58話 ポル君の飽きたともう1匹の契約魔獣
そしてサンデリオたちが引いた後の私たちといえば。
『ぽるくん、あきたぁ』
『ぼくはげんき、げんきなの』
『でも、あきたでしょう?』
『ぼく、おにいちゃんと、みんなといっしょだから、だいじゅぶなの』
『でも、あきたでしょう?』
ポル君、その子を巻き込まないように。というかポル君、よほど飽きたらしい。まぁ、ずっと同じ場所にいて、昨日まではサンデリオの相手をしていたからあれだけど。サンデリオたちが引いてからは、ないも起こってないからね。向こうの壁の方では、まだ戦っているけど。
昨日の夜までには、あの魔獣たちを強くする薬の匂いが消えたから、戦闘中ではあるけれど、部屋でゆっくり寝た私たち。朝も、いつもの朝とほぼ変わらずに始まり、朝ごはんもバッチリ食べて、時々外の確認をしながらも、何もせずに過ごしていたんだ。
部屋はバルコニーのある部屋をそのまま借りたよ。周りがよく見えるのと、すぐに外に出て戦えるのが良いって、ケロケロたちがこの部屋を気に入ったから。
そうして何もせずにお昼ご飯を食べて、いまは14時。ポル君がついに飽きちゃったんだ。さすがにお店通りには行けないし、おもちゃもあまり出すなって、ケロケロとグレイスに言われてるから、暇になったらしい。
『ポル、まだ戦闘は続いているんだ。こういう事はいつ何時、何が起こるか分からない。そしてその時どう過ごしているかも、とても大事になってくる。いまは勉強の時間だ』
『そうですよ。確かに今回はあのバカが相手ですから、どうしても暇になってしまいますが。もしも私たちが暮らしている海で、大規模な戦闘が起こったら? そんな時に飽きたなどとは言っていられません』
『でも、あきた』
『はぁ、本当はこんな事を言うのはよくないのだが。まぁ、もう少し待っていろ。きっとあのバカはまたやってくるはずだ』
『もしかしたらまたあの薬を使い、少しは強くしたワイバーンを連れてくるかもしれません』
自分たちで注意しておいて、敵が来るのを待つってどうなのよ。本当、敵は来ない方が良いんだからね?
『おにいちゃん、これなになの?』
『分からないんだな。リア、これなんなんだな?』
「こりぇは、ちゅみき。ちゅんだり、なりゃべたり、いりょいりょなものちゅくってあしょぶ」
なんだかんだと、ワイバーンともう1匹契約した魔獣も暇そうだ。
そうそう、もう1匹の契約魔獣だけど。一体どんな魔獣と契約したのか。それはポル君より少しだけ大きい、だけどポル君と同じ歳の子ワイバーンと契約したんだよ。
実は前に2度、ワイバーンはサンデリオから、無理矢理契約を解除して逃げようとしたことがあって。でもその時はまだ力がそこまでつよくなかったから、逃げられなかったんだ。
まぁ、契約解除をしたところで、サンデリオには特別契約魔法があるから、また契約させられたんだろうけど。
でもサンデリオは、逃げようとしたワイバーンが気に入らなくて。ワイバーンに懐いていた子ワイバーンを人質に、子ワイバーンを苦しめたくなかったら、2度と逃げるなって、ワイバーンを脅したの。
だからワイバーンはなかなかに逃げる事ができず、ずっとサンデリオといることに。
ただワイバーンは少し前に、一応はサンデリオの契約解除できるほどの力を身につけることができたから。契約を解除した後は、子ワイバーンを連れて逃げて、どうにか子ワイバーンの契約を解除しようと考えていたみたい。
なんかね、ここから少し行った所に、契約を解除できる強い力を持っている魔獣がいるらしんだ。昔会ったことがあって、だからその魔獣に、契約を解除してもらおうとしたみたい。
だけど今回ケロケロたちと話して、逃げるよりも安全かも、ケロケロたちは力がある魔獣だから信じられるって。あのワイバーンの契約をする話しをしていた時に、ワイバーンが子ワイバーンを助けて欲しいって話して来たんだ。
それでケロケロとグレイスがすぐに、敵の所の荷馬車の1つから、子ワイバーンの気配を確認。
だけどまずはワイバーンの方からってことで、私はワイバーンと契約。それで急いでグレイスが敵の陣地まで行って、子ワイバーンを救出して連れてきてくれたの。
でも無理やり子ワイバーンと契約した人から離したから、その人が子ワイバーンをお仕置きのために苦しめる力を使って。だから私たちの所へ来た時、子ワイバーンは苦しんでいたんだ。
まぁ、すぐに私が契約の重ね掛けをして、私が契約者になったから、もう全く問題なしだし。ポル君とすぐに仲良くなって、ポル君と遊んでいたんだ。ただ、ポル君が先に、遊びを制限されてるもんだから飽きちゃったんだけどね。
そうそう、子ワイバーンにちゃんとした名前はないんだけど、ワイバーンがチーちゃんって呼んでいて。だから私たちも、チーちゃんって呼ぶことにしたよ
『ポル、飽きたなら、ワイバーンたちにいろいろ教えてやれ』
『おしえてる、でもあそぶのがぁ、すくない』
『部屋の中でも探検すれば良いだろう』
『みんなびしばし、ぽるくんもびしばし』
『はぁ、遊びが少なくて飽きたっていうより、動き回れなくて、うだうだ言ってる感じか』
『ポル、私たちも大して動いていないでしょう』
『けっかいはったでしょう、それからてきのところいってきて、それから』
ああ、ビシバシ、敵を倒したいってことか。
『それくらいしかしてないだろう』
『私たちも、ここまで動かないとは思っていませんでしたよ。というか、あそこまでバ……』
グレイスがバカと言いかけた時だった。ケロケロとグレイスが同時に窓の外を見て、そのままバルコニーに出て行ったんだ。慌てて追いかける私たち。ケロケロたちはじっと敵がいる方を見ていたよ。
「どちたの?」
『ポル、少しは運動ができそうだぞ』
『ええ、あれなら丁度良いでしょう。リアも運動できますよ』
運動?
『グリフィレットがこちらへくるようだ』




