降り注ぐ光
「じゃあ逆に、アキラはどんなゲームしていたの? やっぱりモンスター系のエロゲとか…?」
ミオはまたしてもドン引きした目で見てくる。俺まだ何も言ってないのに…
言うまでもなく弁明をする。
「何回もいうけど俺はノーマルだから! ていうか割とそのネタ気に入ってるよね!?」
彼女はフッと鼻で笑い、
「じゃあどうしてあのエロ本を見たのかしら…」
俺にもどうして彼女が「俺がリザードウーマン好きの変態ネタ」にこだわるのかも分からないのだが…
「まあ、あなたが相当な欲求不満にならない限り犯されないから、そこらへんは安心ね。」
犯される犯されるってどんだけ自分に自信があるのか。 いや、事実かわいいしその通りですけどね。
そんなクソどうでもいい話を続けていた時だった。
突如、船に光が降り注ぐ。
「うわ、なんだ!?」
次第に光の強さは増していき、目も開けられないほどに強まっていく。
目が開かないまま、耳にストンという音が聞こえてきた。何かが船の上に落ちてきたような音。
そして光は消えたようで、目を開けることができた。
目の前にはついさっき見た女性が立っている。もしかするとこの人は。
「俺を召喚した女神…?」
「ええ、よく覚えていたわね。」
覚えているも何も、俺をこんなところに呼び出した張本人を忘れるわけがない。今でもこいつに不満がたまりまくりだ。こいつさえいなければ俺は今頃ぐーたらゲームライフだったのに…
「それで、どうしてここに? まさか元の世界に戻してくれるとか?」
ぐーたらゲームライフ奪還を少し期待したが、女神は首を横にふって答えた。
「いえ、戻しはしないわ。けど、召喚ミスのお詫びをしにきたの。神の間でも魔王城にいきなり召喚ってことは可哀想って話になったの。」
「人のことゲームの駒にしといてそこは同情してくれるのかよ!」
神様の可哀想と思うポイントがよくわからないが、一体お詫びとはなんなのだろう。ようやく俺にもお決まりのチートスキルか?
「えっと、ミオさんだっけ、あなた。あなたを召喚したエロ親父も召喚ミスをしてしまったみたいで申し訳ないわ。」
「申し訳ないと思うなら私を元の世界に戻してほしいんだけど… それで、そのお詫びとやらはなんなの?」
「ええ、喜びなさい。一人ずつ一つだけ、この世界の質問に答えてあげるわ。」
「え、それだけ?」
予想していた内容とはまったく違うもので、つい驚いてしまった。
だが、ミオはこれをチャンスだと捉えているようだ。
彼女は口に手を当てて、ヒソヒソ話を開始する。
「現代の情報社会においては情報はとても重大なことよ。ここは慎重に答えるべきだわ。魔王を手っ取り早く倒す近道になるかもしれないし。」
俺もつられてヒソヒソ話で考える。
「確かに、前には攻略情報サイトが立ってるようなもんだもんな。RPGに重要なことってなんだ…」
思い出せ自分。これまでRPGに捧げた日々を思い出せ。RPGの流れといったら、金をためて装備を整え、レベリングしてボスを倒すの繰り返しだ。攻略サイトで見るのはダンジョンの構造、ボスの行動パターン、レベル上げ場所、レアアイテム入っている宝箱の位置、あげるとキリがない。
いや、それより大きい疑問があったことを忘れていた。魔王城でずっと疑問に思っていた「RPGのルールがどこまで適用されているか」ということ。質問は一人一回だし、一回はこれに使っていいだろう。
一応、ミオに確認をとる。
「この世界のおおまかなシステムを聞くっていうのどうだ? これなら一回の質問で色んなことが聞けるし。」
もちろん俺のこの提案に彼女はそうね。と首を縦に振って了承してくれた。
「女神、俺からの質問だ。この世界のおおまかなシステムを教えてくれ。」
女神は少し困った顔をしたが、渋々答えた。
「なかなかざっくりきたわね… まあ、一回の質問だし、教えてあげるわ。」