50話 『?』ばかりのサンデリオの言動
「ねぇ、けりょけりょ、ぐれいしゅ」
『何だ?』
『どうしました?』
「けっかいをやぶりゅこげきでちょ? ありぇも、わじゃとかな? ぽりゅくんでも、ありぇくりゃいのこげき、けりかえしゅもんね」
『『……』』
「けりょけりょ、ぐれいしゅ?」
『……そうだな。あれは本気ではあるまい』
『そうですよ。あれの魔力は、もう少しありますからね。そう、もう少しだけですが。今のよりは強い魔法を放てるはずですから、今のはわざとでしょう』
やっぱりそうだよね。サッカーボールの2倍の大きさになったファイヤーボール。あれのさらに倍くらいの、中級レベルのファイヤーボールでも、ポル君が蹴って返すことができるし。もしも結界を破る気があるなら、さすがにもう少し強い攻撃をするよね。
「ちゅぎは、どんなこげきかな?」
『もっとおおきな、いりゅまーくらいの、ふぁいやーぼーるかも!!』
イルマーは、クラゲ魔獣だよ。大きさが2メートルくらいなの。でもとっても優しい魔獣で、よく私たちと遊んでくれるんだ。地球のクラゲみたいに毒を持っているんだけど、使う時と使わない時で、ちゃんと分けているから大丈夫何だ。
と、ポル君の言う通り、せめてそれくらいはやらないとね。ただ、う~ん。今グレイスは、もう少しだけ魔力があるって言ったよね?
グレイスたちは、みんながどれくらいの強さか分かるから、もう少し強い魔法が放てるって分かったんだろうけど。もう少しって、どれくらいかな?
「しゃ、ちゅぎのまほみよ!」
『うん!!』
「あ~、リア、それにポル、あまり言いたくはないんだが……」
私たちがサンデリオを見た時、ベルナードさんが何故か申し訳なさそうな? 困ったような顔で、私たちに話しかけてきたよ。でもその瞬間。
「何故だ!! 何故結界が破れんのだ!! まさか奴ら、私の偉大なる魔法を止めたいがために、結界に何かしておるのか!? なんとまぁ卑怯な者どもよ!!」
……は?
「きっとサンデリオ様の、素晴らしい魔法のことを知っており。そのため先に対策を取っておいたのでしょう」
「やはりそうか!! おのれぇ!」
……は?
「こうなったら仕方がない。これにやらせるしかないようだな! まだ訓練途中だったが、しかたあるまい。これならば間違いなく結界を破れるであろう。まぁそれで、人質が何人か死ぬやもしれんが。人質など1人か2人残れば良いだろう!」
「なるべくあの男は残していただけると。交渉が上手くいくかと」
「ふむ、確かにそれはそうだ。しかし、これが攻撃した後のことは、私にはどうにもできぬ。おい、お前! これからこれが攻撃し結界を破るが、お前は生き残るよう努力しろ!」
……は?
「まったく、そもそもお前たちがおとなしく捕まっておれば、私もこれを使わずにすんだものを。そうすれば誰も死なず、全員を人質に取り、交渉も楽に進められたであろうに。お前たちも死にたくなければ、何もしなければよかったのだ。恨むのならば、自分を恨むがよい。よし! お前たち、準備をしろ!!」
ワイバーン部隊の人たちがぞろぞろと動き出す。……って、待って待って。何が起きてる? 次の魔法は? これって何? 私たちの誰かが死ぬ? ベルナードさんには、生き残るよう努力しろって言ったよね?
サンデリオの言っていることがまったく理解できず、私の頭の中には「?」が大量にあふれてしまった。……いや、誰だってこうなるでしょう?
『あー、奴が何をしようとしているのかは分かったが』
『まさかあれが、奴の最高の魔法攻撃だったのですか?』
ん? グレイス、今何て言ったの? これ以上『?』を増やさないで欲しいんだけど。
「ああ、そのまさかだ。あれが奴の火魔法の限界なんだ」
んんん? みんなが黙ってベルナードさんを見る、だけどそんな中、ポル君だけがベルナードさんに、魔法まだ? と問いかけて。
『まほ、まだ?』
「あー、うん。あのな、魔法はさっきので終わりなんだ。今度はワイバーンが魔法を使うんだぞ」
『えー、まほおわり!? ぽるくん、たのしくない。もっとバシッ! のまほやるんでしょう?』
「楽しくないって。……そりゃあ、ケロケロたちの魔法を見ていれば、そうもなるか。ポル、本当にあれで魔法は終わりなんだ。悪いがワイバーンの攻撃で楽しんでくれ」
「ベルナード様、さすがにその言い方はどうかと思いますが?」
「仕方ないだろう。いつも見ている魔法が魔法なんだぞ。その辺の魔法じゃ、楽しめないのは当たり前だし。ならワイバーンなら少しは、ってなるだろうよ」
『すまん、聞きたいのだが。奴の魔力量ならば、もう少し強い魔法を使えると思うのだが? 本当にあれで終わりなのか?』
「お前たち、相手がどれくらいの力を持っているか、どんな力を持っているか分かると言っていたな」
『ええ。まぁ、細かくはさすがに無理ですが。大体は分かりますね』
「じゃあ、奴がどんな魔法が得意かも分かっているな?」
『ああ、契約魔法が得意のようだが』
「そうだ、奴は契約魔法が得意だ。だが、その契約魔法が普通じゃない。奴のは特殊契約魔法なんだ」
『ああ、なるほど、そうでしたか。変な感じはしていたのですが』
何々? どうしたの? サンデリオの契約魔法が普通じゃないって? 特殊契約魔法魔法なんて、初めて聞いたんだけど?




