表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

それはある朝の

女が歌うと白金の髪が揺れる。目で追うと、次第に空に溶けて、やがて一筋のきらめきとなる。

 世界の始まり

 人がまだ 楽園へと続く 小道を知っていた頃から

 その花は 咲き誇る

 そして 追われた我らを追って

 おお 汝は 新たなる世界に生まれた 

 ああ しかし 汝は たおやめの如く

 麗しく しかし その美を 守るすべを知らず

風に吹かれて歌は心の空白に浸透し、徐々に痛みを奪っていく。

 刈られ 手折られ 貪られ

 そうして 汝は 剣を持った

 かぐわしき 花 けれど 鋭い棘を持つ 

 その花は 飾りとなり その刃は 守りとなり

薄れゆく景色の中、ふと女が今どのような表情を浮かべているのか知りたくなった。重い首を上げれば女はこちらを見ていた。いつも微かな微笑みの浮かぶ唇も、少し閉じたような瞼も無い。常と違う顔は作り物めき、聖堂の聖人の彫像のように人間的な感情から最も遠く感じられる。唯そこにあるのは眼差しだった。何も言わず、ただひたすら一切を目に焼き付けようとでもいうように見つめる。

ごまかしの微笑みも、曖昧な言葉も無い。鏡のように己を映し出す瞳が全てだった。


そして 眠りを・・・。


歌が空気をかき乱す最中、瞳の中の自分が目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ