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シズクがアシストしてくれる件

「ミリィ、どこ行ってたんですか! トオル様まで一緒になって!」


 盗賊ギルドの本部でノエラさんの怒声が響く。


「にゃははは」

「まあまあノエラさん」


 僕はミリィを肘でつつく。

 ミリィが立川の駅ビルで買ってきた服の紙袋を取り出す。


「なんですか? 日本のもの?」

「そうだよ。ノエラに買ってきたの」

「ええ? 私に?」

「開けて開けてっ」


 ミリィに急かされて、ノエラさんは紙袋を開ける。

 

「日本の服ですか? かわいい……」


 ノエラさんはいつも質素な服を来ているからね。

 ミリィは満面の笑顔だ。自分では見れないけどきっと僕の顔もそうだろう。


「ごほん。そんなことに誤魔化されませんよっ!」


 どうやら気に入ってくれたようだ。

 嬉しさが隠しきれていない。


「それにトオル様に買ってもらっただけでしょ。トオル様だってお金が大変なのに」


 おっといけない。せっかくミリィが頑張ってくれたのに逆の誤解をしてしまっている。


「いやミリィは僕の日本での経済状況を助けてくれたんですよ」

「そうなんですか? 一体どうやって?」

「色々あったんですけど、ともかく助かりました」


 まあ、お馬さんが話していることを聞いてくれただけなんだけどね。


「そうですか……ミリィがトオル様のお役に立てたんですか……」

「も~トオルは俺がいなきゃ全然ダメだよ」


 ミリィが適当なことを言ってるけどまあ良いか。

 実際、お財布がピンチになったらまたお馬さんでお世話になるだろうし。

 さて二人は盗賊ギルドの仕事があるだろうし、僕は帰るか。

 挨拶して盗賊ギルド本部を出る。

 そういえばマンションに繋がっている扉に行くまでに再開発した場所を通らなければならない。


「どれどれ屋台の様子はどうかな。うん盛況盛況。たまに見に来るのもいいよね」

「どうしてたまになんですか?」

「いや~なんだかんだ毎日忙しくてさ。ん?」


 おかしい。僕の独り言に誰かが答えた。

 振り返るとリアがいた。


「あっ。リア」

「もう! トール様のほうから私に会いに来てくれるかなと思って待ってたのに全然来ないんだからっ!」


 ディートやミリィが僕の部屋に来ていたから行けなかったとは言えない。

 怒らしてしまっただろうか。


「ディートさんもいなくなってミリィさんも明日からいないんでしょ?」

「え?」


 その通りだけど、ど、どうしてわかるんだ?

 女のカンか? それとも女の情報網か?


「えってことは図星みたいですね……」


 どうやら女のカンのほうらしい。


「いや、まあね。ははは」

「も~。子供達も大分お手伝いが出来るようになりましたから私もお邪魔していいですか?」

「え、来るの? もちろんいいよ!」

「やった!」


 リアが笑顔になる。

 どうやら怒っているということもないようだ。


「じゃあちょっとだけ用事をしてくるんで先に行っていてください」

「うんうん」


◆◆◆


「ご主人様、なんでそわそわしてるんですか」


 やっぱりそわそわしていただろうか。

 コタツの上にいるシズクが聞いてきた。


「リアが来るんだよね」

「そうなんですか。でもリア様が来るとそわそわするんですか?」

「なんでかなあ」


 確かにディートやミリィと違ってそわそわしてしまう。

 一度してしまったからだろうか。

 でもミリィともしたんだけどな。アイツとは複数回だったけど。


「リアに対してはなんか格好つけちゃうんだよなあ。初めて会った頃は賢者のフリとかしてたし」

「トオル様は自然体でも十分カッコイイですよ!」

「そ、そう?」


 シズクがそう言ってくれるのは嬉しいけど白スライムだからそう思うんじゃないかな。

 白スライムは人間を愛して、その人間が好む姿になって共生するモンスターなのだ。

 それでもシズクの話はヒントにはなる。


「カッコイイかどうかはともかく……そうだよな。自然体になろっと!」

「はい!」

「そうだ! シズクはディートとかミリィがいる時はあんまり出てこないよね」

「一応……お邪魔しないようにお二人にしたほうが良いかなと思いまして。ダメでしたか?」

「いやダメじゃないと言うか、むしろナイスアシストだけどリアの時は一緒に居てくれないかな? そっちのほうが自然体でいられる気がする」


 リアと二人きりになるとやはりそわそわしてしまう気がする。

 実際に皆と一緒の時ならリアと一緒に居てもそんなこともないのだ。


「一緒に居たほうがいいんですね! わかりました!」


 シズクが嬉しそうに震える。


「うん。お願い」


 ちょうどその時玄関のほうから声が聞こえた。


「トール様~お邪魔しま~す」


 シズクと頷く。二人で玄関に向かった。


「あ、シズクちゃん。トオル様も」

「リア様~」


 リアが走り寄ってきたシズクを抱き上げる。


「待ってたよ~お腹減ってる?」

「私、盗賊ギルドの屋台の食べ物を色々買ってきましたよ」

「あっホント。いいね~」

「シズクもリア様が作ったりんご飴を食べたいです」


 どうやらシズクのおかげで自然体でいられるようだ。

 

◆◆◆


「美味しかったですね~」


 シズクがプルプル震えている。

 確かに美味しくなったと思う。


「たこ焼き、お好み焼き、唐揚げ、クレープ、りんご飴、皆レベルが上ってるね」


 リアが胸を張る。


「私も皆に一生懸命教えてますから」


 リアは料理があまり得意ではないけれど、まあ同じものを作るだけなら大丈夫だったのかもしれない。

 ノエラさんのフォローがあったのかもしれない。

 今日は喜んでもらえてよかった。

 食後、少しまったりしてからリアが言った。


「トール様、お風呂入って良いですか?」

「うん。入ると思って沸かしてあるよ。どうぞどうぞ」


 リアはお風呂好きだ。


「シズクもリア様と入りたいです」

「一緒に入る?」

「はい!」


 な、なにシズクめ。いつも僕が一緒に入ってるのに。

 というか僕がリアと一緒に入りたいのに。


「ご主人様も一緒に三人で入りましょう!」


 な、ナイスアシストォォォォ!


「えぇぇ? ト、トール様も!?」

「はい!」


 僕は一応遠慮するようなことを言った。


「そ、それはまあ……二人で入ったほうが良いんじゃないかな?」

「なんでですかぁ? ご主人様とも一緒に入りたいです」


 シズクがさもどうしてという声を出す。


「だってねえ。リア?」

「い、いえ。いいですよ。三人で……入りましょうか……」

「え、いいの」

「ぇぇ……はぃ……」


 やったあああ!

 まあ……もちろんスクール水着だったんですけどね。

 しかも身体を洗うために湯船から上がると。


「ちょっちょっとシズクは! 押し入れに行きますっ」


 そう言ってシズクが逃げ出してしまう。

 だってしょうがないじゃないか。


「ど、どうしたのかしら。シズクちゃん」

「い、いやまあ」


 リアはシズクの弱点を知らない。


「せ、背中流しますね」

「う、うん」


 途中からは二人でお風呂を楽しむ。

 ひょっとしてこれもシズクの計算の内なのかな。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] あぁ、あの時点でリアとはヤってたのか(~∀~;)
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