61話 勝手に勝ち誇って撤退? 教育の大切さを学んだ戦い?
「は?」
それは私たちが、グリフィレットとワイバーンを倒してから数時間後だった。
19時になって、これといって向こうからの攻撃はなく。壁の方でも港でも、戦闘が止まっていたから、いつも通り夕ご飯を食べることに。今日の夕ご飯は、倒したワイバーンのステーキと野菜たっぷりのスープで、とても美味しかったよ。
そして食事の後は、ケロケロとグレイスがランドルフさんと、ワイバーンとグリフィレットの買取について話しをしたんだ。
ベルナードさんがね、私たちが倒したんだから、その分は買い取ってくれるって言ってくれて。だからそれについて、私たちが欲しい素材と売る素材について、ランドルフさんとしていたの。
でもその話の途中で、ある知らせがもたらされたんだ。何の知らせか、それは……。サンデリオたちが撤退を始めた、って知らせで。それに思わず私は思わず、『は?」』って言っちゃったんだよ。
いやね、私たちがワイバーンとグリフィレットと戦ったあと、向こうを監視? していた人たちからの情報で。サンデリオは魔法で回復してもらったにも関わらず、何故かグッタリしていて、その状態でずっと私たちに文句を言っていたみたい。
ほら、1回目といい2回目といい、私たちにこれといって何もできなかったでしょう? しかも自分は1回目の攻撃の時。まぁ、自分のせいではあるけれど、ボロボロになっちゃったわけで。
なのに、どうして私たちをやれないんだ。ってグッタリしているくせに、あーだこーだとずっと喚いていたらしい。そのせいか参謀のドミニクも、ずっとイライラしていたって。
それでようやく決まったのが、朝方に行う私たちへの攻撃だった。だから私たちは、今日は早く寝て明日に備えるつもりで、買取の話しを簡単に済ませたあとは、すぐに休む予定だったの。ほら、食事のあとすぐに寝るのもあれだから、食休みがてら話していた、って感じ。
それなのに、急に撤退を始めたって言われてさ。しかも、サンデリオが撤退時に何を言っていたかと思えば……。
「ふん! 今回はこれくらいにしておいてやろう! 私の力、いやというほど分かったであろう! 壁をも砕き、港をも壊し、さらには街の中にまで攻撃を仕掛けてみせた! お前たちの戦力では、我らを止めるなど到底できぬ」
「まったくですな。あれほどの破壊を見せつけられては、奴らも恐れをなしておるに違いありますまい」
「しかし本来ならば、このままお前たちを支配してやっても良かったのだがな……フハハハハ! それではあまりにも退屈すぎる! だから少しだけ猶予をくれてやろう! 次までにせいぜい戦力を整え、私を楽しませてみせるがいい! だが覚えておくがよい、次はこれくらいで済まさぬ」
って言って、撤退していったって。いやいやいや、待て待て待て! 街を守る壁を砕いたって、ほんの少し削ったくらいだったよね?
港を壊したっていうのも、確かに桟橋は一つ壊されたけど。それも自分たちで桟橋を使おうとして、変に攻撃して壊しちゃって、逆に自分たちが使えなくなって困ってたはずだよね?
しかも、その壊れた桟橋をササッとこの街の大工さんたちが直してくれて、そのあとは街の冒険者や騎士さんたちが桟橋で戦い、サンデリオの部隊をしっかり食い止めてくれていたし。
戦力だって、どう考えてもどこを見ても、こっちの方が上だろう。それなのに「猶予」って何だ? ふざけてるのか?
楽しませるっていうのもさ。確かに私たちはストレス発散になったり、試し斬りをしたり、素材もたくさん集まったし。
ポル君とチーちゃんはずっとニコニコだし、お兄ちゃんワイバーンも初めてのことがいっぱいでニコニコで。……なんだか、むしろこっちが楽しませてもらっているような?
なんて事を、私は話しを聞きながら思っていたはずなんだけど、口に出してしまっていたらしい。ケロケロとグレイスが、
『リアの言う通りだな。教育とは大事だと、よく分かる』
『よろしいですか、みなさん。あのように物事をきちんと理解できない……いえ、はっきり言った方が伝わりやすいでしょうね。あのように何も考えられないバカにならないよう、しっかりと勉強しなければいけません』
って言われたよ。
『あれはだめなにんげん』
『にんげんなの』
『しっかりおべんきょしないと、だめだめになる』
『なるなの』
『ぽるくん、べんきょなの』
『チーちゃんもべんきょなの』
『お兄ちゃんも勉強なんだな!』
『そうですよ、しっかり勉強してくださいね』
『まぁ、今の時点ですでにお前たちの方が、あれよりもしっかりしているがな』
……でしょうね。私もサンデリオのことで、ある意味何度も衝撃を受けたし。というか、最初から最後まで、あまりの言動が多すぎたし。
『それで、本当の撤退理由は何だ?』
「それがなぁ、こちらを攻撃していた最中に、回復していなかったワイバーンを回復させ、回復したワイバーン部隊で港を攻撃してきたんだが。毎度のことながらサンデリオが余計な命令を出したらしくてな。向こうにかなりの被害が出たんだよ。で、これ以上は危ういとドミニクがサンデリオに撤退を進言したらしい」
『……良いですか皆さん、本当にしっかり勉強してくださいね』
『サボるとあれのようになるぞ。あのような人間に、いや魔獣になってもいいか?』
『『やーだー』』
『では、しっかり勉強するんだぞ』
『『は~い!』』
「あい!」
『はいなんだな!!』
『勉強しないといけない、というかことが良く分かった……。それだけもあれの存在価値はあったでしょうか』
まぁ、確かに? というかね、チーちゃんとお兄ちゃんワイバーンも、一緒に返事してるけど。私と契約解除したら、どこに行くんでしょう? これから2人で勉強できるのかな? 後でちゃんとどこへ行くのか、聞いておいた方が良いかもね。
「とりあえず片付けが終わるまで、ここでゆっくりしていてくれ。アーセリオもお礼を言いたいと言っているんだ」
『お礼? 何のお礼だ?』
「グリフィレットとワイバーンを倒してもらったからな」
『あれは気分転換と訓練ですが?』
「……ああ、お前たちにはそうだったな。まぁ、いろいろ話しがあるんだよ」
『分かった。まぁ、これといってすぐに、何かすることもないしな』
『我々に用事もまだ全て終わっていませんし、ここはそのまま使わせてもらっても?』
「ああ、好きに使ってくれ。それじゃあな」
ベルナードさんが部屋を出て行く。
「それでは買取についての話しの続きを」
『では爪などの素材は、半分をそちらへ、それと……』
普通に買取の話しの続きを始める、ケロケロとグレイスとランドルフさん。
こんな風に、なんとも言えない感じで、戦闘は終わりを迎えたんだ。




