44話 鍛冶屋と街歩き
次の日、ベルナードさんはまだ忙しくて。話し合いは終わったみたいなんだけど、いろいろとやることがね。
それでどうせ街にいるなら、ずっと泊まってくれていて良い。全てが終わったら。もう1度ゆっくり話しようってことになって。ベルナードさんだけじゃなくアーセリオ様もね。だから私たちは街にいる間、ずっとお屋敷に泊まらせて貰えることになったんだ。
そしてそんな忙しいベルナードさんたちと違い、私たちは忙しくないから、街の鍛冶屋へ行くことにしたんだ。ポル君プレゼントの、ソードリオンのくちばし。あれで剣を作ってもらうのも、この街へ来た目的の1つだからね。
ということで、朝から早速お店通りへ行った私たち。初めての街に、初めての人々に、めちゃくちゃテンションが上がった私は……。お店通りに行った途端、ケロケロに抱っこされることになってしまった。
けど、その後落ち着いてじっくり眺めた街並みは、ライトノベルによく出てくるような街並みで。憧れの異世界に来たんだなぁ、って改めて感動したんだ。
そしてその感動のまま、鍛冶屋に向かった私。ベルナードさんが、この街で1番の腕利き職人がいる鍛冶屋を紹介してくれて、紹介状まで書いてくれたんだ。
それを手に訪ねてみると、ケロケロは他の人より一回り大きいんだけど。そんなケロケロよりも大きな人がお店の奥から出てきて、最初はとても驚いちゃったよ。
山の民と呼ばれる人々で、険しい山々で暮らしているため、体が鍛えられ、力強くたくましい大きな体つきになる。
荒々しい人も多いけれど、心は温かく、街の人々とも親しく暮らせる種族だって、グレイスが教えてくれたよ。
そんな山の民のケイブンさん。ベルナードさんの紹介状を確認すると、ちょうど前の仕事がひと段落ついたところだから、すぐに私の剣を作ろうと引き受けてくれて。しかも、小さい方の剣なら、今日中にできるということで。
剣を作るのに興味津々のポル君。そんなポル君を見てケイブンさんが、少しなら見学しても良いと言ってくれたから。少しだけ見学させてもらったあと、他のお店巡り。お屋敷へ戻る前に、剣を取りに来ることにしたよ。
どうやって剣を作るのか。まず最初にソードリオンのくちばしをきれいに洗い。そのあと何かの粉? を使ってもう1度洗って。
それが終わると今度は、くちばしにはトゲのようなものがたくさん付いているんだけど、それを削り落とし、さらに洗って磨き上げる。
その作業を何度何度も繰り返すと、普通のくちばしだった物が、ツルピカッ!! と輝き始めるの。
ここまでが最初の段階なんだって。最初の段階だけで、こんなに大変な作業をするとは思っていなかったよ。ソードリオンのくちばしは特別だから、他の素材とは違う方法で加工するらしい。作るのも他より難しいみたいだよ。
そうしてまた少し作業があって、その後は……。まさにライトノベルで読んだことがある、いかにも剣を作ってます! って感じの作業が始まったんだ。
まず、炉にくちばしを入れて真っ赤に熱し、その熱せられたくちばしを大きなハンマーで力強く叩く。火花が散り、打ち込むたびに、カンッ!カンッ! と工房中に音が鳴り渡った。くちばしからカンカンなんて音がするなんてね。
熱しては打ち、また火に入れて熱し、少しずつ形を整えていく姿が、とってもカッコよかったよ。絶対私には無理。さすが鍛冶師さんだよね。
ただそのケイブンさんの様子を見て、同じようにカッコいいとはしゃいでいたポル君が。途中から、ケイブンさんの後で、ケイブンさんの姿を真似し始めて、ケイブンさんは苦笑い。
ずっとここにいられたら仕事にならないなって、時々笑ってたよ。短い手で一生懸命真似してたからね。その姿がとっても可愛かったんだ。
そうして見学が終わった私たちは、今度はポル君が行きたがっていたお菓子屋さんへ。クッキー専門店とか、飴の専門店とか、いろいろなお菓子を売っているお店。いろいろなお店があったよ。
中でも1番惹かれたのは、お煎餅の専門店。まさか異世界でお煎餅を売っていると思わなかったから、他のお菓子よりも多めに買ってもらって。
しかもお煎餅を作るお米だけど、この世界ではマイと呼ばれていて。お店をやっている人だけじゃなく、一般の人も買うことができることが分かったから。お菓子のお店巡りが終わってから、マイを売っているお店に直行。重さ的に約100Kgのマイを買ってもらったんだ。
これで海に帰っても、お米を食べることができるし、ケロケロたちにマイの料理を作ってあげられるよ……。まぁ、本当に作るのはグレイスだけど。私は横から作り方を教える感じ?
そうしてマイも買い終わると、初めての異世界の食事処へ。魔獣の肉を使った料理で、ステーキはもちろん、ハンバーグみたいな料理に、シチューに炒め物にと、いろいろな料理があって、全部美味しかったよ。
全部……。あー、ケロケロとグレイスがいっぱい食べるから、ほぼ全部の料理を注文したんだよね。
それでポル君はよく食べるけど、ケロケロたちほどじゃないから、ケロケロたちのご飯を5くちずつもらって。私は2くちずつ貰って食べたから、全部のご飯を食べることができたんだ。
そして夕方、お屋敷に帰る前に鍛冶屋に戻った私たち。
「おお、ちょうど作り終わったところだ。リア、こっちに来て持ってみろ」
鍛冶屋に裏には、ちょっとしたスペースがあって。ここで実際に武器を使ってみて、問題がないか確認するんだって。
ケイブンさんが剣を鞘からぬく。するとキラキラと光る、少し透明感のある、とても綺麗な剣が姿を現した。




