64話 奇跡の出会いとこれからのこと
『私たちの話しは分かりましたか?』
お兄ちゃんワイバーンの反応に、私と同じことを思ったんだろうね。グレイスがお兄ちゃんワイバーンに、今の話しが分かったか聞いたよ。
『うんと、とっても珍しいっていうのは分かったんだな。ええと、ヒノカの蜜と同じなんだな』
ん? ヒノカの蜜? 何それ? 私知らないんだけど。
「ひのかのみちゅ、なに?」
『おや、それを知っていましたか』
『知ってるなんだな。前に森へ行った時、そこにいた魔獣に聞いたんだな』
『ヒノカの蜜というのは、ヒノカという、とても珍しい花から採れるんだ。何百年に一度見つかるかどうかと言われている花で、その蜜はどんな食べ物よりも美味しいと言われている』
へぇ、そんなに珍しい花があるんだ。なるほどね、それなら今回の私たちとまではいかないけど。凄く珍しいっていうところが、私たちと似てるね。
『それと同じなんだな』
『そうですね。珍しいということではあっていますね』
『そうなんだな。俺とリア、とっても珍しいなんだな』
『それでだな、ここからが本題だ。本題っていうのは、これから1番大切な話しをするということだぞ』
『1番大切な話しなんだな?』
『そうです。いいですか? 私たちは今、リアとあなたがどれだけ珍しい存在なのかを話しました。そしてそれがどれほど良いことかも話しました』
『うんなんだな』
『だからな、もしお前が良ければ、このまま俺たちと一緒に暮らすのはどうだ?』
え? 一緒に暮らす?
どういうことかと思ったら、お兄ちゃんワイバーンとチーちゃんは、私と契約を解除して自由に暮らす予定だったでしょう?
でも、奇跡って言われるくらい相性ぴったりの相手と出会えて、今後こんなことは2度とないかもしれない。
それにほら、相性がぴったりなことに欠点はほとんどなく、むしろメリットばかりで。メリットしかないのに、わざわざ別れるのはもったいないでしょう?
だからこのまま一緒に暮らした方が良いって、ケロケロとグレイスは、ずっと考えていたみたい。
ただ、最初の約束ね。契約前に話した通り、話しを聞いたあとは契約を解除して、自然で自由に生きるって約束をして契約したのに。今の話しだと、それを破ることになっちゃうからね。そこは無理維持しないって。
それか、契約を解除しても、分かり合える最低限の距離にいれば、私たちの良い関係は続くらしくて。
だから普段は自由に暮らして、どちらかに何かあった時はすぐ駆けつけるとか、時々遊びに来るのはどうか。それなら自由にも暮らせるし、良いことも継続できるから良いんじゃないか。
あとは、今までの話を聞いて、もう少し一緒にいてもかまわないと思ったのなら、契約はそのままで一緒に暮らして。無理だと思ったら、その時すぐ契約を解除して、そこから自由に暮らす。
と、こんな風に、いろいろな暮らし方があるから、これからのことをちょっと考えてほしい。これがケロケロとグレイスが、私とお兄ちゃんワイバーンが相性がいいと分かってから、ずっと考えていることだったんだ。
『う~ん、なんだな』
『すぐに決めなくていい』
『大切なことですからね。じっくりゆっくり考えてください』
『そうだな。もし考えている間も不安だというのなら、今すぐに契約を解除してもいい』
『ああ、そうですね。その方が良いかもしれません。あのバカのせいで、契約には良い思い出はないでしょうから。契約していない状態でゆっくり考えた方が、より良い答えが出せるはずです。リア、契約解除の方法を教えますから、2人の契約を解除してください』
「あい!」
うんうん。私もこんな奇跡的な出会いなら、お兄ちゃんワイバーンと家族になりたいよ。まぁ、それがなくても家族になれるなら嬉しいけどね。もちろんチーちゃんともだよ。でも2人の気持ちが大切! すぐに契約解除するよ!
私はすぐにグレイスの方へ。ただ、契約解除の話しを聞く前にチーちゃんが。
『かぞくなの? ねぇねぇおにいちゃん、ちーちゃんとおにいちゃん、ぽりゅとりあと、みんなとかぞくになったなの?』
って言ってきたんだ。
『えっとなんだな』
『わぁ、ちーちゃんうれしいなの!! あのへんなぼうしはきらいだったけど、みんなはだいすきなの! ずっといっしょ、かぞくいっぱい、うれしいなの!!』
『ん? かぞくになったの? そうなの? くちゃらちゃあ!! みにょおぉぉぉっ!!』
『んなの? くちゃらちゃあ、みにょおぉぉぉっなの?』
『うん! えっと、くちゃらちゃあは、いろいろなときにいえて、うれしいときにもいえる。みにょおぉぉぉっ!! もおなじ。まえからあるのがみにょおぉぉぉっで……』
ポル君とチーちゃんが、家族になって嬉しいのステップを踏みながら。ポル君がみにょおぉぉぉっ!! についてチーちゃんに説明を始める。
久しぶりに聞いたな。最近はくちゃらちゃあばっかりだったから。って、そうじゃなくて。チーちゃん、話しは聞いてたんだけど、まだ決まってないのに、今の話しから、もう家族になったことになっちゃったよ。
いや、うん、嬉しいって思ってもらえたのは、私もとっても嬉しいけど。
それにポル君も、チーちゃんの家族になって嬉しいっていうのを聞くまでは、まだ家族になったとは思っていなかったんだろうけど。
チーちゃんに言われたことで、脳内変換されて、家族になっちゃったみたい。相変わらずの脳内変換……、じゃないな先走り。
「ぽりゅくん、ちーちゃん、まだ、かぞくじゃないのよ」
『んなの? かぞくでしょうなの?』
『もうかぞくで、これからなにするかかんがえてるでしょう? あっ、まだはねのむしりとり、おわってない! ちー、やろう!!』
『うんなの!!』
「えっちょ、だかりゃね……」
もう1回、2人に言おうとする私。ケロケロとグレイスも話しかけようとしていたよ。でもその時。
『分かったなんだな!! 家族なるんだな!!』
そうお兄ちゃんワイバーンが言ったんだ。




