2.百日紅・デイジー班 / “対地底族省ビル” inテッセラ大陸の首都・ラダ①_2
3人の少年少女の姿が、それぞれの名前とともに空いた空間に浮かび上がる。
茶髪のマッシュルームカットにテラードジャケットの上品な少年、”朝顔”。
全身真っ赤のスウェットに黒髪のセミロングヘア、ソバカスに自信に満ちた笑みを浮かべる少女、”カルミア”。
人が入ほど大きなチェロケースを抱える、Tシャツと短パン姿の爽やかなスポーツマン、”リンネ”。
「この中にね、対天空省で一番銃撃と体術長けた子がいるの。奇襲攻撃も対多数の乱闘も、1人で簡単に秒殺するんだって」デイジーがニコニコと笑う。「他の2人は、全然みたいだけど」
「このスポーツマンみたいなやつが強いの?」マンガを読んでいた小柄な坊主の少年が顔を上げて、リンネを指差す。「ガタイが良いってずるいよな」
「お坊っちゃんみたいな方じゃない? マンガだと、いかにもインテリっぽいのが最強だったりする」百日紅が頬杖をついて、映像を見入る。「多かれ少なかれ、若者にはそういう願望があるんだよ。能ある鷹は爪を隠す、的な」
「それがね! 意外とこの女の子が最強なの」デイジーが、全身真っ赤のカルミアを指差す。「身軽で反射神経が良くて、それでいて狡猾。戦闘センスが抜群で、壁を跳ねるように飛び回りながら、2丁拳銃で相手を撃ち落とす。真っ赤なスウェットを着てるのは、返り血を吸っても目立たないからなんだって」
「へえ! 1人で男の子を2人も守れちゃうって最高。現代的な少女漫画みたい!」三つ編みの少女が身を乗り出して3人の映像を見つめる。「私も銃のレッスン受けようかなー」
「俺も強い女大好き」坊主の少年が顔を上げ、コーラをのみながらへらへら笑う。
「でも、1人だけ強くても意味がない」百日紅が納得出来ない様子で、盛り上がる会話をやんわりと遮る。パーマのかかったピンクの髪を指でいじりながら、緩やかに首を振る。
「そんなに情報が漏れてるなら、敵はまずその女の子を狙う。終わり次第、ほかの2人をゆっくり仕留める」
「そうだねえ。データを見る限り男の子たちは賢いみたいだけど、戦闘能力は平均以下だからなあ」
デイジーがあくびをし、腕時計を操作して調査報告を確認する。百日紅が無表情で話を続ける。
「今日の戦争は情報戦だ。こちらの手の内がばれれば、長所も戦力も台無しになり得る。残念だけれど・・・」
デイジーが手鏡をスワイプしながら、肩を竦めて微笑む。
「うん! 女の子が奇襲でダウンしちゃったら、道連れできっと死んじゃうね。男の子たちはイケメンなのに、本当にもったいない」
新しいキャラクターの登場ってわくわくしますよね。
未知の展開を想像して胸が踊る。