【2】
第二話です。
今回も短いです
カランと鳴るベルの音と共に私達はチャペルから一歩外に出る。
隣に歩くのは私の夫である一之瀬隼人。
キャー!という歓声を背に、私は引きつりそうになる頬を懸命に堪えつつも、はにかんだ笑みを浮かべていた。
(あと少しだ、この茶番はあと少しだから!!)
そう自分に言い聞かせながら…
借金の事を知ったあの後、私はまず学校を辞めて働く事を考えた
友人や取り巻き達に一言でも零せば助けてくれる事はわかっていた。
だけど、友情にお金が絡むとそれは純粋な友情ではなくなる。
半年もあれば趣味の株や投資で儲けることはできるが(現に旅行やドレス代等の学園でかかる必要経費は稼いでいたし)、その日数は多分待ってはくれない。
まず銀行が差し押さえるのは我が家の通帳だろうし、家にあるお金は今後の生活費に回る。
幸いな事に、ヤのつく人や悪どい金融会社から借りたのではなく、相手は立派な銀行である。話をつければそこまで酷い取立てはしないだろう。
うん。そこは友人に頼っても良いかなぁ。金持ちがバックに付いてるだけで対応は易しくなるだろうし、友人達に何もさせてもらえなかったと後で盛大に拗ねられても困るし。
よし。バイトしながら小額なりとも返済しつつ、小金を溜めて投資に回そう!それが一番の近道の筈だ!!
考えが纏まれば後は実行するのみ。私は意気揚々と顔をあげて言った。
「わかったわ。父さん。これからの事は私に任せて!!」
「そうか!!良かったお前が乗り気になってくれて!!」
「は?」
その言葉と共にがらりと家の扉が開き、黒ずくめの男達が入ってきた。
そしてそのまま私の腕を掴み、引きずっていく
「ちょ。ちょっと!!なにあんた達??なんなの??」
「隼人様がお待ちです」
「は、隼人?誰よそれ?!」
「紫。隼人様は優しい人だ。幸せになるんだよ」
そのまま黒光のする車に乗せられた私が見たのは涙ぐみながら手を振る父。
私は窓に手を付け叫んだ。
「説明しろおーーーー!!」
「もう少し静かに乗れないか?」
「は?」
「それが地か?間宮紫」
遠ざかる父と我が家を見つめている私の後ろから聞こえた声に、紫はびくりと背中を震わせ振り向き、その顔を見て目を見開いた。
紫が見たのは、よく見知った人物。隣の男子校の王子こと生徒会長でもある一之瀬隼人だった。
「い、一之瀬様?」
(い、いつの間に!!つか人が乗ってたの?気付けよ私!!)
しかも相手があの一之瀬銀行の跡取りでもある一之瀬隼人!全国模試で毎回私が唯一勝てない相手だ。
毎回満点だなんて、一体どういう頭をしているんだ!と、いつも悔しい思いをしている。
(なんであんたがここにいる!!)
驚きすぎて呆然としていると、彼は本を片手にとんでもない事を言った。
「家に着いたら他人行儀な呼び方はやめろよ」
「は?」
「君は今日から私の妻になるのだから」
「はああああああああああ????」