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10話 ついにこの日が、本当の家族になる日

 新しい世界に来て、たぶん4週間くらい。だから1ヶ月? が過ぎた。……たぶんね? この世界の日にちの数え方が、まだよく分からないんだ。ケロケロたちに聞いてみたら、たぶんって返されちゃってさ。


 この世界では、7日を1つの区切りとして考えていて、それが4つ集まると1つの月で。その月が12個で1つの年になるらしい。

 この感じだと、地球とそんなに変わらないと思うんだけど。ただ、正確なものかは分からないから、今度街へ行った時に、ちゃんと確認しようと思ってるんだ。


 まぁ、日にちはおいておいて。今日は何をする日か。そう、それは……。今日はいよいよ契約をする日なんだ!!

 先週からテイムの練習を始めた私は、そろそろやってみるか、ってケロケロのひと言で、今日やってみることになったの。


 魔法の練習はまず、魔力を感じることから始まったよ。グレイスが私の魔力を引き出してくれて、魔力の感覚を覚えたんだ。魔力はとっても暖かくて、魔力を高めると温泉に入っているみたいにポカポカして、とっても気持ちが良かったよ。


 魔法を使うには、この魔力をしっかり使うことが大切で。魔法を習い初めの頃は、ちゃんと意識してから魔法を使うんだって。そうして慣れてきたら段々と、その意識する時間を短くしていって。最終的には意識しなくても、魔法が使えるようにするの。


 まぁ、練習の量にもよるけど。大体後半は慣れてきて、誰に何を言われなくても、意識しないで魔法が使えるようになるみたい。


 ただ、今の私は完璧に練習量が足りていないから、まだ1人で魔法を使えない。だからグレイスが手伝ってくれるんだ。


『良いか、教えたようにやるんだぞ。別に何か長い呪文を唱えたり、魔法陣を描いたりしなくて良い。ただ、我々の事を考えて、テイムとだけ言えば良いんだ』


『魔力は私が一定に保ちますから、私たちと契約する、それだけに集中ですよ』


「あい!!」


『りあ、がんばる!! ぽるくん、おうえん!!』


「あたち、がんばりゅ!!」


 いよいよだ。緊張しないよう、なるべくリラックスするようにしていたけれど。やっぱり本番になると、めちゃくちゃ緊張するよ。


 あー、契約できなかったらどうしよう。みんなは何度失敗しても良いって言ってくれてるけど。やっぱり家族になるんだから、この魔法だけはしっかりと成功させたいんだよ。


『それじゃあ、リアの魔力を引き出しますね』


 まだそれも自分でできないから、グレイスがやってくれる。グレイスが私の肩に手を置くと、すぐに体全体がポカポカ気持ちよくなって、魔力が引き出されたことが分かった。


『どうですか?』


「ん、まりょくわかりゅ」


『では、そのまま私たちのことを考えてください。考えて考えて、そしてこれ以上考えられないというくらい考えたらテイムと言ってください。それから教えたように、テイムが始まると、私たちを明るい光が包みますが。怖がらずそのまま、私たちのことを考えていてくださいね』


『すぐに光は収まる。別に痛いとか、苦しいとかもないから安心しろ。光が消えたら、俺が鑑定で、契約できているか確認する。それでできていればテイムは成功だ』


「りあ、がんばりゅ!!」


「うん!!」


 私はケロケロ、グレイス、ポリ君をことを考え始めた。


 この世界へ来てまだ1ヶ月。それでもこの短い期間で、ケロケロたちにこの世界のことを教えてもらいながら、訓練をしながら。そして本当の家族として過ごしてきた。


 私は小さい頃に事故で両親を亡くして、その後は親戚の家をたらい回しにされて、最終的には施設に行くことになって。家族というものがどんなものか、よく分からないんだ。

 

 でも3人とも、種族の違う私を、神様にいきなり押し付けられても、受け入れてくれて。一緒に笑ってくれるし、何かあれば全員で一緒に考えてくれたり、私を守ろうとしてくれたり。


 これが家族っていうのかな? まだよく分からないけど、それでも私は今、とても幸せなの。だからどうか、みんなと契約させて。本当の家族にならせて。お願い!


 どれくらいの時間、みんなの事を考えていたかな? ケロケロたちに教えられた通り、たくさんみんなのことを考えた私は、ついにあれを唱えることにしたよ。


 ゆっくりと目を開ける。すると、しっかりと私を見つめているケロケロたちの姿が目の前にあった。みんな、私やるよ!


 大きく息を吸い込む。そして……。


「ていむ!!」


 そう叫んだ次の瞬間、ケロケロたちが言っていた通り、私たち全員を光が包んだ。っていうか、話しに聞いていたよりも、光が強いんだけど!? 私は目を瞑って、思わずその場にしゃがみ込んだよ。


 それから数分。ようやく光が収まってきた感じがして、そっと目を開けると。確かに光は収まってきていたけど、今度は私たちの体自体がキラキラ光っていて。


 でもそれも、また数分すると消え始め。最終的に10分くらいして、全部の光りが消えたんだ。


「……おわり?」


『そうだな、魔法自体は収まった。まぁ、ちょっと、俺が思っていたよりもう光りは強かったが。この様子なら、契約できているだろう』


『そうですね。予想していたよりも強かったですね。ですが目を瞑るほどでもありませんでしたし、問題ないでしょう。さぁ、ケロケロ。鑑定をお願いします』


 あれで!? 私目を瞑って、手でも覆って、しかもしゃがんだんだけど!? 目を瞑らなかったの? それって目、大丈夫なの? 逆に心配なんだけど。


 私の心配をよそに、ケロケロが鑑定を始める。するとすぐに、にっこりと笑ったケロケロ。


「リア! よくやった! 初めてで成功するとは。しっかりと契約できているぞ!」

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