85話 異世界の建築方法
最初に見た時は、本当にビックリしたよ。だって家だよ? 私たちが別れた時は、何もなかったのに。それが次に来てみたら、家が建ってるんだから。
ポル君とチーちゃんも、おかしいと思ったんだろうね。それでどうにもおかしな方向に行っちゃって。
家に近づいて、ぐるぐる家の周りを回りながら。ここの部分がもう少し丸い方が、とか、ここは三角の方が良いなの、とか。
警戒する前に、家のチェックを始めちゃって。グレイスにまずは警戒しないと、もし襲われたり、罠にかかったりしたらどうするんですか、って注意されていたよ。
そんなドタバタしていた私たちの前に、ランドルフさんが大きなかカゴを持ちながら、家から出てきて。急いでランドルフさんに寄って行った私たち。それから少しの間、私たちの質問は止まらず、それでまたグレイスに注意されちゃったよ。
結論から言うと、このコテージ風の家を建てたのはランドルフさんで。家を建てるための素材を集めたのは、ベルナードさんとランドルフさんだったよ。
「そうですね。これくらいの家ならば、これくらいの時間で建てられますね。3階建ては、もう少々時間がかかりますが」
って。これくらいの家ならば、これくらいの時間で建てられます? いやいや、私たちが別れてから、お土産の準備をして、大変だったお土産投げを終わらせ。それから少しゆっくりしたけど、それでも2時間くらいだよ?
その短い時間で、これだけの家を建てられる? どう考えてもおかしいよね? 疑う私とポル君。
ポル君は人が家を建てているところを、街に行った時に見ていて、そんなに早く建つわけないって、分かっていたんだ。もちろん私は地球の建築時間と比べてだけど、おかしいと思ったし。
ということで、私たちがこっちへ遊びにきて、そのまま寝るかもしれないって事で。どう建てたかを、私たちに見せてくれながら、ランドルフさんがもう1軒、家を建ててくれることに。
そうして建てられた家は……。同じくらいの大きさの、でもベルナードさんたちの家とはまた違う、とっても可愛い家を。2時間もかからないで、ランドルフさんは見事に建てたんだ。全部魔法でね。
まず、私じゃ目で追えないほどのスピードで、簡単に設計図を書いたランドルフさん。それから必要な木材に他に必要な道具に、家を建てる上で1番必要な、魔獣から作られた特別なノリを準備。
この世界では、よくノリを使って家が建てられるらしん。もちろん釘やビス? も使うんだけど。ノリの方が丈夫な家を建てられるって。
なにしろ魔獣に襲われて、木材その物をやられれば別だけど。ノリをつけ組み立てた部分は、そう簡単にビクともしなくて。だからその部分を攻撃されると、壊れないでそのまま転がることもあるらしい。
だから転がった後は、もちろん確認はするけれど。骨組みはそのまま使える事が多いから、そのまま転がして元に戻して、土台にしっかりくっ付け、その他の部分を修復するみたい。
まさかの転がるって。しかも直す時も転がすって。家が転がるなんて初めて聞いたよ。家の中は大変なことになってるけど、それでも壊れて潰されたり、最初から作るよりも、命が助かる可能性が高いし。最初から建てるより楽だから良いって。お金もかからないしね。
そんな特別なノリが入っている入れ物から、風魔法でノリをすくい。それをこれまた風魔法で持ち上げた素材に、次々に塗りながら、あっという間に基礎を作ったランドルフさん。
それからも大事な部分から、どんどん組み立てていき。時々他の部品も使って。全ての壁ができた後は内装にかかり。内装もささっと終わらせると、ベランダも作ってくれて。2時間もかからないうちに、ピンクの屋根の、可愛いコテージ風の家を建ててくれたんだ。
いやぁ、まさかあんな方法で家が建つなんて。しかもこんなに完璧な家がね。
ただ、後でグレイスが教えてくれたんだけど。確かに家はああやって建てるらしい。でも、普通の大工さんは、ランドルフさんほど素早く魔法を使えないし。組み立ても、あんなに早くはできないって。普通なら7日くらいかかるみたいだよ。
それでも7日だからね。地球の家に慣れている私にしてみれば、やっぱりおかしく感じるよ。
せっかくランドルフさんが建ててくれた家。今日は私たちも家で過ごすことに。すぐにベッドを並べたり、必要なものを用意したり。そうして準備ができてから、ベルナードさんたちも家にきたんだ。私もポル君達も、新しい家で寝るの楽しみだよ。
準備……まぁ、すでにおもちゃが転がってるけどね。嬉しくてテンションが上がったポル君とチーちゃんが、おもちゃをポンポン出しまくって、家の中がおもちゃだらけになっちゃって。
もちろんグレイスに怒られて、それからのベルナードさんたちの方での、ゴロゴロだったんだ。怒られるのに疲れたって。そりゃああれだけ暴れてればね。
キッチン付き、バストイレ付き、全てが揃っている完璧な家。キッチンから、ランドルフさんが作ってくれている料理の、いい匂いが漂ってくるよ。
あ、そうそう、トイレだけど、人が使っているトイレは、洋式トイレに似ていたよ。魔法で水を流して、流した先に浄化の魔法陣が書いてあって、そこで浄化されるようになってるみたい。
まぁ、私は海ではケロケロとグレイスが、ササっと片付けてくれるんだけどね。
『次はこれを運んでください』
「あい」
『おてつだいは、たいへんねぇ♪』
『たいへんねぇなの♪』
『やっぱりおてつだいは、あんまりねぇ♪』
『あんまりねぇなの♪』
『でもがんばるよ、ほい♪』
『でもがんなるよ、ほいなの♪』
『『おなかぁ、すいたぁ~♪』』




