蜂蜜
"宝石店を襲撃後、いまだ足どりの つかめない三人組の強盗ですが、当局の関係者によりますと、商店街の防犯カメラの映像から、以前 国外 退去 処分となったドラコ人 である可能性が高いとの──"
<お嬢……。>
<ひぃさま……。>
「……うん。へーき──
へーき、だから……。」
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暗い部屋。
黒ずくめの三人組が壁に向かって ひざまづいている。
"よく やった。予定では、彼らには警官隊との銃撃戦後に死んでもらう手はず だったが……
なんにせよ、これで外国人 排斥の気運も高まろう。"
「──え?!
……あ、あのぅ……
彼らは、死ぬ予定だったのでしょうか?」
"いや、あくまで '偽装 死' だ──。
裏の世界は、そうした情報が漏れるのが早い……。"
"すねにキズ持つ者 同士、ふだんは お互い口外 無用だが、ヘタに使い捨てにすると、背信 行為への糾糾弾と言う名目で タレこむ輩も出てくる……。
貴様らも、安心するが良い。"
「は、はい……。」
"ただし!
──裏切らん限りだがな?"
「そ……それは、もう!」
"なには ともあれ、ご苦労だった。
すでに我々の息のかかったマスコミと工作員が、ネット上で世論を操作中だ。"
"明日 開かれる議会では、我らを票田とする政治屋どもが外国人 排斥 法案を提出する。"
「……。」
"港の五番 倉庫に報酬の現金が用意してある。半分を彼らに渡し、第3ポートに連れていってやれ。密出国用のクルーザーを係留してある。"
残り半分は、おまえたちの取り分だ。"
「ハッ! ありがとうございます!」