74話 ついて来たいと言った理由と同行者たち
「なんじゃと!? それは本当か!?」
『ええ、とりあえずは今回だけということで、来てもらうことになりました』
『あのままでは引きそうになくてな。それに無理矢理ついて来られて、それで面倒なことが起こって、俺たちがそれに巻き込まれてはな。それこそ面倒だ』
『こちらの条件を飲むことで、許可しました。まぁ、この条件を守らなければ、さっさとその辺に捨てれば良いですからね。それについては問題ないですし』
『あの男が言っていることが本当ならば、俺たちも勉強になるからな』
『それにポルたちも、ふ~ん、遊びに来るんだ、くらいで、他は何も言っていませんでしたからね。ですので今回だけは認めました』
「なぜじゃ!!」
『なぜじゃとは?』
「なぜその話しを聞いた時に、俺も呼んでくれなかったんじゃ!!」
『そう言われてもな、お前は関係ないだろう』
「おおありだわい!! おい、今からベルナードのところへ行くぞ!!」
「おじちゃあのね、あたちたち、ありがちょのぷりゃじぇんと、もってきちゃの」
すぐに家を出ようとするケイブンさん。そんなケイブンさんを、私は慌てて止めたよ。これ以上余計な時間が増えると、ポル君たちが爆発しちゃうかもしれなかったから。
私たちは今、ケイブンさんの鍛冶屋に来ている。ほら、この前言っていたお礼ね。そのお礼のお酒を買って、ついでにさようならも言いに来たんだ。それからケイブンさんも、私たちに来て欲しいって言っていたし。
それで訪ねてすぐに、これからの事を話したケロケロとグレイス。いつ街を出るとか、他の街へ行かずに家に帰ることとかね。その時にベルナードさんのことも話したの。
数日前、ベルナードさんが私たちにしてきた提案。私たちが住んでいる海へ連れて行ってくれ。もしも家族にならないと家に行けないのなら、家族になってもいい、ってやつ。
あれは結論から言うと、とりあえず期間限定で海に来てもらうことになったんだ。で、その期間は次に私たちが陸に上がるまでの、大体2ヶ月から4ヶ月。その後のことは、その時になってから考えるって。
どうして断らなかったのか。その1番の理由は、今さっきケロケロが言った通りで、ベルナードさんが引きそうになかったから。それでもし断ったのに、それでも無理やりついて来られて、何かあったら?
私たちに何もなければいいけど、巻き込まれてもしもの事があったら、たまったもんじゃないって。
次の理由は、ベルナードさんは、私たちのことでいろいろ動いてくれたでしょう? それに私たちにいろいろな事を教えてくれて。それなのに私たちが、ベルナードさんのお願いを聞かないのはね。
まぁ、街での過ごし方は、少し納得できないのもあるけど。それでもここまでしてもらったのに、私たちが断っちゃうのはね。
そして最終的にケロケロたちが、ベルナードさんを連れて行くと決めた理由。それは……。
ベルナードさんが、私の生活を心配してくれたから。私たちが海の上で暮らしていることを知っているベルナードさん。そして私はケロケロたち魔獣と暮らしているでしょう? しかも暮らし始めたのはつい最近で。
今回いろいろと人の暮らしについて教えてもらったけど、他にもまだ、ケロケロたちが人のことで間違った行動をするかもしれない。もしそれで私に何かあったら? って。海での私の生活を見ておきたいって。
それで教えられる事があればしっかりと教えて。次回陸へ上がった時は、何も心配しなくても、街を楽しめるようにしてやりたい。
これがベルナードさんの方の、私たちについて来たいって言った、1番の理由だったの。
こうしてベルナードさんの話しを聞いて、全ての事を考えた結果。ベルナードさんを期限付きで、私たちが住んでいる海へ、連れて行くことになったんだ。
ポル君たちにその話しをしたら、グレイスの言った通り、本当にふ~んだけで、反対されることもなかったし。私も反対する理由はなかったよ。
ただ、ここで問題が起きたんだ。ランドルフさんがね、ベルナードさんがついて来るって決まったのを知って、慌てて私たちの所へ来たんだ。そしてベルナードさんだけだと心配だから、自分もついて行くって言い出して。
ケロケロたちは、ランドルフさんは関係ないだろうって言ったんだけど。これまたベルナードさん同様、なかなか引いてくれなくて。というか、アーセリオ様まで、ついて行かせてほしい、ランドルフさんにベルナードさんの世話をさせれば良いから、って言ってきてね。
そんなアーセリオ様たちの姿を見ていたら、なんとなくだけど、これは連れて行った方が良いのでは? ってなって。結局ランドルフさんも一緒に行くことになったんだ。
でも、その事が決まって、急いで準備しないとと、ランドルフさんが部屋を出て行こうとした時。
「常識人ぶったことを仰いますが、ご自身も非常識であると、なぜお気づきにならないのか。何かあれば私がお止めして、しっかりとお教えしなければ」
って、小声で言っていたのが聞こえたんだよね。
あれはどういう意味だったのかな? というか誰のことを言ったのか? 話しの流れからベルナードさんと思ったけど、ベルナードさんは普通に、私たちに教えてくれるでしょう?
と、まぁ、こうしてちょっとの疑問が残ったものの、いろいろと決まって。今日は帰る前にケイブンさんの所へ来たんだけど。
それで簡単にその話しをしたら、何故かケイブンが怒って、ベルナードさんの所へ行くって言い出しちゃったんだよ。
『あましあは?』
『どこいくなの?』
『早く飲みたいなんだな』
ああ、ほら、ポル君たちの表情が……。




