75話 暴動が起きないうちにパーティー開始
『なんだか分からんが、しょうがない、オレがベルナードを連れてこよう。じゃないと暴動が起きそうだからな』
『そうですね。その方が良いでしょう』
うんうん、私たちがベルナードさんの所へ行くよりも、ケロケロに連れて来てもらった方が良いよ。早いしね。それにケロケロの言う通り、暴動が起きるかもしれないし。
私はポル君たちの方を見る。そこにはアマシアが入っている瓶をそれぞれ持ちながら、それからそれぞれ食べ物を持ちながら。目を細めて口をへの字にして、じっとこっちを見ているポル君たちの姿が。
みんなケイブンさんに、アマシアに合うご飯を教えてあげるんだって、それぞれ持って来てたんだよ。
それはあの、ベルナードさんの話しを聞いた後の出来事。話しが終わるまで、色塗りをしてずっと待っていたポル君たち。戻ったらすぐにアマシアを飲みたいって言って、みんなでアマシアを飲んだんだ。
もちろんちゃんとアマシアについて、それからこの世界でのお酒について、ようやくしっかり聞いてからね。
そうしたらアマシア、お酒じゃなかったんだ。いやお酒はお酒なんだけど。実はアマシアにはアルコールありとなし、2つの種類があって。森で自然に湧いてくるものは、アルコールなしのアマシアだったんだ。
アルコールありの方は、お酒を作る専門の人たちがいて、その人達が作るみたい。だから小さい子やアルコールが飲めない人でも、飲む事ができるの。
と、いうことで、私もちゃんとアマシアを飲む事ができたよ。感想は、今説明した甘酒って感じかな。ちょっとだけ甘さが強い感じ? でも本当にちょっとだから、甘過ぎて飲めないってわけじゃないし。それこそジュースで割って飲んだりもできるんだ。
ちなみにお酒だけど、この世界でも飲めるようになる歳が決まっていて、成人の15歳ではなく18歳かららしい。
けっこうアルコールが強いものが多いみたいで、もちろん弱いものもあるけど。そのせいで初めて飲む人は注意が必要なんだって。
だから若者が酒場に来ると、お店の人はもちろん、酒場で飲んでいる人たちまで、若者たちを注意して見ていて。危なそうな時は止めたり、介抱してくれるんだって。みんな優しいよね。
そんな子供でも飲めるアルコールなしのアマシアは、大人の真似をしたい子供たちに大人気で、アマシアに合うおつまみまで売っているんだ。
ただ、ポル君たちは、人気のおつまみも好きだけど、自分でアマシアに合うと思う食べ物を見つけていて。それをケイブンさんに食べさせてあげるんだって、今日持って来ていたの。
それなのにベルナードさんの所へ行くって聞いたもんだから、早く教えて一緒に飲みたいポル君たちの機嫌が、一気に悪くなっちゃったんだよ。だからケロケロが、ベルナードさんを迎えに行くって。
すぐに私たちの目の前から消えるケロケロ。まぁ、5~10分もすれば戻ってくるだろうし。私たちは先に、ありがとうとさよならのパーティーを始めることに。
ケイブンさんは何故かベルナードさんに怒っていたけど、私がもう1度、プレゼントで持って来たお酒を見ると、すぐに機嫌が良くなって。地球で使われているOPEN、CLOSEDのサインボードみたいな物を準備中に変えて、さっさとお店を閉めたよ。
そして私たちが買って来た料理を並べて、もちろんポル君たちの食べ物も並べて、送別パーティーのスタート。コップに注いだプレゼントのお酒を、ケイブンさんが一気に飲み干した。
「プハー!! これは煌めきの雫か!!」
『ええ』
「俺はこの酒が大好きなんだ。だが、ちと高くてな。こんなな量を買って来てくれるとは、最高の贈り物だ!! ありがとな!!」
『それは良かったです』
酒屋の店主曰く、月に1度手に入るか入らないかの、少しお高めのお酒らしい。最初考えていたお酒より良いってことで、予定を変更してこのお酒をプレゼントすることにしたんだ。喜んでくれて良かったよ。
ただ、注文したお酒もキャンセルしないで、全部買ったよ。海でケロケロたちが飲むからね。
『あのね、ぽるくんのあましあものんで』
『ちーちゃんのもなの!!』
『オレもなんだな!!』
『おいしいたべものも、もってきた』
『あましあにぴったりなの!』
『アマシアと一緒だと、いっぱい飲めて、いっぱい食べられるんだな!!』
『ポルたちがそれぞれ、アマシアに合う食べ物を持ってきたんです。人によって合う合わないがあると思いますが、よければ食べてあげてください』
「ほう、そうかそうか。どれ、順番に食べてみるか」
そう言うと、アマシアを飲みながら、ポル君たちが用意した食べ物を食べてくれたケイブンさん。
『おいしいでしょう?』
『ぴったりなの?』
『こっちはこうして食べると、もっと美味しいなんだな』
ソワソワと話しかけるポル君たち。ひと通り食べ終わったケイブンさんが箸を置く。そして……。
「これは凄いな。本当に全部合うじゃないか! とっても美味しいぞ。よくこれらが合うことに気づいたな。これからアマシアを飲むときは、俺もこれを買ってくるようにしよう!!」
『うへへ、おいしいでしょ』
『ふへへ、おいしいなの』
『美味しいなんだな!!』
ケイブンさんの感想を聞いたポル君たちは大喜び。ポル君たちが用意したのは、お煎餅にケーキにフルーツにといろいろ。その中でも変わっているものは、ハンバーグ煮込みに、カレーライスぽい物に、シチューらしき物。
最初、ポル君たちに勧められた時はどうなんだ? って思ったけど。これがなかなか美味しくてね。海に戻ってからも、ケロケロたちに作ってもらう予定なんだ。それから私も料理ができるようになるために、ケロケロたちに習う予定。
『ぽるくん、いれてあげる』
『ちーちゃんもなの』
『オレもなんだな』
『では、ポッカが支えてあげてください』
嬉しくてしょうがないポル君たちが、ケイブンさんの空になったコップに、アマシアを注ごうとする。ポッカが瓶のしたを持ち支え、ポル君とチーちゃんが瓶を少しずつ倒す感じで注いだよ。
そうして上手に注げたと思った瞬間。
『戻ったぞ』
「ぐ、ぐえっ、な、何だ?」
「ベルナード!! お前、俺に黙って、何楽しそうな事をしとるんだ!!」
ケロケロがベルナードさんを連れて戻って来て、ケイブンさんが思い切り立ち上がって、コップを倒しそうに。まぁ、倒れる前に、グレイスがコップを支えてくれたから、無事だったけど。
ただ、せっかく上手くいっていたのを、ダメにされそうになったポル君たちは、物凄い勢いでベルナードさんを睨んでいたよ。
ベルナードさん。やっぱり連れて行かない、なんてポル君たちに言われなければ良いけど。




