あなたの方がやばいわよ
「どうしようか……」
飛び降り脱出が不可能ということが証明された今、正攻法で脱出するしかない。
しかし、いくら試行錯誤しても現在の所持品では脱出方法が思い浮かばないのだ。
「とりあえず、この宝物庫の宝箱を全部開けてみましょうよ。何かあるかもしれないわ。」
「そうだな。今のままじゃどうすることもできないしな。」
俺たちはまだ開いていない宝箱を次々と開けていった。だが、不幸なことにその中にはローブが入った宝箱もあり、とうとう彼女の肌の露出が減ってしまったのだ。まあ今の服装でも下着に一枚のローブを羽織るだけという服装なので許容範囲とする。
他にはどんなものでも貫けそうな大きな矛やどんな攻撃も防げそうな盾もあったのだが、さすがに袋に入りそうにないので持ち帰るのは諦めることにした。そうして時間も過ぎていき…
「あと残りの一個か… これでいいものが入っていればいいんだけどな。」
「きっとダンジョン脱出アイテムとかあるわよ。普通ダンジョンに一つは脱出アイテムがあるものだし。」
俺たちは期待に膨らませながら最後の宝箱に手をかける。
今更だが、宝箱に鍵がかかってないなんてガバガバなセキュリティだな。
開けた中には、今までこの部屋で見つけたものとは全く違う趣向のものが入っていた。
「なんだこれは…」
その中身のものが意味不明すぎて、唖然としてしまう。下着にローブの彼女は驚きすぎて固まっている。
こんなもの見たことなんであるだろうか。リザードマンのエロ本なんて。
親切にもこの世界を作ってくれた神様は、共通言語を日本語にしてくれたようで本のタイトルもきちんと読むことがある。それにしても、「スライムまみれのぬるぬるリザードウーマンのティータイム」ってどんなタイトルだよ。どんな趣味してんだよリザードマンの世界…
俺はリザードウーマンなんてモンスターしらなかったが、表紙を見た感じだとリザードマンの胸が膨らんだような生き物のようだ。
しかし、そんな特殊なタイトルに少し興味を惹かれてしまう自分がいる。ページをパラパラめくってみると、タイトルの通りスライムまみれになったリザードウーマンがお茶を飲んでるセクシーショット(?)が並んでいる。
「やべぇよ… やべぇよこれ…」
俺はそっとエロ本を閉じた。横にいた彼女は俺を軽蔑するかのような目で見ている。
「あなたの方がやばいわよ…」
固まった俺に彼女はさらに続ける。
「普通の人間だったら、スライムまみれのぬるぬるリザードウーマンのなんちゃらとかいうエロ本なんて見ないわよ… いったいどんな性癖してるの?」
「い、いや、違うから! 俺は普通の人間だから! 普通だったらこんな特殊な本を前にしたら好奇心でちょっと見ちゃうでしょ!」
俺は必死に弁解するが、彼女に俺の言葉は響かないようだ。
「もういいわ… それより脱出方法を考えましょうよ。」
「あ、あぁ… それなんだけど、いい案を思いついたんだ。」
そして俺は彼女にさっきのエロ本から思いついた案を語った。