42話 人と戦うということの意味
『そうだな。まぁ、あれくらいの戦力だったら問題ないだろう』
『そうですね。あなた方の実力でも、あれらに負けるはずがありませんし。さっさと決着がつくでしょうから、このまま街に残りゴタゴタが終わったら、そのままポルとリアを遊ばせましょうか』
『だな。いちいち海に戻ってまた来るとなると、少々面倒だ』
「じゃあ、このまま残るって事で良いな、それならこれから部屋を用意するから、ここでもう少しだけ待っていてくれ。が、本当のに良いのか? リアとポルが攻撃を受けて、怪我をする可能性もあるぞ?」
『あれくらいならば、俺たちがいるから問題ない。それに、人間達の攻撃を、リアに見せるのにちょうど良い。なにしろ今までリアは、海にしかいなかったからな』
『危険な人間がどういうものか、しっかりと勉強するのに良い機会です』
この世界に来て、まだそんなに人と関わっていない私にとっては、勉強するにはちょうど良い。それに私は捨てられて、記憶が曖昧ってことになってるから、勉強って言っても、おかしいとは思われないし。
「勉強か」
『それに人間と共にいる魔獣が、どんなものかも見せておきたい。人間と契約して、自分の力を強めた魔獣は、自由に生きている魔獣よりも、時に強くなることがあるからな。我々のように』
『あとはそうですね。私たちを襲ってくるようなら、ポルには良い戦闘の訓練になるでしょうし。なんでしたらリアも、訓練しても良いですしね』
ワイバーンか。どうなんだろう? 戦うことができそうな、できなさそうな? 海では強い魔獣が襲ってきた時は、ポル君の後ろから攻撃する練習はしたけど。その時に何回かワイバーンも攻撃したし。ここでも同じようにすれば、訓練になると思うんだよね。
ただ違うのは、ワイバーンには人が乗っていて、その人とも戦うことのなるかもしれないってこと。
神様がこの世界では、ライトノベルみたいに魔獣だけじゃなく、人ととも戦うことになるって。だから私がそれでショックを受けないように、精神耐性のスキルをつけてくれたから大丈夫なの。でもこう、人と戦うっていうイメージができないんだよ。
そりゃあ攻撃されればちゃんと戦うよ。ポル君やケロケロがグレイスが攻撃されても、私はその攻撃してきた人を攻撃するし。まぁ、みんな私の手助けなんていらないだろうけど。それでもね。
「けりょけりょ、ぐれいしゅ、ひととたたかう?」
『そうだな。たぶんそうなるだろうな』
『そういえば、リアは魔獣は大丈夫ですが、人と戦ったことはありませんね。そうですね、やはり今回は、しっかり勉強した方が良いでしょう。魔獣はいつも通りポルの後から攻撃。人は我々が攻撃しますから、それを見ていてください』
「あい!」
良かった。最初からじゃなかったよ。ここはちゃんと人と戦うってことがどういうことか、ちゃんと勉強しておかないとね。
「おいおいお前たち。こんな小さな子に、人との戦闘を見せるのか!?」
これからの話しをしていたら、ベルナードさんが慌てた声で話しかけてきたよ。
『ええ。これほど危険の少ない戦闘は滅多にありません。戦い方を見せるには、良い機会ですからね』
「いやいや、魔獣じゃないんだぞ? 人との戦闘を見せるってことなんだぞ?」
『何か問題が?』
『魔獣も人間も、変わりはないはずですが?』
「いや、確かにそうかもしれないが、リアはまだ2歳なんだぞ? 子供には、少し早すぎる経験なんじゃないのか?」
ああ、まぁ、やっぱりこれが普通の反応なのか。いくら人との戦があり、生き死にが隣り合わせの世界とはいえ。私みたいな小さな子供には、やっぱり早すぎる経験と。
でもだからこそ、私はこの世界で生きていくんだから。人との戦闘がどういうものかきちんと経験をして、そのことをしっかりと考えながら、生きていかないといけないと思う。
「べんきょ、だいじ。いちゅもべんきょちてりゅ。だかりゃ、だじょぶ」
「リア、魔獣じゃないんだ。子供のお前は、良く分かっていないかもしれないが。リアと同じ、俺たちみたいな人間と戦うんだぞ?」
「わかっちぇりゅ。でも、だじょぶ」
『同じ種と戦うから問題ということか?』
『ああ、まぁ、リアにしてみれば同じ人間同士ですからね。ただ、別に問題ないと思いますが。……そうですね、ではこうしましょう。私たちと人間の戦闘を、リアに見てもらい。それでリアが具合が悪くなったり、傷つくことがあるようなら、今回の勉強は中止にしましょう。それでどうですか?』
『そうだな。リアが傷つくのはダメだ。まぁ、どうせ後から慣れてくるだろうし。それで良いだろ』
「お前らなぁ。はぁ、心配だな。もしお前達が戦闘に加わるのなら、俺もお前たちの近くで戦い、様子を見ておくか……。と、そういえば、お前たちの訓練やら勉強についてなんだが。魔獣との戦闘についても、ちょっと聞きたいことが……」
と、話している最中だった。ランドルフさんが戻ってきて、ベルナードさんが私たちが泊まることを伝えると。ランドルフさんはすぐにメイドさんを呼び、そのことを伝え。部屋の用意ができるまで、私たちはランドルフさんがお屋敷の案内をしてくれることに。
「まぁ、俺もアーセリオの所へ行かないといけないからな。魔獣の話しは後で聞けば良いか」
「ではこちらへ」
こうして私たちはベルナードさんと一旦別れて、ランドルフさんについて行ったんだ。




