表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隻眼の勇者  作者: 火神ツバメ
6/9

第六話 ナナセ

登場人物

主人公

マックアレクサス(男) 左目が生まれつき見えない

ナナセ(女) アレクサスの幼なじみ片目に眼帯をしている

ハック(男) 騎士養成学校の生徒1A 

マロン(女) 騎士養成学校の生徒1A 獣人族

ユースレイドユースティア(女) ユースレイド国の国王の娘

ミア(女) ユースティアの専属のメイド

ドルトムントカリオン(男) 騎士養成学校の生徒1B

アンナ(女) 騎士養成学校の生徒1C ニイナの双子の姉

ニイナ(女) 騎士養成学校の生徒1C アンナの双子の妹

マルク(男) カルハバーム騎士養成学校の教員。騎士を辞め教員になった。

キャロル(女) カルハバーム騎士養成学校の教員

ベッジ(男) カルハバーム騎士養成学校の教員

ユースレイドランバルド(男) ユースレイド国の国王

ユースレイドオルケシア(男) ユースティアの兄

ユースレイドシャルロット(女) ユースティアの母

闘技大会後慰労会が開かれることになった。

全員体育館に移動した。

体育館には既にさまざまな料理がテーブルに置かれておりバイキング形式で楽しむようになっていた。

キャロル「はーい。皆さん今日はお疲れ様でした。好きなだけ料理を食べてまた明日から一瞬に頑張っていきましょう。」


アレクサス「よーし!食べるぞ。」


ハック「どれも美味そうだな。」


マロン「あっコレ美味しいよ。」


ミア「ユースティア様。お疲れ様でした。料理をお持ちしました。」


ユースティア「ありがとう。頂くわ。」


ハック「改めて優勝おめでとう。アレクサス。」


アレクサス「あぁ。ありがとうな。」


ユースティア「おめでとう。」


マロン「皆凄かったよ。」


ハック「マロンも凄かったぜ。」


ユースティア「今回の闘技大会で改善点が見えたから速く練習がしたいわ。」


マロン「流石ですね。ボクはしばらく休みたいかな。もうクタクタだよ。」


ハック「俺も。」


アレクサス「ちょっとトイレ行ってくるわ。」


アレクサスはトイレに向かった。

トイレから出たアレクサスは体育館に戻った。

その途中で階段を昇っていくナナセの姿を見つけた。


アレクサス「ナナセ?なんで上に。」


ユースティア「アレクサス?どうしたの?」


アレクサス「ユースティアか。いや、今ナナセが階段を昇っていくのが見えたんだよな。」


ユースティア「ナナセが?なんで上に?」


アレクサス「分からないけどちょっと様子を見に行ってみるわ。」


ユースティア「私も行くわ。」


アレクサスとユースティアも階段を昇っていくと屋上に行くのが見えた。付いていくと屋上にもう一人いるのに気付いた。


ユースティア「父上?何故父上とナナセが。」


アレクサス「俺達も行くか?」


ユースティア「いえ、ちょっと様子を見ましょう。」


アレクサス「分かった。」


アレクサスとユースティアは屋上の入口で2人の様子をこっそりと見守ることにした。


ランバルドはお付きの兵士にしばらく席を外すと言って1人で学校の屋上に来ていた。

しばらくしてある人物が姿を現す。


ランバルド「私をここに呼んだのは君かな。確かナナセ君だったかな。」


ナナセ「はい。キャロル先生に頼んで私が手紙を国王に渡して欲しいと頼みました。わざわざ来て頂いてありがとうございます。」


ランバルド「して、私になんの用かな?」


ナナセ「国王には私の想いを受け止めて頂きたく存じます。」


ランバルド「想い?」


ナナセ「はい。コレが我の想いだ。」


ナナセはランバルドに向けてダガーを突き刺した。

ダガーはランバルドの胸に突き刺さった。


ランバルド「ぐふっ。」


ユースティア「父上!」


ユースティアはランバルドの元に駆け寄るが見えない壁にぶつかって先に進めない。


ユースティア「何これは。」


アレクサス「何だ?見えない壁がある。」


?「それは結界ですよ。今の貴方達では我々の魔法の障壁を破ることは出来ないでしょう。」


?「あらあら見つかっちゃったか。」


?「しょうがないね。」


アレクサス「キャロル先生にアンナとニイナ。なんでお前達が。」


ユースティア「今すぐこの結界を外しなさい。」


キャロル「それは出来ないわね。」


アンナ「悪いけど、今良いところだからしばらくそこで大人しくしていて貰おうか。」


ナナセはランバルドからダガーを抜き一歩下がる。

ナナセ「クフフ。どうだ?娘からの想いわ。」


ランバルドは膝を地面につけナナセの方を見る。


ランバルド「貴様は何者だ?」


ナナセ「ん?我は貴様と貴様が勇者だった頃の仲間の女騎士の隠し子のナナセだ。貴様も知っていたのであろう?だから、わざわざこんな場所に1人で来て娘からの攻撃もかわさなかったのだろう?貴様なら見えていた筈だ。貴様のスキル サキヨミの能力なら少し先の未来を見ることが出来る。そのため我からの攻撃をかわすなど造作もないこと。だが貴様は避けなかった。嫌避けれなかった。娘からの攻撃だからな。」


ランバルド「貴様はそこまでわかっていて私に攻撃したのか。貴様何者だ?」


ナナセ「クフフ。我の名はヴァルハートメルティ。貴様に殺された元三大魔王の1人だ。」


ランバルド「ヴァルハートメルティだと。馬鹿な。奴は確かに私が殺した筈だ。」


メルティ「そのとおり、我は貴様が勇者だった頃に殺された。しかし我には魔王スキルの転生があったのだ。このスキルは我が死んだ時に我の近くにいた胎児に我の魂を憑依させるという能力である。あの時に我の近くには貴様の仲間だった女騎士のお腹に貴様と女騎士の子供がいたのだ。」


メルティ「貴様は勇者の時に女騎士のことを愛していたのだろう。しかし貴様は我を倒した功績が認められ国王になり別の貴族の女と結ばれた。その後女騎士は自ら姿を消し故郷の村で子供を産むが死んでしまう。その後ナナセは孤児院に預けられ今日に至る。」


ランバルド「私が国王になった後に部下から女騎士のことを聞いていた。女騎士が死に子供を産んでいたことも。その子供が私の子供であることも。だが、私には既に家族がいた。だから、どうすることも出来なかったが様子を部下に見させていた。だから、今日ここに呼ばれた時に私は全てを受け入れようと思っていたが、まさかその想いを利用されようとは。」


メルティ「我自身もまさか復活までにここまで時間がかかるとは思わなかったがな。まだ僅かに我の中にナナセがおるが我が真の力を取り戻し魔王となればこの身体は完全に我のものとなる。」


ランバルド「そんなことはさせん。」


ランバルドは立ち上がり剣を取り出す。


メルティ「貴様に我がナナセが斬れるのか?」


ランバルド「舐めるな。貴様などにその子を好きにさせるか。」


メルティ「クフフ。良いだらう。ならば我の手で貴様に死を与えよう。」


ランバルドとメルティは対峙する。

ランバルドは剣を上にあげる。

メルティはランバルドに斬りかかる。

ランバルドは迫りくるメルティに斬りかかろうとした時に違和感を覚える。

ランバルドのスキル。サキヨミが発動しないのだ。

メルティはランバルドの攻撃を避けランバルドの後ろに周り首元にダガーを突き刺す。


メルティ「クフフ。何故サキヨミが発動しないのか不思議なようだな。冥土の土産に教えてやろう。貴様のサキヨミのスキルはナナセのスキル強奪により先程我が奪ったのだ。」


そういうとメルティは眼帯を外した。その眼には魔眼が宿っていた。


ランバルド「まさか、魔眼持ちだったのか。しかもスキルが覚醒していたとは。」


アレクサス「魔眼?ナナセは魔眼持ちだったのか。だけど、どうして隠してたんだ。」


メルティ「この娘の気持ちを察するに自分の眼の色が片方違うことで不気味がられ嫌われたくなくて隠していたようだな。後で魔眼のことを知ったが今更眼帯を外せなくなってしまったようだな。」


メルティ「それではランバルド約束通り貴様に死を与えよう。娘に殺されるのなら本望であろう?」


ランバルド「すまん。皆。ナナセ。すまなかった。助けることが出来なかった。」


メルティ「さらばだ。ランバルド。」


メルティはランバルドの首を切った。

ランバルドはその場に倒れる。


ユースティア「父上!父上!」


ユースティアは何度も結界を叩く。


?「何事だ〜。」


キャロル「メルティ様。増援が来ます。そろそろ退き際かと。」


メルティ「うむ。分かった。では、さらばだ。」


メルティとキャロル、アンナとニイナはキャロルの転移魔法で転移した。

その瞬間結界が消えユースティアはランバルドに駆け寄るが既に息はなかった。

しばらくして国王のお付きの兵士とマルク達がやってきた。

マルク「なっ。一体何が。とりあえず国王を移動させるぞ。慰労会は終わりだ。」


その後アレクサス以外の生徒達は寮や家に帰させられた。

アレクサスはマルクに屋上での出来事を全て話した。


マルク「そうか。話してくれてありがとうな。お前も辛いだろうが今は寮に戻り待機せよ。しばらくは学校も休みになるだろう。」


アレクサス「わかりました。」


アレクサスはマルクに説明を終えると寮に向かった。

寮に戻る途中にハックとマロンがいた。


ハック「大丈夫か。アレクサス。」


アレクサス「あぁ。お前らにも教えておく必要があるよな。」


アレクサスは2人にも屋上であった出来事を話した。


ハック「そんなことがあったのか。」


マロン「そんな、どうしてナナセが。」


アレクサス「とりあえず、今日のところは休もう。」


ハック「そうだな。」


マロン「うん。」


アレクサス達はその日は休むことにした。

次の日学校からはしばらくの間休校にするという報せが入る。

アレクサスはじっとしていられなく外に走りに出かけた。ハックも付いてこようとしたが1人になりたいと言って出てきた。


アレクサス「ハァハァ。俺は何も知らなかった。1番近くにいたのに。気付いてやれなかった。国王のこともそうだ。側で見ていることしか出来なかった。闘技大会で俺は強くなれたと思っていたけど、俺はまだまだだ。」


しばらくして寮に戻ると寮にはミアがいた。


アレクサス「ミア?どうした?」


ミア「ユースティア様からお手紙をお預かりしました。アレクサス様に渡すようにと。」


アレクサス「俺にユースティアがなんだろう。」


ミア「それでは失礼致します。」


アレクサス「あっ。ユースティアの様子はどうでしたか?」


ミア「昨日はずっと部屋に籠もっていらっしゃいましたが、今日はいろんな資料を読み漁っていらっしゃいました。アレクサス様。」


アレクサス「ん?」


ミア「もしもの時はユースティア様の力になって頂けないでしょうか?」


アレクサス「当然だろ。仲間なんだから。」


ミア「ありがとうございます。それでは失礼致します。」


アレクサスはその場で手紙を読んでみた。

手紙にはヴァルハートメルティの以前の領土の場所を調べ上げたということと、今日の夜にそこに向かってみるということが書かれていた。


アレクサス「まさか1人で行く気か。」


その夜アレクサスはユースティアの館の近くでユースティアが出てくるのを待っていた。

しばらくしてユースティアが現れる。


アレクサス「よぉ。ユースティア。俺も一緒に行くぜ。」


ユースティア「アレクサスならそう言うと思っていました。正直アレクサスに報せるべきか悩みましたが、ナナセの件もありますからね。アレクサスには報せるべきだと思いました。ですが、分かっているのですか?私と共に行くということは命令違反になりますよ。」


アレクサス「ユースティアも覚悟を決めてるんだろ?それなら俺も行くさ。それにナナセを取り戻すには今しかない。メルティが力を取り戻したらもうナナセを取り戻せなくなるかもしれないからな。」


ユースティア「分かったわ。それじゃあ行きましょうか。」


ハック「ちょっと待てよ。俺達も行くぜ。」


マロン「ナナセはボクの友達なんだ。助けに行かなくちゃ。」


アレクサス「お前ら付いてきてたのか。」


ユースティア「言っても無駄みたいね。それじゃあ行きましょうか。」


ハック「それで何処に向かうんだ?」


ユースティア「ユースレイド家にあった書物の資料によるとヴァルハートメルティの魔大陸の領土が書いてあったわ。恐らくそこにメルティ達はいると思う。」


マロン「魔大陸か。初めて行く。」


ユースティア「魔大陸には魔物も普通にいるから慎重に行きましょう。」


アレクサス達はナナセを取り戻す為メルティがいると思われるメルティの領土に向かった。


それから数日後にアレクサス達がユースレイド国

から出たという報せを聞くマルク先生。


マルク「そうか。現在はユースレイド国自体が不安定な状況だ。魔族達がいつ攻めてくるともわからん。その為すぐには救援は出せん。アイツらも覚悟の上だろう。無事を願うしかない。」


そのころアレクサス達メルティの領土に向かっていた。

メルティの領土はユースレイド国から近くにあり既にメルティが魔王の座から退いてからは無法地帯となっていた。


アレクサス「村らしき所に着いたが誰もいないな。」


ユースティア「元はメルティの領土だったが今は誰の領土でもないらしい。」


マロン「ようやくメルティの領土に入ったんだね。」


ハック「もうすぐか。気を引き締めよう。」


ユースティア「この先にある城に恐らくメルティ達がいると思う。」


アレクサス「分かった。じゃあ行こう。あっちが戦力を整える前に。」


ユースティア「分かったわ。行きましょう。」


アレクサス達はメルティの城に侵入した。


キャロル「メルティ様。城に張り巡らせていた魔法探知で、何者かが侵入してきたと思われますが、いかが致しましょう?」


メルティ「人間か?お前達に任せる。」


キャロル「了解しました。それではアンナにニイナ。行きますよ。」


アンナ「はいはーい。」


ニイナ「行きますか。」


アレクサス「誰も居ないな。」


ユースティア「アチラもまだ戻ってきたばかりで兵力を増やせていないのかもしれないわね。」


ハック「静か過ぎて怖いぜ。」


マロン「緊張してきた。」


キャロル「侵入者は貴方達でしたか。ナナセさんを助けにでも来ましたか?」


アレクサス「キャロル先生。ナナセは何処ですか?」


キャロル「まだ私を先生と呼びますか。アレクサス君らしいですね。ナナセさん。メルティ様ならこの先に居ますがここを通すわけにはいきません。」


アンナ「私達を倒さないと通れないよ。」


ニイナ「通れない。通れない。」


ユースティア「分かりました。キャロルの相手は私がします。アンナとニイナをハック、マロンに頼んでもいいですか?」


ハック「任せてくれ。アイツらには説教しなくちゃな。」


マロン「任せてよ。」


ユースティア「アレクサス。ナナセは任せますよ。相手は元魔王。消して油断してはいけませんよ。」


アレクサス「分かってる。それじゃあ、そっちは任せた。」


アレクサスは走り抜けて行った。


キャロル「良かったのですか?本当は貴方が仇を討ちたかったのではありませんか?ユースティア。」


ユースティア「勘違いしないでください。私達はナナセを取り戻しに来たのです。」


アンナ「お気楽だね。もうナナセはいないんだよ。見たでしょ?」


ハック「そんなことでアレクサスが俺達が諦めるわけないだろ。」


ニイナ「そっか。ならここで死んで。メルティ様は魔王に返り咲き天下を取るんだから。」


マロン「そうはいきません。ボク達が阻止してみせます。」


キャロル「話はそれぐらいにして始めましょうか。」


アンナ「君達に私達のスキルを見せてあげよう。」


ニイナ「見せよう。見せよう。」


ハック「魔眼持ちなのは知ってたがスキルが覚醒していたとは。」


アンナ「スキル創造。」


アンナは地面に触れると地面から土の人形が3体現れた。


アンナ「私のスキルは無機物に触れることで私の姿をした人形を3体まで召喚できる。」


ニイナ「そして私のスキルは分配。私の力を他の人に分配し操る能力。」


アンナ「私の能力とニイナの能力があればこんなことも出来るのさ。」


ニイナはアンナが召喚した人形に自分の力を分け与え人形達はハックとマロンに向かってきた。


ハック「マジかよ。」


マロン「そんな一気に戦力が増えた。」


ハックとマロンは3体のアンナの人形の相手をするがダメージを受けてしまう。


アンナ「3体相手に手一杯だけど私達もいるのを忘れちゃ駄目だよ。」


アンナは3体の人形相手に出来た隙にハックに攻撃を仕掛ける。


ハック「ぐはっ。」


マロン「ハック!」


ニイナ「他人の心配より自分の心配をしたほうがいいわよ。」


マロンはアンナの人形達の攻撃をくらう。


マロン「うわぁ。」


アンナ「どうする?諦めて帰る?まぁ帰さないけどね。」


マロン「凍てつく氷の紋章。アイスアロー!」


マロンが放った氷の魔法はアンナの人形達にヒットする。


ハック「砕けろ人形!」


ハックはハンマーで動かなくなった人形を破壊した。


アンナ「やるね。でも人形なんてまた作ればいいのさ。」


アンナは再びスキル創造により人形を作り出した。

そしてニイナのスキル分配によりまた人形が動き出す。


マロン「ハック。ボクの作戦に乗ってくれないか?」


ハック「どんな作戦だ?」


マロン「ボクがハックの下から土の魔法で壁をつくるから壁の上からニイナに向かってハンマーを振りかざして欲しい。」


ハック「分かったけど、かわされないか?」


マロン「大丈夫だと思う。ボクを信じて。」


ハック「分かった。信じるぞ。」


マロン「行くよ。変動する大地の紋章。ドムアース!」


ハックの下から土の壁が迫り上がり壁の上からニイナに向けてハンマーを振りかざす。


アンナ「なんのつもり?そんな所からじゃ届かないぞ?」


マロン「このままじゃね。でもボクが今さっき覚醒したスキル巨大化で巨大化させたらどうかな?」


マロンはハックのハンマーをスキルで巨大化させた。

ハック「うぉー。」


アンナ「なっ。」


ニイナ「いや〜。」


ドスン。


ハックの巨大化したハンマーがアンナとニイナにヒットし2人は気絶した。


マロン「ふ〜。上手くいったね。」


ハック「あぁ。なんとかなったな。」


一方キャロルとユースティアも対峙していた。

ユースティアはキャロルに向かって行く。


キャロル「おっと。それ以上近寄らないでね。」


キャロルは魔法障壁を発動させた。


ユースティア「また結界か。でも前回と違い貴方1人で作った結界なら壊せますよ。」


キャロル「そうかもね。少しの間時間を稼げれば十分なのよ。私のスキル悪夢の能力を使えればね。このスキルは対象者と正面から目を合わせる必要があるのよね。」


そう言うとユースティアはその場で眠ってしまった。


キャロル「おやすみ。そしてサヨウナラ。」


ミア「ユースティア様。ユースティア様。起きて下さい。朝ですよ。」


ユースティア「ん?あれここは私の家?」


ミア「おはようございます。ユースティア様。朝食が出来てます。皆様もお待ちですよ。」


ユースティア「分かったわ。」


ユースティアは下に降りて食事をすることにした。


オルケシア「ユースティアが寝坊とは珍しいな。」


ユースティア「兄上。おはようございます。すみません。遅れてしまいました。」


ランバルド「そう言うオルケシアも先程起きてきたんだがな。」


オルケシア「父上。それはナイショだって言ったじゃないですか。」


ランバルド「そうだったか。すまん。すまん。」


オルケシア「母上からも何か言って下さい。」


シャルロット「あらあらどうしましょう。」


ランバルド「さぁ皆集まったのだ。朝食を頂こうじゃないか。」


オルケシア「うん。」


シャルロット「えぇ。あらユースティア。どうしたの?」


ユースティア「えっ。あれ。なんで涙が。」


シャルロットはユースティアに近付きユースティアの頭を優しく撫でる


シャルロット「よしよし。怖い夢でも見たのかしらね。もう大丈夫よ。」


ユースティア「ありがとうございます。もう大丈夫です。」


シャルロット「そう?ならいいけど。」


ランバルド「それじゃあ改めていただきます。」


皆「いただきます。」


ランバルド「2人は今日は何をするんだ?」


オルケシア「朝はユースティアに剣を教える約束なんだよな。なぁユースティア。」


ユースティア「はい。お願いします。」


シャルロット「お昼からは私と勉強よね。2人共。」


オルケシア「あ〜。ごめん。母上。お昼から友達と遊ぶ約束しちゃった。」


シャルロット「あらあらそうなの?それじゃあユースティアと2人で勉強しましょうね。」


ユースティア「はい。」


朝食後


オルケシア「そこでこうだ!分かったか?」


ユースティア「はい。やってみます。はっ!」


オルケシア「いいぞ。じゃあ次は…。」


一通り練習をして休憩することに。


オルケシア「大分良くなってきたな。」


ユースティア「ありがとうございます。」


オルケシア「なぁ。改めてだけどどうしても騎士を目指すのか?」


ユースティア「はい。私も父上のような騎士になって皆を守りたいのです。」


オルケシア「そうか。じゃあユースティアが皆を守るなら俺はユースティアを守ろう。」


ユースティア「えっ。私をですか。」


オルケシア「妹を助けるのが兄の役目だからな。」


その後しばらくしてお昼になりシャルロットの部屋に向かった。


ユースティア「失礼します。」


シャルロット「あらいらっしゃい。それじゃあ昨日の続きから始めましょうか。」


ユースティア「はい。」


しばらく勉強をして休憩の時間になった。


シャルロット「ユースティアは勉強も剣術も頑張ってて偉いわね。」


ユースティア「いえ、どちらもまだまだです。」


シャルロット「ユースティア。いらっしゃい。」


ユースティア「はい。」


ユースティアはシャルロットの側にいきシャルロットに頭を撫でられる。


シャルロット「よしよし。ユースティアはいい子ね。」


ユースティアはこんな日々がずっと続けばいいなと思った。

だが、ふと目を閉じるとアレクサス達の顔がよぎった。

ユースティア「アレクサス。」


シャルロット「ん?どうしたの?」


ユースティア「母上。すみません。私は行かなくちゃ。」


シャルロット「そうなの?晩御飯までには帰ってくるのよ。」


ユースティア「はい。母上。大好きです。」


シャルロット「あらあら私も大好きよ。」


ユースティアは涙を拭い館から出ていく。

そして目が覚めた。


キャロル「まさか悪夢から目を覚ますとは。」


ユースティア「覚悟はいいな?スターラッシュ!」


キャロル「フフッ私もここまでのようね。申し訳ございません。メルティ様。」


その頃アレクサスはメルティの目の前まで来ていた。


メルティ「よく来たな。アレクサス。どうだ?我の仲間にならぬか?さすれば他の仲間も見逃してやるぞ。」


アレクサス「俺は仲間を信じてる。だから、仲間にはならない。」


メルティ「そうか。なら仕方ないな。ここで死に魔王になるための礎となれ。」


アレクサス「ナナセから出ていけ!ヴァルハートメルティ!」


アレクサスはメルティに攻撃を仕掛けるが寸前で手が止まる。


メルティ「どうした?何故手を止める?」


アレクサス「くっ。」


メルティ「クフフ。見えていたぞ。ランバルドから奪ったスキル。サキヨミでな。貴様は我にナナセに攻撃することが出来ない未来がな。」


アレクサス「くっ。舐めるな!」


アレクサスはもう一度攻撃をするが手が止まってしまう。


メルティ「クフフ。貴様には斬れんさ。さてそれではコチラから行くぞ。」


メルティはアレクサスに攻撃を仕掛ける。


アレクサスは必死に防御するがメルティの攻撃がアレクサスにダメージを与える。


メルティ「クフフ。いつまでもつかな?」


アレクサス「ハァハァ。クソ。」


メルティ「終わらせるぞ。アレクサス!」


アレクサス「くっ。」


メルティはサキヨミのスキルでアレクサスの動きを読みアレクサスの隙に攻撃する。

攻撃が当たる瞬間メルティの動きが止まる。


メルティ「くっ。身体が動かん。貴様の仕業かナナセ!」


ナナセ「アレク。今のうちだ。私をメルティをやるんだ。」


アレクサス「ナナセ!ナナセ自分の身体を取り戻すんだ!」


ナナセ「ごめん。私に出来るのはメルティの動きを少しの間止めることしか出来ないんだ。頼む。アレク。君にしか頼めない。私を殺してくれ。」


アレクサス「なっ。そんな。他に方法はないのか?」


ナナセ「ない。今メルティを殺さなければ私の人格は消され完全にメルティに乗っ取られてしまう。そうなればもうアレクを助けられない。だから、アレク。頼む。私を助けてくれないか?君の剣で私を殺してくれ。」


メルティ「クフフ。コイツには無理さ。我に攻撃すら出来ないコイツにはな。」


ナナセ「大丈夫。私は知っているよ。アレクの強さを。」


アレクサス「分かった。ナナセ。行くぞ!」


アレクサスはメルティに向けて剣を向ける


メルティ「待て考え直せ!やめろ!」


アレクサスはメルティの胸に剣を刺した。


メルティ「ぐふっ。おのれ。この我がこんな小僧にやられるとは。ようやく復讐を果たしこれからだったというのに。」


ナナセ「ありがとう。アレク。ごめんね。こんなことを君に頼んでしまって。」


アレクサス「謝るなら俺のほうだ。結局お前を助けられなかった。」


ナナセ「アレクは私をメルティから救ってくれたじゃないか。ありがとう。アレク。君に出会えて私は幸せだった。」


アレクサス「ナナセ。俺こそありがとう。」


ナナセはアレクサスの腕の中で生涯を終えた。


その後アレクサスは皆と合流しナナセのことを説明した。


ハック「そうか。ナナセは救われたんだな。」


マロン「うん。うん。」


ユースティア「そうね。メルティから救うことが出来た。それじゃあ帰ろうか。」


アレクサス「あぁ。」


アレクサス達はユースレイド国に戻った。


カルハバーム騎士養成学校に戻ったアレクサス達をマルク先生が待ち構えていた。


マルク「全員よく戻ったな。あったことを説明してもらう。コチラに付いてきなさい。」


アレクサス達はマルクに付いていきマルクに全てを話した。


マルク「そうか。とりあえずは良くやった。大変だったな。だが、命令違反をしたのは確かだ。しばらくの間は自宅もしくは寮で謹慎とする。以上だ。」


アレクサス達はその場で解散することになった。


アレクサス「俺は寮に戻る前に故郷の村に一旦戻るわ。ナナセのことを孤児院の先生に報告しないと。」


ユースティア「分かったわ。」


アレクサス「それじゃあな。」


アレクサスは故郷の村に戻った。


それから数ヶ月経ちカルハバーム騎士養成学校が再開されることになった。

生徒達は久しぶりに学校に来ていた。

だがそこにアレクサスの姿は無かった。

朝礼後ユースティアとハックとマロンはマルクに呼ばれていた。

マルク「お前達を呼んだのはお前達宛にアレクサスから手紙が届いていてな。それを渡そうと思ってな。」


ハック「アレクサスから手紙。」


ユースティア「なんでわざわざ。」


マロン「アレクサスは今何処にいるんですか?」


マルク「手紙に書いてあるんじゃないか?」


ユースティア達は手紙を読んだ。


突然だが俺はカルハバーム騎士養成学校を辞めようと思う。

今回の件で俺は騎士になる前にもっと世界を知るべきだと思った。だから俺は学校を辞めていろんな所に旅に出かけようと思う。

皆には直接話せなくて悪い。

だけど、俺の分まで立派な騎士を目指してくれ。

またいつか会えるのを楽しみにしてるぜ。

アレクサス。


マルク「アレクサスは学校が再開される少し前に来て学校を辞めたいということとその手紙を置いて行った。学校側としてはアレクサスの退学届を受理した。」


ハック「全くアイツはしょうがないやつだ。こうなったら次にアイツに会うまでに立派な騎士になってやる。」


マロン「うん。そうだね。次に会う時に恥ずかしくないようにしなくちゃね。」


ユースティア「アレクサスが決めたことならそれを尊重しましょう。」


ユースティア達は騎士学校でアレクサスは旅に出ていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ