59話 ポル君ストレス発散と私の試し切り
グリフィレット。姿は鷹に似ているんだけど、体格はワイバーンよりひと回り小さくて、翼を広げると約3~4mくらいになるかな。
頭部に黒い飾り羽がついているのが特徴で、クチバシがとても鋭く、硬い壁も貫通する時がある。夜だと目が暗闇でキランッと光かって目立つけど、夜でもしっかりと周りを見ることができる。
飛ぶ魔獣だけあって、空中からの攻撃が得意で、ワイバーンよりも少しだけ早く飛ぶかな。普段は単独で動いているけれど、時々群れで協力して動く時がある。
ワイバーンよりも全体的な力は弱くて、海で暮らしている時もワイバーン同様、時々私たちを攻撃してきたけど。ケロケロとゲレイスはもちろんさっさか倒したし、ポル君と私が一緒に攻撃すれば、十分に倒せる相手なんだ。
そのグリフォレットが、私たちの方へ向かってきているって。
「いちゅきちゃ?」
今までワイバーンしか見てないよね? ケロケロたちも何も言ってなかったし。と、思ったら、サンデリオたちが私たちの所へ来る少し前に、別の部隊がここへ到着していたみたい。それでその部隊にグリフォレットたちがいて、港を攻撃していたんだって。
ケロケロたちの話しを聞いて、ランドルフさんはベルナードさんの所へ。
『昨日、あのバカが引いてからも、港への攻撃は続いていたが、ここへ来た時よりは攻撃は弱まっていた。そして今日の昼前には全ての攻撃が止まり、あのバカの気配がする方へ集まっていたからな』
『全てのワイバーンはまだ回復していませんが、昨日の半分以下のワイバーン部隊とグリフォレットたちで、こちらを攻撃するようですね』
『どうせ何も考えずに、昨日のことで頭に来ていて、俺たちを攻撃しろとでも言ったんだろう』
『まぁ、残りもあと少しで回復するようですし、回復した者は、別の場所を襲うか、それとも私たちの方へ来させるのか。まぁ、今は、相手はあのグリフォレットが相手ですからね。ポル、リア、あれならいつも通り攻撃して良いですよ。しっかりと倒せるでしょう。邪魔なワイバーンは私とケロケロで止めておきますから』
『やったぁー!! りあ、びしばしできる!!』
『びしばしなの?』
『うん、あれをびしばし!!』
ポル君が小さな手で指した方を見ると、私にもグリフォレットの姿が分かる所まで、グリフォレットたちが飛んできていたよ。
「今度はグリフォレットか! まったくいい加減に撤退すればいいものを」
確認していたところに、ランドルフさんに呼ばれたベルナードさんが、バルコニーに出てきたよ。
「あれは街中へは??」
『いいや、あれは俺たちを狙ってきている。中は問題ないだろう』
「そうか。一応騎士と冒険者は配置しあるが、あれでもかなりの被害が出る可能性があるからな」
『被害? あれでか?』
「ああ、もちろんだ。あれは……」
と、言葉を遮りように、ポル君とチーちゃんの話し声が大きくなる。
『あのね、びしばし、ぽるくんとりあは、いつもふたりでびしばしだよ』
『びしばし、たたかうことでしょうなの』
『うん! それでいっぱいたおして、はねをあつめて、たのしいがいっぱい!!』
『たのしいがいっぱいなの?』
『いっぱい!!』
『ぼくも、たのしいいっぱいなの?』
『たぶんいっぱい。いまはあきちゃった。だからいっぱいびしばしして、たのしいふやす』
『そかなの!! あのね。ぼくもあれなら、びしばしできるなの! いっしょにびしばしして、たのしいいっぱい、いいなの?』
『うん!!』
『と、そろそろ来るな。話しは後だ。あれは俺たちに任せろ』
『ポルが自由に動けずに、イライラしてしまって。ちょうど良いのでポルとリアに、アレは倒させます。ワイバーンたちもやるようですね。何も問題はありませんので、あなたは話し合いに戻ってもらって良いですよ』
「は? いやいや、待て待て。ポルとリアが戦うって? 確かにスプラッシュスライムを倒していたが、グリフォレットはあれよりも強い……」
『リア、あれの用意を。向こうでの試し切りは問題なしでしたが、魔獣自体を切るのはまだでしたからね。試し切りにちょうど良いでしょう」
ああ、あれね!! 私は急いで部屋に戻ると、ベッドの横に立てかけてあった、ソードリオンのクチバシで作られた剣を持ってきたよ。
ポル君がプレゼントしてくれた、2本のソードリオンのくちばしの短い方。まだ私にはちょっと長いけど、でも動けないほどじゃないから、攻撃するのに問題はなし。
サンデリオたちのせいで自由に動けなくて、まだ魔獣と戦ってないからね。確かに試し切りはするのに、ちょうど良いかも。
『カッコ良いんだな!!』
「えへへ、ぽりゅくんの ぷれじぇんちょなの。これでびちばちよ」
『ねぇ、びしばし!!』
『ぼくもなの!!』
『よし、じゃあワイバーンは俺とグレイスとお前が、グリフォレットはポル、リア、チーだ。いいか、このバルコニーのここから前には出ずに戦うんだぞ』
バルコニーの床に、ちょうど良い床の繋ぎ目があって、ケロケロがそこから前に出ずに戦うようにって。
『私がここに立って、ケロケロがそこに、ワイバーンにはあそこに立ってもらい、ポルたちが前に出過ぎないようにしましょう』
『分かったなんだな!! チーちゃん、頑張るなんだな!!』
『うんなの!!』
『さぁ、ポルとリアも並べ』
「あい!」
『くちゃらちゃあ!!』
『あ、そうだったなの!? くちゃらちゃあだったなの!! くちゃらちゃあーなの!!』
なんでも使える『くちゃらちゃあ』の掛け声で、気合を入れる2人。チーちゃんまで言うようになっちゃったよ。まぁ、2人が気に入ってるなら良いんだけどさ。
「おいおい……」
私はベルナードさんが慌てているのを知らずに、ソードリオンの剣を構えたよ。




