71話 お尻ふりふりヒップドロップと、試し斬りは問題なし?
『このまえより、すくない』
『この間は、クラーケンから逃げていたからな』
『これでも集まった方でしょう』
「集まった方でしょうって、お前たち、どう考えても依頼数よりも多いだろう。依頼はスプラッシュスライムの素材をそれぞれ10ずつじゃなかったか?」
『家族が増えたので、依頼以外にも私たち用に集めないければいけないので』
『前回のだけじゃ足りないからな。ポルたちの遊ぶ用の素材がいる』
『もし足りなそうなら、ここを済ませたあと他へ移動して、また餌で誘き出しましょう』
『そうだな』
「普通に話しているが。本当にこれだけの量を、チビ共に討伐させるのか?」
『私たちが住んでいる場所に出てくるスプラッシュスライムに比べたら、ぜんぜん少ないですよ?』
『多い時はこれの倍以上だからな』
「お前たち、一体どんな場所で暮らしているんだ?」
今、私たちの前には、ココの実に引き寄せられて集まってきたスプラッシュスライムが20匹ほど、私たちを威嚇しているよ。この間のクラーケンの時はもっといたし、海の上だともっといるから、とても少なく感じる。
まぁ、でも、今回の依頼に関してなら十分な量だからね。ささっと依頼分を終わらせて、自分たち用のを集めないと。私たちが使わない素材は売って帰りたいって、ケロケロとグレイスが言ってたんだ。
それから、ここでたくさんスプラッシュスライムを討伐しておいて、海に帰ってから襲ってきたスプラッシュスライムに関しては、何か新しいことをしたいみたい。試してから良さそうなら、私たちに教えてくれるって。
ということで、今日のスプラッシュスライムの討伐スタート。まずは私と新しい剣の具合を見るよ。さすがにいつもみたいに攻撃はできないから、ポル君とちーちゃんがスプラッシュスライムの動きを、完璧に止めてくれることに。
『とうっ!』
『とうっなの!』
『りあ、いま!!』
『いまなの!!』
「う~、ちょおっ!! とととととっ……」
攻撃をしようと、長い剣を振り上げた瞬間だった。普通に持っている時は、まだ大丈夫だったんだけど、持ち上げたら思っていたよりも剣が重たくて。私は前のめりにととととっと進んじゃって、スプラッシュスライムの前で倒れちゃったんだ。
そしてその勢いのまま、真っ2つにスプラッシュスライムを剣で切った私。じゃなくて、勝手に切ってくれた剣。うん。私の剣術は別として、さすがケイブンさんが作ってくれた剣だね。切れ味が凄いよ。
「うむ、こちらから切ったわけではないが、なかなかの切れ味だな」
『小さい剣同様、とても良い切れ味ですね』
『今ので、あれだけ切ることができるとは』
『リア、あのスプラッシュスライムも、きってみる!』
「うん!!」
『ちーちゃんから、こげきなの!! ちょおっなの!!』
『ぽるくんは、あらよっと! リア、いま!!』
次こそは自分からと、もう1度剣を振り上げる私。でも今度は前にとととととっと進まずに、後ろに下がりそうになっちゃったんだ。
『あぶない!! とめる!!』
『とめるなの!!』
そんな私の後ろに回りこみ、私の背中にぶつかってきたポル君とチーちゃん。後でこの時のことを聞いたら、2人して私の背中にヒップドロップをしたらしいよ。それも普通のヒップドロップじゃなくて、お尻をフリフリ振ったヒップドロップね。
普通に押してくれれば良いのに……。でも、このヒップドロップによって、後ろに転ぶことを免れた私。けど、結局その反動で、さっきと同じように、前にとととととっと進んで。そのまま前に倒れ、その勢いでスプラッシュスライムを切ったよ。
『うむ』
ケロケロが私を起こしてくれて、その後自分で剣を持って、近づいてきたスプラッシュスライムを切る。
『どうだ? 俺が切った感じ、問題はないが』
「ああ、2度とも転んでこの切れ具合だからな、問題はない。だが小さい剣も今の剣も、きちんと手入れせんといかん。時々はこの街へ来て俺に預けろ。綺麗に研いでやる」
『ありがとうございます』
「なに、久しぶりにいい仕事をさせてもらったからな。最後まで俺に面倒を見させろ」
結局きちんと剣を使うことはできなかった私。だけどケロケロとグレイスは、今の私の状態が見られたから良かったって。
こうして私の試し切りは終わり、ここからはいつも通り、スプラッシュスライムを攻撃することに。
ただ、ポッカとチーちゃんは、今まで誰かにきちんと戦い方を習ったことはなくて。サンデリオの所にいたワイバーンたちの戦い方を見て、覚えただけだったんだ。
それでこの間の戦闘を見て、ケロケロとグレイスがきちんとした戦い方を教えるって。今日から少しの間、訓練するみたいだよ。
『さぁ、ではあのスプラッシュスライムからにしましょうか。最初にポッカ、あなたの思うように倒してみなさい』
『はいなんだな!!』
『チーはそのスプラッシュスライムを攻撃してみろ』
『はいなの!!』
『リア、ぽるくん、あのおおきなのたおしたい』
「わかっちゃ!!」
「おい、ポルとリアを見ていなくて良いのか?」
『一応見ていますよ。ですが先程言ったように、これくらい何の問題もありませので』
『ぽるくんのこげき!! くちゃらちゃあっ!!』
「ちょおっ!!」
『ちょっとずれた!! もいっかい、くちゃらちゃあ!!』
「ちゃあ!!」
『ついでにとなりのも、くっちゃらっちゃあ!! それからもひとつ、くちゃらっちゃあちゃあちゃあ!!』
「ちょおちょおちょお!!」
よし! ポル君の掛け声のレパートリーが増えたことは置いておいて、連続でスプラッシュスライムを倒せた!
「……」
『どうです? 問題ないでしょう?』
『ポル! もう少ししっかり狙いを付けろ!!』
『ほい!!』
『返事は『はい』だ』
『はいほい!!』
「……いつもこれか?」
『そうですね。いえ、前よりも動きが良くなったでしょうか』
『リアも魔獣によっては、1人で倒せるようになってきているからな。ポルはもう少ししっかりと、相手を見極めることを覚えなくてはな』
『さぁ、皆さん、しっかりと相手を倒してください!』
「……なるほど、こりゃあベルナード様が愚痴をこぼしてくるわけだ。で、あんなことまで言ってきたのか」




