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蒼空

作者: あの蒼空が見たい

たまにはそうした事があります。


あの蒼空の先、見てみたかったですねぇ♪


熱でうなされた時に見た夢


感じる寒気のなかで見ていたのは別の景色だった




暑い夏の日、


うだるように汗が流れるようななかで、


ぼくは、窓を全開に開けた自動車の助手席に座っていた



運転席では、


誰かわからないけれど目的地へと向けて、焦った運転をしていて、


曲がりくねる登り坂で、


アクセルを踏みしめる時の、喘ぐようなエンジン音と、


ドアへと押しつけ、引きはがされるようなGを感じていたことが記憶に残っている




運転しているのは誰だろう?


誰かということはもう出てこない



ぼくの相棒だという印象だけは残っている


もしかしたら、あの子だったのかも知れない



後部座席には仲間たちがいて、


やはり誰かは出てこないけれど、


チームの仲間たちだということはわかる




チーム?


何のチームだろう?


なにも出てこない



けれども、何かのイベントか大会か、


それに間に合うための、


なんとか間に合わせるための、


そのギリギリの道のりの途中なのだ



後ろからはそういった、


息を詰めた、緊張した空気が伝わってくる





曲がりくねる山道…


視界が狭まり、先の見通せない道のり…



焦りと、不安と、


待っている出来事への、幾ばくかの期待と、


仲間たちへの、信頼する気持ちと、


一緒にいることの安心と…



曲がりくねる山道を、


自動車は、そんな気持ちを乗せて駆けてゆく




「もうすぐ広い道に出るから」


運転席からかかる声



視線を逸らさずに、


前を見据えたまま、頷きを返す



古びて荒れたアスファルトの山道から、


ハンドルを左へと切り、広い開けた道へと出る




Gを体に感じながら、視界が変わる


新しく舗装されたばかりのアスファルト


新品の、真っ青な色に塗装されたアスファルトの道に、


引かれたばかりの白線の鮮やかな白がまぶしい



そしてそれよりも、


目の前に大きく広がる、


青い、青い蒼空と、


真っ白な入道雲



思わず声が漏れて、


耳には仲間たちの歓声が響いてくる




……そして目が覚めた



見慣れている天井……


冷えてきた部屋の空気を感じて起きてしまったのか…



だんだんと覚醒する意識の中でそんなことを考えつつ、


でも、もう少し夢の続きが見たかったと思った




あの夏の蒼空…


とても美しく…


あの仲間たちと見た蒼空の先、


あの夢の続きはどうだったのだろう?




熱でうなされた夢…



でも、あの蒼空は、


とても、


とても、美しかった…




誰かはわからない仲間たちとの、つかの間の物語


もう戻れない、あの夏の夢を想う




夏の過ぎた今になって、


暑かった頃の、夏の景色に想いを馳せた………

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― 新着の感想 ―
[良い点] >あの仲間たちと見た蒼空の先、 あの夢の続きはどうだったのだろう? んー好きです。 仲間たちと自動車で旅する情景が、頭の中できれいに映像として想起される素敵な詩でした。
[一言] 懐かしい記憶の一部。夢だと動けない感覚があることが多いです。動けないけれど、周りにいる人間との関係性の記憶と風景の感覚。それが残って夢を見ている雰囲気が上手く出ているなぁと思いました。 夢の…
[一言] 情景は緊張感にあふれているのに、不思議と安心感もある。 作者の人となりが伝わってくる、素敵な詩ですね。
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