走った。食料品や寝巻き用のジャージのなかにはスクール水着&体操着セット(ブルマ)が入っていた。

 マンションに戻る。リアは和室にいなかった。


「あ、あれ? ただいまー」

「おかえりなさーい」


 どうやらリアは洗面所兼脱衣所のほうにいるようだ。

 スクール水着&体操着セット(ブルマ)を薄い本が入っている押し入れの中に投げ入れてから洗面所に向かった。


「リア? なにしてるんですか?」

「お洗濯です」


 リアはお風呂場の桶で下着を手洗いしていた。


「中世の人ならそうなるよね……」

「え? なにか言いました?」

「いや、なんでもです。洗剤はなにを使いました?」

「このからだ用の石鹸をつかちゃったんですけどダメでしたか」


 ボディーソープか。まあ別にいいんじゃないだろうか。


「実は洗濯用のアーティファクトもあってね。それようの洗剤があったんです」

「そ、そうだったんですね。申し訳ございません! もう終わっちゃいました……」

「あ、気にしないで」


 僕がそう言うとリアは桶からおパンティーとブラを取り出して絞って脱水した。


「なにか干すものありますか?」

「あーあるある。持ってくるね」

 

 ダンボールを開けて洗濯バサミとハンガーを取り出す。

 僕が洗面所に戻るとリアはまだ脱水をしていた。


「え?」

「どうかされましたか?」


 リアはまたおパンティーの水を絞って脱水していた。

 だがそれは可愛い女性物ではない。ボクサータイプの男性物だ。


「それ……僕のおパンティー」

「あ、このカゴの中にトール様の下着だと思うものがあったので。洗濯をするものではなかったのですか?」


 リアは僕の下着だとわかっても手で洗濯してくれていたのだ。

 中世の人だったら当たり前かもしれないが。


「いや、洗濯するつもりでしたよ。ありがとう」

「はい!」


 リアが満面の笑みで微笑む。

 彼女が僕の下着を洗濯している間に、スクール水着&体操着セット(ブルマ)を買って来た自分をちたくなってた。


「私の下着は代えがないからちょっとスースーしますね」


 リアが恥ずかしそうに目を伏せる。


「明日には乾くよ」


 ここにこういうものがあるんだけどとブルマを出せない自分をちたくなってた。

 記憶のなかのおばあちゃんは笑顔だった。


「ところでオリーブオイルと使わない布ありませんか? ないですよね」

「え? あるよ」

「本当ですか? 少し頂いてもいいでしょうか」


 自分は結構、料理をするのでオリーブオイルはもちろんある。

 布も破れたTシャツをハサミで切ったものがある。


「これでいいかな?」

「ありがとうございます。助かります」


 リアは布にオリーブオイルで湿らせる。

 なにをするのかなと思ったら甲冑と具足を拭きはじめた。

 そうか。錆止めか。

 リアの表情は真剣そのものだった。

 笑っている顔も可愛いけど、今の顔も凛々しくて美しい。

 こうしてみると本当に騎士なんだなあと思う。

 

 さて自分もやることがある。

 リアに甲冑整備しててと伝えて、引っ越ししてからまだあまり使ってない洋室に行った。

 この部屋はパソコン部屋兼寝室にするつもりだ。


「さてベッドフレームを組み立てますかね」


 最近の安い家具は組み立て式のものが多い。工具も入っているタイプだ。

 相当、大きいばらばらのフレームが部屋に置いてある。


「二人以上で組み立ててくださいって書いてあるんだよな」


 だからリアがお礼をしたいって言った時に作るのを手伝ってもらおうとしたんだが、彼女は甲冑を整備中だ。

 邪魔してはいけない。一人でやってみる。

 黙々と作業するがだんだんと二人でと書いてある意味がわかってきた。

 

「なるほど大きなパーツと大きなパーツをつなぎ合わせるときに一人がパーツを支えてくれないと難しいのか。ぐっ。くっ」


 なんとか壁に立てかけたり。パソコン机にパーツを挟んだりして一人でもできそうだった。


「あれ? 家具をお作りになさってるんですか?」


 結局、リアが手伝ってくれた。ベッドはさすがにアーティファクトじゃないよな。

 しかし、マットレスには驚いたようだ。


「わあ、凄い! 適度にポヨンポヨンの弾力があって羽毛よりも気持ちよさそう! ベッドのアーティファクトですね!」


 ビニールに圧縮梱包されたペッタンコのマットレスを開けるとすぐに弾力性のあるマットレスになった。

 ボックスシーツを被せればすぐに寝れる。


「できたと。じゃあ今日はもう疲れたから寝ますか。リアはベッドで寝てね」

「えええ? 私がですか? トール様はどこに?」

「畳の上ですかね」

「そ、そんな。悪いですよ」

「でもベッド一個しかないですから」

「私が畳で寝ます! 畳大好きです!」

「いやリアは疲れているだろうからベッドで寝たほうがいいですよ」


 僕も主張したのだが、結局リアの主張のほうが強かった。

 僕が洋室のベッドでリアが和室の畳で寝ることになった。

 歯を磨いたり二人で寝る準備をする。

 タオルケットと毛布があったのでそれはリアに譲って、まだ季節的には暖かいし僕はバスタオルで寝ることにした。

 和室にタオルケットをひいて枕と毛布を置く。


「灯りのアーティファクトを消すね」


 蛍光灯のスイッチを消そうとするとリアが声を上げた。


「あっ」

「ん? どうしたの?」


 リアはどこか不安そうな目をする。


「いえ、その……おやすみなさい」

「う、うん。おやすみなさい」


 どうしたんだろうと思いながら和室を暗くして、自分は洋室に行って作ったばかりのベッドで寝ることにする。

 部屋を暗くすればすぐ眠れると思ったが、興奮しているのか寝れなかった。

 そりゃそうだ。この物件に引っ越ししてからというもの初日なのに大冒険もいいところだぞ。


「少し寝たいんだけど寝れないな。枕をリアに渡してしまって無いからかも」

「あの……枕……使います?」


 ほとんど真っ暗な部屋から声が聞こえる。

 ビックリして声のほうを振り返ると窓の光で女性らしきシルエットが浮かんだ。


「あ、リア。ど、どうしたんですか?」

「枕……使うでしょう? 私、使いませんから」


 リアが枕を渡してくる。つい受け取ってしまった。

 暗闇だったから受け取る時に手を握ってしまった。

 震えている? 


「あっ!」

「……」


 その時、僕は気がついたのだ。

 今まで凛々しい騎士の側面ばかり見ていた。

 けれどリアはダンジョンの真っ暗な場所で意識はありながらモンスターに襲われるのを待っていたのだ。

 ついさっきの話だ。


「あのさ。リア。このベッドマットレスのアーティファクト気持ちいいから一緒に寝ます? いや寝ましょう。やっぱりそれがいいですよ」


 少しだけ間を置いてリアのシルエットが小さく頷く。

 ベッドはちょっと贅沢してセミダブルだったので、無理をすれば離れて寝ることができた。

 けれども震えるリアに腕を回して寝る。リアは最初は少しビクっとしたけど腕を首に絡めてくれた。

 震えも止まった。


「暖かくて……怖くないです」

「うん。よかった」


 リアは自分のおでこを僕のおでこにつけてきた。


「ありがとう。トール様」


 いつもは凛々しい騎士でも可愛いい時があってもいいよね。

システム障害で繋がりにくい時に読んでくださって本当にありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] スクール水着にブルマ!、アンタは変態かー。 くだらないから読むのやめた
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