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78.修羅場2

「そして最後に1つお前に告げるべき事がある」


 従兄様は何かを振り切るように目を閉じて一呼吸置き、告げた。


「フォンデアス公爵家の次期当主として、お前の兄として今、お前の事を見限る。

明日の茶会にお前が出席する必要はない。

挽回の機会もつい今しがたお前自身の手によって破棄された」

「····え····」


 令嬢はただただ呆然とする。


「父上、いや、フォンデアス公爵家当主より次期当主である俺にお前の今後に関しての最終決定権を与えられていたんだ。

グレインビル家には申し訳ないが、どれほど愚かな子供であっても父としては最後まで娘を見捨てられなかった。

だから今後のお前の身の振り方を話した上で一縷の希望に縋って俺がお前を連れて従妹であるアリアチェリーナの元に連れて行く事を黙認したと俺は思っている。

問い詰めても本当の事は言わないだろうけど。

ただ俺がお前を連れてきた理由は見捨てない為でも最初からわかり切った現実に気づかない振りをした為でもない。

王妃主催の茶会というあらゆる目がある所でお前のつまらない見栄と偏見が露呈してフォンデアスの名を汚す前に見捨てる為だ。

お前がどう思おうと俺はフォンデアス公爵家の次期当主なんだよ、クラウディア。

そしてアリアチェリーナ=グレインビルはれっきとしたグレインビル侯爵家の令嬢であり、お前と違って現行でグレインビル領に実利で貢献しているどんな貴族よりも貴族らしい令嬢だ」


 え、いきなりの褒め殺しですか、従兄様。

その顔でそんな風に言われると侯爵令嬢の仮面がニヤついて剥がれそうだ。


「そんな令嬢に対して直接的な実害を与えないにしても、お前はこれ以上ないほど貶める行為を行ってきた。

にも飽き足らず未だに満足な謝罪の1つもできない。

公爵を名乗る一族だからこそ俺達の言葉は剣にもなる。

発言1つが他家に破滅をもたらす事もあるのに、お前は侯爵令嬢に対して何をした。

その自覚も無いまま、いつまで不条理な剣を無様に振るい続けるつもりだ。

これ以上我が公爵家の令嬢としてお前を認め続けるのであれば、俺達もお前と同類となる。

そうなる前に俺は最終決定権によってお前の婚姻をもって公爵家より放逐する」


 え、からの公爵令嬢の放逐ですか、従兄様。

いつもみたいなおちゃらけた雰囲気が一切ないから、本気なんだね。

 

「そ、そんな、こと、認められ····」

「そもそもお前が認める事など必要ない。

姪だからとお前に直接言わないようにしていれば何様なんだろうね、クラウディア。

アリアチェリーナ=グレインビルはグレインビル侯爵である私と侯爵夫人であるミレーネの娘であり、ルナチェリアの妹だと他ならぬ私達家族が認めているんだよ。

血の繋がりなんて関係ないし、そもそもそれならば私とお前は血縁関係にない。

お前こそが私にとっては他人なんだよ」


 とうとう義父様まで直接引導渡しちゃったよ。

そこまで言われたらさすがに顔色も白くなるし、表情なんか抜け落ちて絶句するしかないかあ。

でもそのお顔はちょっと伯父様、ひいては義母様にも通じるお顔だね。


 さてさて、どうしたもんかなあ。

僕的にはレイヤード義兄様に何かしらした事の内容によっては、さっき従兄様に1時間ほどお願いさせた手前助け舟を出してもいいんだよね。

まぁ義兄様にも不快感以外の実害は出してない気がするし、大方家同士の取り決めが発生したのは僕への誹謗中傷を直接うちの家族の誰かに言ったからなんだと思うんだ。


「····あ、わたし、は····」


 今更救いを求めて僕の方を見ても中々の手遅れ具合だよ、公爵令嬢様。

でも未だに謝罪しないあたりに根性を感じるね。


「クラウディア、お前は明日の朝屋敷へ戻り、数日以内に我が分家筋である伯爵家の後妻として嫁げ。

以降は2度とフォンデアス公爵家の名を口にする事は許さない。

もう一度言うけど、これはフォンデアス公爵家の総意だ」


 なんか大昔に見た小説でよくある断罪シーンに見えてきたな。

そういえば昔の僕の幼馴染達が悪役令嬢物とか勘違いヒロイン物のお話好きだったけど、文字で読むのとリアルで目の前でやられるのとだと正直ちょっと····引く。

何か前にもパターン違いの断罪場面に出くわしたような?

いつだったか思い出せないけど、既視感がはんぱない。


 なんて言ってる場合じゃないか。

でも公爵家のお家騒動に口挟めないしなあ····どうしようか、コレ。


 とか思ってる間に義父様の指示で公爵令嬢様は外鍵の付いてる客室に連れて行かれた。


(····空気が重い!!!!)


 しばらくお部屋が静寂に包まれた。

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