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三人で寝たほうが楽しい夢が見れる件

「んんっ」


 お風呂からシズクがいなくなってリアと二人になったのでちょっとだけえっちなことをしてしまう。

 ただ単にちゅーしただけだけど。

 リアの手が伸びそうになったのを止めた。


「シズクが先に出ちゃったから僕は出るね」

「あ、そうですよね。すいません」

「い、いや。続きはして欲しいし。ところで今晩だけじゃなく明日も泊まるよね?」

「え? は、はい。そのつもりですけど」


 リアがどういうことだろうという顔をした。


「明日も日本に泊まるつもりならさ」


 僕の考えをリアに伝える。


「日本のお金も結構はいったから」

「いいですね! なによりシズクちゃんが喜んでくれると思います」

「うんうん。じゃあ僕は一足先にお風呂出てるね」

「はい!」


 リアを置いてお風呂を出る。

 シズクは何処かな?

 浴室、いない。

 ダイニング、いない。

 洋室、いない。

 和室にも、一見いない。

 僕は押し入れを明けて薄い本が入ってるダンボール箱を覗いた。


「シ~ズク」

「あ、ご主人様」

「どうしてこんなところにいるのさ?」

「……」


 シズクはそれには答えない。


「ご主人様、リア様のお相手をした方がいいですよ。私はここで寝ますから。きゃっ」


 僕はシズクを抱き上げて撫でる。

 シズクは一言も文句を言わないし常に僕の望みを考えてくれるが、本当はこうされたいに決まっている。


「なに言ってるんだよ~シズクも一緒にベッドで寝るんだよ」

「えええええ? お二人がアレする時にお邪魔ですよね?」


 やっぱり気を使ったのか。


「お二人のをこっそり覗いてその日のために学習しておきますから。トオル様のアレも克服しておきます!」


 こっそり覗くつもりだったんかい。

 その日のためにってどんな日さ?


「も~なにいってるんだよ。リアが帰れなかった頃は三人でベッドで寝てただろ。シズクがいないとはじまらないよ」

「ご、ご主人様~」


 シズクが身体を僕の胸に擦り付けながらプルプル震えた。

 お風呂上がりのリアがやってきた。


「あら、シズクちゃん。トール様に抱っこされて羨ましいなあ」

「えへへへ」


 僕が提案した。


「まだ寝るには少し早いし皆でなにかして遊ぼうか?」

「シズクはご主人様のレベル上げを手伝いたいです」


 リアが笑う。


「あはは。シズクちゃんは本当にトール様が好きなんだね。でも今の場合はそうじゃなくてシズクちゃん自身も楽しめることが良いと思うよ」


 シズクが少しだけ驚きの震えをした。


「そうなんですか? ご主人様」

「うんうん」

「ご主人様のレベル上げも楽しいんですけど……えーと……」


 常にご奉仕をすることを旨としていて、主人の喜びが自分の喜びになっている白スライムには自分が楽しめることが思いつかないようだ。

 でもシズクにだって本当はそういうものが必ずあると思う。


「あ、シズク、ご主人様とリア様にマッサージがしたいです」


 僕とリアは顔を見合わせて笑った。


「ま、そのうち見つかるよね」

「ですよね」


 とりあえずマッサージをしてもらった。

 シズクにばかり働かせたら悪いので途中から二人でリアをくするぐことにした。

 でもその三倍ぐらいくすぐり返されてしまった。

 しかし、なにかシズクが喜ぶものないかなあ。

 漫画は一人で読むものだし。


「そうだ! ガイの大冒険がある」

「あ~あのディート様がお好きな漫画ですね」

「僕が絵本みたいにして読んであげるよ」


 僕はあぐらをかいてそのうえにまずはリア、そしてシズクに乗ってもらった。

 二人を後ろから抱きしめるようにガイの大冒険を持つ。

 ちょっと遠くて文字が見えないけど僕は暗記するほど読んでるからなんとかなるだろう。

 僕がガイの大冒険を読み始めるとリアとシズクはシンとしてしまった。

 寝てしまったのかな? 途中でとめる。


「ト、トール様! エレキブレイクがワニのおじさんに!」

「ご主人様! ワニのおじさんはどうなっちゃうんですか!?」


 どうやら寝たのではなく真剣に聞き過ぎて固まっていただけのようだ。

 心配しなくてもシズクが楽しめるものはすぐに見つかった。


◆◆◆


 シズクがベッドの真ん中で跳ねるようにピョンピョンと上下に震えた。


「シズクは~ご主人様とリア様の真ん中です!」


 その様子を見てリアが笑う。


「はいはい。シズクちゃんは真ん中ね」


 僕が言った。


「じゃあ電気消すよ」

「「はーい」」


 暗くして皆でベッドに入る。

 シズクがほのかに暖かい。

 シズクは体内のエネルギーを消費して温度を調整することができる。


「うーん。ぬくい。やっぱりシズクと寝るのは最高だよね。リア」

「はい!」

「うふふふ。そうでしょうそうでしょう」


 やっぱり皆で寝てよかったな。

 シズクだけを押入れのダンボールのなかにいてもらってなどできない。

 色々とできない。


「でも本当に良かったんですか? ご主人様とリア様はじめられても良いんですよ? シズク応援してますから」

「い、いや、応援は良いよ。ねえリア?」

「そ、そうですね」


 シズクがプルプルと震えた。


「ご、ごめんなさい」

「リアは明日も時間あるらしいからさ。だから明日はバイトが終わってから遊びに行って泊まってこようと思って」

「あーそうだったんですね」

「だから今晩はシズクちゃんと一緒に寝て、明日はトール様がお仕事している間にタップリ遊ぼうね」

「はい! シズクとっても嬉しいです!」


 僕とリアも楽しい夢が見れるに違いない。

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