62話 解体作業とあの時の話し
次の日。ベルナードさんたちは、サンデリオとの戦闘について話しをしたり、街や港、それに防壁の被害状況の確認をしたりと。被害は少なかったけれど忙しそうに動いていて。話しがしたいって言ってたけど、もう少しあとになりそうだってことで。
私たちは、ワイバーンとグリフィレットの死体の鮮度が失われないうちに、解体作業に取りかかることにしたよ。
『ぶちなのっ!!』
『あっ、それだとだめ』
『だめなの?』
『ぼくのみて、はねのねもと、おれてない。ちーのはおれてる』
『ほんとなの』
『うん。こうやって……ぶちちっ!! ほい、こうやってぬくと、きれいにぬける。きれいにぬかないと、たのしいがすくなくなっちゃうし、とってもきけん』
『たのしいすくなく、だめなの!! それにきけんなの?』
『ねもとをとるときは、あとできれいにとる』
『そうなんだな』
『こうなの? ……ぶちちっなの!!』
『もすこし、うえにひっぱる』
『うえ~、うえ~……ぶちちっなの!!』
『オレも……ぶちちっなんだな!!』
『うん、それでいい!! どんどんむしりとる!!』
『うんなの!!』
『どんどんむしり取るなんだな!!』
ポル君がグリフィレットの羽の取り方を、チーちゃんとお兄ちゃんワイバーンに教える。この羽はいろいろな事に使えるから、綺麗に引っこ抜かないといけないんだ。ただポル君の言った通り危険があって、これがちょっと面倒なんだよね。
グリフィレットの羽は変わっていて、羽を抜くまでは、他の一般的な羽と変わらないんだけど。抜くと一気に羽の軸部分、羽軸が一気に固くなって、これが折れるとちょっと危ないんだ。
抜いたと途端に固くなるから、変に折れると、それだけで尖った凶器みたいになっちゃって。後の作業の時や、加工をする時に怪我をする可能性があるの。
だからなるべく綺麗に引っこ抜いて、後で専用の道具で根本を綺麗に丸く削るか。綺麗に切り落とした後、やっぱり削って綺麗に削らないといけないんだ。
まぁ、ケロケロとグレイスは、道具がなくても問題なく綺麗にできるけどね。私は今回、その道具を買ってもらう予定なんだ。
でもそれまでになるべく怪我をしないように、綺麗に抜かないと。前にポル君がそれで手を刺しちゃって、大変だったんだよ。
『ねぇ、ぽりゅ、たのしいなになの?』
『あのねぇ、まじゅうをつったり、おもちゃにしたり、ふかふかにしたり、かわいいにしたりいろいろ』
『まじゅうつる、おもちゃなの?』
『うん! えと、まずふかふかふかと、かわいいのぶんをとっておく。そのあとにまじゅうとおもちゃ』
『んなの?』
そんな説明じゃ分からないよね。私はマジックバッグを持ってきて、チーちゃんたちに見せてあげることに。
「ふちゃりとも、こっちきて。しょこだとよごれりゅかりゃ」
『なんなの?』
「あのね、ふわふわはこりぇで、かわいいはこりぇ。しょれかりゃ、まじゅはこりぇで、おもちゃはいろいろね!」
ふわふわはクッションと毛布、かわいいはポル君と私の髪飾りや帽子や洋服。魔獣を釣るのは、羽の部分を餌に見せかけて釣ったり、羽軸の部分を加工して針の代わりにしたり。
おもちゃは、ポル君が作ったよく分からないおもちゃとか、羽で作った船のおもちゃとか、おままごと用の道具やご飯の代わり、なんていろいろね。
見せてあげたら2人の目がキラキラと光ったよ。
『ふわわ、いっぱいなの!!』
『これ全部、羽使ってるなんだな!!』
「うん、ほかにもいりょいりょありゅ。でもほかは、おうちにかえっちぇから」
海の中、ケロケロとグレイスの結界に守られて、待ってくれているみんな。そんなみんなに、マジックバックがあるけれど、余計な物を持って行くのもあれだって、ケロケロたちが荷物を預かってもらっててね。だから他にもあるけど、それは帰らないと見せられない。
「これにのっちぇみりゅ?」
『これはすわったり、ねたりする。それでこれにすえわってあそぶ』
ポル君がクッションに座って、船のおもちゃで遊んでいる姿を見せてくれる。私は他のクッションも出して、2人にも座ってもらうことに。お兄ちゃんワイバーンには、ケロケロのを貸して座ってもらったよ。
『ふわわわ、ふわふわなの!!』
『こんなふわふわ、初めてなんだな!! 硬い藁にしか、座ったことないんだな!!』
『おにいちゃん、ぼく、これほしいなの!!』
『オレも欲しいんだな!!』
『なら、けりょけりょとぐれいしゅに、つくってもらう。ささっとつくってくる。おねがいしますするの』
『うんなの!! おにいちゃん、おねがいしますするなの!!』
『そうなんだな!! お願いしますなんだな!!』
そうして、どこへ行っていたのか分からないけど、ケロケロとグレイスが帰ってくると、すぐにクッションをお願いしたお兄ちゃんワイバーンとチーちゃん。でも話したことで、ある問題を思い出したんだ。
『作るのはかまいませんが、落ち着いたらあなた方はリアと契約解除して、どこかで自由に暮らす予定でしょう? 同じ場所でずっと暮らすのであれば問題はないでしょうが、もし毎回場所を移動するのなら、クッションも持ち運ばなければいけませんよ』
『そうなると、途中で無くす可能性があるぞ。それに自然で暮らすとなると、クッションが壊れてしまう可能性が高くなる。その場合、俺たちのように人に変身ができて、裁縫ができるのなら直せるだろうが、お前たちは直せないだろう』
『他にも、気に入ったおもちゃがあって、持っていった場合も同じかと』
『あー、そうなんだなぁ』
『おにいちゃん、どしたのなの? くっしょん、つくってもらえないなの?』
チーちゃん分かってない。……というか、そうだよ。普通に一緒に暮らしていたけど、お兄ちゃんワイバーンとチーちゃんは、契約解除をして、自然に帰るんだった。忘れてたよ。
『チーちゃん、ダメかもなんだな』
『どうしてなの?』
『オレたち、違う場所で暮らすなんだな。だから持って行くとなくしちゃうかもしれないし、壊しちゃうかもしれないなんだな』
『どこいくなの? みんなといっしょにいるんじゃないなの? みんなでふわふわ、かわいい、たのしい、まじゅうつる、やらないなの?』
『う~んなんだな』
『そうですね。ちょうど良いですから、あの話しをしてしまいましょうか』
『そうだな。どうせ落ち着いたら話すつもりでいたからな』
「ん? なんのおはなち?」
『あれですよ。兄と契約する前に、話したいことがあると、兄に伝えていたでしょう?』
あっ、そういえば。忘れてたよ。
『あなたに、話したいことがあると言ったのを覚えていますか?』
『話し、思い出したんだな!』
『それを今から話す。だからその話しを聞いてから、これからのことを考えると良いだろう。場合によっては、クッションのことも、おもちゃも、全てが解決するかもしれん』
ん? どういうこと?




