67話 規格外の知り合いに呆れるベルナードさんとヴァルトスさん
「お前らいつも『ああ』なのか?」
『何の事だ?』
『『ああ』とは?』
「いつも掲示板に出されている依頼を、半分以上受けるのかって事だ」
『ああ、それか』
『ええ、いつもそうですね』
「いつもって、はぁぁぁ」
ベルナードさんが溜め息を吐き困った顔をして、ヴァルトスさんは溜め息を吐いたものの、苦笑いをしている。
何々? ベルナードさん、依頼について怒ってたの? でも、別に問題ないよね? だってケロケロとグレイスはいつもの事だって言ってたし。ちゃんと時間通りに、夕方には街に戻ってきたんだから。
冒険者ギルドで依頼を受けるには、まず受けたい依頼を見つけることから始まるんだ。冒険者ギルドにはギルド掲示板っていうのがあって、そこに依頼書がバァーッ!! と貼られていて、そこから自分で選ぶの。
依頼には全部ランクがつけられて、掃除とか魔獣のお世話とか、簡単な依頼は星マークが1つ。どんどん星の数が増えるにつれ、依頼内容もどんどん難しくなっていって、1番難しいのは星が7つ。
1番難しい依頼とその次くらいまでは、普通の冒険者が受けたところで、絶対に依頼をこなすことができないし、レベルの高い冒険者で集まっても難しい物が多いから。その辺はギルドマスターや偉い人が、できそうな冒険者に指名依頼を出して、やってもらっているらしい。
ただ、ケロケロとグレイスの場合はね。最初は1つか2つって、依頼を受けていたんだけど。いちいち依頼を終わらせて戻ってきて、また依頼に行くのは面倒だって。
ほら、どんなに難しい依頼でも、2人の場合は1人でこなせちゃう物が多いし、時間もそんなにかからないから。だから何回か依頼を受けて様子が分かった後は、まとめて依頼を受けるようになったみたい。
それでこの前も、ケロケロたちは自分用にランクの高い依頼書を選んで。それから私たち用に、星3つくらいの依頼も選んでくれて。掲示板に貼られていた依頼書の半分くらいを、まとめて受けたんだよ。
私も最初、半分も? って思ったんだけど、他の人も普通にやっているって聞いたから。へぇ、そうなんだ、ってその後は気にせずに依頼をこなしたの。
だからね、ベルナードさんもヴァルトスさんも、怒ることなんてないと思うんだけど?
「お前たち、いつもこんな依頼の受け方をしているのか?」
『ああ、そうだ』
『それで良いと聞きましたし、それに私たちの知り合いは、同じように受けている者ばかりですが?』
「その知り合いって誰だ?」
『ラグナードやカルイソン、それにレトルトリにブレッダー』
『エドウィンにシーオドアもそうですね』
「……はぁ」
名前を聞いて、また溜め息を吐くベルナードさん。ただ、ヴァルトスさんさんは違ったよ。
「ガハハハハハッ!! それでか、よく分かった!! ベルナード、これじゃあ仕方ないな。この2人も大概だが、周りがおかしな連中ばかりなんだから、こうもなるわな」
「おい、笑い事じゃないぞ」
「笑うしかないだろう、まさか知り合いがこのメンツなんてな。良かったじゃねぇか、ちゃんと理由が分かって。大体、お前だって人のこと言えないんだからな」
「俺は普通だろう」
「はっ、何言ってんだか」
今度は何? ヴァルトスさん、大笑いなんだけど。
「まぁ、今から教えてやれば良いさ。それとリアの注意もな」
「はぁ」
ん? 私の注意?
それから聞いた話し。うん、どうにも私たちの感覚がズレていたらしい。というか、それが普通だと思っていたんだけどね。
まず、ケロケロたちの知り合いだけど、みんながみんな、規格外の人たちばかりだったよ。みんなケロケロたちまでとはいかないけど、他の人と比べて能力が高い人たちで。難しい依頼でも1人でこなせる人たちだったの。
だからなのか、その人たちも1つや2つ、依頼をするのは面倒だって、まとめて依頼を受けていてね。それをケロケロたちに教えてくれたんだよ。
だけど実は、一般の人たちから見ると、それはどう考えてもおかしなことで。今回も大量の依頼をうけて、しかも夕方までに帰ってきたもんだから。依頼を受けた時のことを知っている人たちが驚いて、ギルド内はちょっとした騒ぎになったらしい。
ありつらは何者だ!? 本当に依頼を終わらせたのか!? どれだけの実力があるんだ!? 誰か奴らのことを知っている奴はいないのか!? ってね。
その騒ぎに気づいたヴァルトスさん。依頼者の名前を確認したら私たちだったから、こんな目立つ真似をして、ってベルナードさんに報告。
私があまり目立たないように、って考えてくれているベルナードさんは、それを聞いて怒った、というのが今回の流れみたい。
まさかの事実だったよ。ケロケロたちが言っていたことを、そのまま聞いていた私も私だけどさ。
ただ、ケロケロたちもその強い人たちに、そう教えられたわけだし、ケロケロたちのせいじゃないよね? それにその人たちも、いつもやっているんでしょう? じゃあさ、周りの人たちも知っていそうじゃない。こんな人もいるんだって、騒がなくても良さそうなのに。
「ほかにもいりゅ、だかりゃふちゅうじゃない?」
「はぁ、リア、これは普通じゃない」
「ハハハッ、そうだぞリア、これは普通じゃない。というかな、こいつらの周りにいる連中が、変わりもんばかりなのがな。普通はな、こんなに変わりもんの知り合いばかりいないもんなんだよ」
「はぁ、良いか。今度からはなるべく、今回の依頼の半分くらいでおさえておけ」
『面倒だな』
『面倒ですね』
「面倒でもだ。よし、次はリアたちのことだ」




