グッジョブ女神
「まず、この世界はRPGを元にして作っただけでゲームの中の世界ではないわ。モンスターがお金を落とすわけでもないし、基本的にはあなた達の住んでる世界と同じ。そこにモンスターがでてきたり、魔法を使える人がいたりするだけって考えてくれるといいわ。」
ということは死んだら終わりなのか… 下手に魔王に挑まなくてよかったな…
続けて女神は説明をする。
「それ故、よくありがちな経験値をためてステータスを上げるとかいうのは存在しないわ。そんな制度つくってしまったら死なないように最初の街でレベル100にしちゃう人とかでるかもしれないでしょ? そんなの楽しくないもの。」
そうだ。どうあがこうがこれは神様の暇つぶしということを忘れてはいけない。この世界には神様にとって面白くないシステムなんてないのだから、そこに攻略法が何かあるのかも。
しかし、レベルアップが存在しないのならどうやって強くなるのだろうか。武器を強化して強くなるスタイルのアクションRPGみたいなものなのだろうか。それなら魔法はどうやって習得するのだろう…
そうやって俺が頭にはてなマークを浮かべていると、女神はそれに察したかのように答えてくれた。
「強くなるには、武器を手に入れたり魔術師から魔法を教わったりするがこの世界の王道よ。魔王城で装備を手に入れたあなたたちは少し有利ってことになってしまうわね。」
俺の袋の中には魔王城で手に入れた装備がいくつか入っている。じゃあ俺たちはかなり有利な状態で冒険を始められたようだ。
「まあ、こんなところがこの世界の仕組みよ。あとさっき一人一問答えるっていったけど、やっぱり面倒くさくなったわ。ちょっと一問目で答えすぎてしまったしね。それじゃ、ゲームバランスを戻すためにも魔王城の装備は没収していくわ。」
「え、ちょ、まっ、待って! 魔王城に召喚したのはそっちが悪いだろ! 装備没収はないでしょ!?」
藁にもすがる気持ちで女神に訴えかけると、やれやれと女神は言った。
「わかったわ、確かにこっちにも非があるしその槍だけは残しておいてあげるわ。それじゃあね。」
「え、そんなことしたら私が!」
ミオが何かに気づいたようだったが、女神は眩しい光に包まれ消えてしまった。
その何かは光が消え、俺が目を開けた瞬間に発覚する。
目の前には初めて会ったときと同様、下着姿のミオ。そういえば、彼女が来ていたローブは魔王の城のものだった。
さっきは魔王の城にから持ち帰ったものを取り上げないでと頼み込んでいたが、グッジョブ女神。
「まあ、目の前にいる男が特殊性癖で助かったわ。」
「いや、だから違うって…」
もうこのやりとりには疲れた。