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伊達と富澤の世界史教室コント ~イスラム教、誕生の秘密!~


(舞台には黒板。伊達はなぜかひげを触り、富澤は頭にターバンを巻いている。)


伊澤: どうもー!サンドウィッチマンでーす!今日は世界史の時間だ!みんな、ついてきてるか?


富澤: (ターバンを整えながら)どうもー。これで俺もアラブ人っす!


伊澤: お前、なんで急にアラブ人になってんだよ!いいか、これからイスラム教の話するんだから、いきなりイスラム教徒になろうとすんな!もしかしたら、次回から撮影してもらえなくなるかもしれないだろ!


富澤: (ターバンを取りながら)あ、そうっすね。すいません。


伊澤: そうだろ!さあ、行くぞ!今日は「イスラム教の成立」だ!なんで生まれたのか、いつ生まれたのか、どんな宗教なのか!全く知らない人でも「なるほど!」って思ってもらうのが目的だ!


イスラム教成立前夜:砂漠の商業ルート

伊澤: まず、この図(頭の中に想像してくれ!)を見てくれ!6世紀、500年代の話だ!この頃の世界は、西に「東ローマ帝国(ビザンツ帝国)」がいて、東には「ササン朝ペルシア」がいたんだ!


富澤: はい、二大大国ですね!


伊澤: そう!東ローマにはユスティニアヌス帝っていう超強い王様がいて、ササン朝にはホスロー1世っていうこれまた強い王様がいたんだ!この二つの国はな、いつも領土争いで喧嘩ばっかりしてたんだよ!一進一退の攻防だ!


富澤: なんか、よくある話ですね。


伊澤: で、何が問題になるかというと、この喧嘩してる場所に、昔から「シルクロード」が走ってたんだ!要するに、ヨーロッパとアジアを結ぶ、モノの通り道だな!


富澤: あー、じゃあ、そこで喧嘩してたら、モノが通れなくなっちゃいますね!


伊澤: その通り!だから、商人たちは困った!「これじゃダメだ!違うルートを探そう!」ってことになったんだ!そこで見つけたのが、アラビア半島を縦断する海沿いのルートなんだ!


富澤: アラビア半島!砂漠のイメージですけど。


伊澤: そう!昔は砂漠の真ん中を通る道もあったんだが、通りにくいからな!だから、今のエジプトから地中海に入るルートとか、シリアの方に抜けるルートとか、そういう海沿いの新しい道に、人やモノが通るようになったんだ!


富澤: 新しい道ができたら、そこに人が集まって町ができますね!


伊澤: そう!それで栄えたのが、アラビア半島南西部の「イエメン地方」なんだ!ここは農業も盛んで、穀物も採れるような、実は農耕地帯なんだぞ!今でも世界遺産があるんだけど、残念ながら内戦中でなかなか行けないんだがな。


富澤: へー!イエメンってそんなところだったんすね!


伊澤: そして、もう一つ、北の方の「オアシス地帯」にも人が集まるようになったんだ!砂漠の横っちょに町ができるイメージだな!そうやって、アラビア半島でも商業が発達し始めたんだよ!


商人の対立とムハンマドの登場

伊澤: でな、ここに集まる商人にも二種類いたんだ!一つは、もともとそこに住んでて、そこで待って商売してる人たち!「オアシスの民」って呼ぶんだな!


富澤: はい!


伊澤: もう一つは、いろんなところを回ってモノを買いに行って、ここに持ってきて売る人たち!いわゆる「行商人」だな!これを「ベドウィン(遊牧民)」って言うんだ!


富澤: あー、ベドウィンって聞いたことあります!


伊澤: そう!でな、このオアシスの民とベドウィンの間に、どうしても経済力の差が生まれてくるんだ!ベドウィンの方が安く買い叩かれたりして、なかなか強く出られない。徐々に貧富の差が広がっていったんだよ!


富澤: 格差社会ですね。


伊澤: そう!特にメッカっていう町が、この商業でものすごく発展したんだが、その中で貧富の差が問題になってきたんだ!「この貧富の差は良くない!みんなもっと平等になるべきだ!」って考える「いい人」が現れるんだ!


富澤: 誰ですか!?


伊澤: その「いい人」というのが、メッカに拠点を置く「クライシュ族」っていうアラブ人の部族の中にいた、「ハーシム」出身の、ある人物なんだ!実はこの人、小さい頃に両親を亡くした孤児なんだな。


富澤: 苦労人だったんですね。


伊澤: そう!でな、この人が40歳になった時だ!ある洞窟に入るようになって、そこでずっと何か考えているうちに、突然、天使ガブリエルが降りてきたんだ!


富澤: (目を大きく見開いて)ガブリエル!?キリスト教の天使じゃないですか!


伊澤: そうなんだよ!だから、実はこの人物、キリスト教やユダヤ教にも精通してたんだな!ガブリエルが見えたってことは、そういう知識があったからかもしれないな!普通、寝ててガブリエル降りてきたら、病院行くだろ?


富澤: (爆笑)確かに!


伊澤: そうやって、彼はユダヤ教やキリスト教に触れながら、さらに新しい宗教を生み出したんだ!彼こそが「最後の預言者」、皆も知ってる「ムハンマド」なんだよ!


富澤: ムハンマド!


イスラム教の教えとヒジュラ

伊澤: ムハンマドはな、この貧富の差を無くしたい、そして、みんながバラバラにならないように団結させたいって考えたんだ!当時、メッカにはいろんな神様がいて、みんなが自分の好きな神様の像を、四角い箱(カーバ神殿の元になる建物な)に入れて祀ってたんだ!バラバラだから、団結力もないだろ?


富澤: はい!


伊澤: だからムハンマドは言ったんだ!「神様は一人であるべきだ!」ってな!そして、神様は目に見える像じゃなくて、頭の中で想像するべきだ!これはユダヤ教やキリスト教から学んだことなんだ!


富澤: 一神教ですね!


伊澤: そう!そして、「神様には絶対服従だ!」って言ったんだ!この「絶対服従」をアラビア語で「イスラーム」って言うんだぞ!だから、この宗教は「イスラーム教」って呼ばれるようになったんだ!


富澤: なるほど!名前の由来はそこだったんすね!


伊澤: でもな、新しい宗教ってのは、いつの時代も怪しまれるもんだ!「怪しい、怪しい」って言って、大商人たちからムハンマドたちは苛められたんだ!このままメッカにいたら殺されかねない!


富澤: じゃあ、逃げるしかないですね!


伊澤: その通り!だからムハンマドたちは、622年に、ちょっと北にある「ヤスリブ(後のメディナ)」っていう町に逃げたんだ!これを「ヒジュラ(聖遷)」って言うんだよ!


富澤: 聖なる遷都!でも、逃げただけなのに、大げさっすね!


伊澤: いやいや!この622年こそが、イスラーム暦の元年になる、めちゃくちゃ大事な年なんだぞ!俺たちが使ってる西暦より622年遅れてるんだ!


富澤: へぇー!


メッカ制圧と正統カリフ時代

伊澤: でな、メディナに逃げたイスラム教徒たちだが、やっぱり「正しい宗教」だったんだろうな!どんどん人が集まって信者が増えていくんだ!信者が増えれば強くなる!そしてとうとうだ!ヒジュラから8年後、630年にメッカに戻ってきたんだ!


富澤: おかえりなさい!


伊澤: メッカはな、ほとんど誰も死ぬことなく、無血入城でイスラム教徒の手に渡ったんだ!そして、あの四角い箱に神様の像を入れるのはやめだ!神様は一人!みんなは、その黒い箱の周りをぐるぐる回ることで神様を祀る!この「立方体」をアラビア語で「カーバ」って言うんだ!


富澤: カーバ神殿!第一の聖地ですね!


伊澤: そう!ここを拠点にイスラム教はどんどん大きくなっていったんだ!しかし問題はここからだ!ムハンマドは630年にメッカを制圧したが、その2年後の632年には亡くなってしまうんだ!


富澤: え!?預言者がいなくなったら、神様の声が聞けなくなっちゃうじゃないですか!困る!


伊澤: その通り!イスラム教徒はアラーの直接の声を聞けないから、ムハンマドみたいな「預言者」が必要だったんだ!だから、ムハンマドが死んだ後、彼の代わりに誰か「代理人」が必要になったんだ!


富澤: 誰が選ばれたんですか?


伊澤: ムハンマドの後継者として選ばれたのが、「カリフ」っていう役職だ!選挙で選ばれるんだ!だから、カリフは一番偉い人って思われがちだけど、偉いのはアラーだ!カリフは神様の声を聞いて、それをみんなに伝える「ただのアナウンサー」だと思っとけ!


富澤: なるほど!


伊澤: 初代カリフに選ばれたのが「アブー=バクル」!二代目が「ウマル」だ!ウマルの時代には、イスラム教のやり方に反対する人たちもいたから、「聖戦ジハード」っていう戦いも起こりながら、どんどん領土を広げていったんだ!


富澤: ジハード!


伊澤: そして三代目が「ウスマーン」!四代目が、ムハンマドの娘婿である「アリー」だ!この4人のカリフの時代を「正統カリフ時代」って言うんだ!


富澤: 正統カリフ時代!


伊澤: アリーが暗殺される661年まで、イスラム世界は急速に領土を広げていったんだ!エジプトの隣から、あのササン朝ペルシアを滅ぼして、イラン全土を支配下に置いたんだぞ!


(ここでイメージ図を頭に描いてもらう)


伊澤: これが、イスラム世界の壮大なスタートなんだ!


富澤: うわぁ…すごい!たった数十年でこんなに広がるなんて!


伊澤: な!でもな、この後、アリーが暗殺されたことで、ある大きなもめ事が起きるんだ!それが、また今後のイスラム世界の歴史を大きく動かすんだが…それはまた次回だ!


富澤: 早く聞きたい!


聖地と軍営都市

伊澤: (黒板の地図を指さす。視聴者には「頭の中の地図」を想像してもらう)今回見てもらった正統カリフ時代の領域は、エジプトからイラン、そしてトルコの一部まで広がってたイメージだ!


富澤: はい!


伊澤: でな、この拡大の時代には「軍営都市」が拠点になったんだ!領土を広げていくから、軍人さんが駐屯する場所がそのまま町としてできていくんだよ!例えば、エジプトの「フスタート」(後のカイロ)とか、イラクの「バスラ」とか「クーファ」とかがそうだな!


富澤: なるほど!兵士の街ってことですね!


伊澤: そうだ!そして、イスラム教には「三つの聖地」があるんだ!第一の聖地は、さっき言ったメッカの「カーバ神殿」だ!あの黒い立方体の建物で、みんなが周りをぐるぐる回るんだよ!


富澤: (体を回す)こうやって回るんすね!


伊澤: 第二の聖地は、ムハンマドが逃げてきたメディナにある「預言者のモスク」だ!ここにはムハンマドのお墓があるんだぞ!


富澤: メディナにお墓が!


伊澤: そして第三の聖地が「エルサレムの岩のドーム」だ!これは何で聖地かっていうと、伝説では、ムハンマドがこの岩の上に座ってたら、天使ガブリエルが迎えに来て、上にいるアラーと会話したっていう逸話が残ってるんだ!


富澤: スゲェ!


伊澤: な!イスラム教徒じゃないと入れない場所も多いんだが、いつか俺もイスラム教徒になったら、中に入って写真撮って、みんなにグッドボタンもらいてぇな!


富澤: (笑いながら)そうっすね!


伊澤: よし!じゃあ、今回はここまでだ!次回はさらにイスラム世界が大きくなるぞ!待ってろよ!


富澤: ありがとうございましたー!


伊澤: どうもー!

(二礼三拍手)

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