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60.見守り隊~レイヤードside1

「やはりお前もきたのか」

「兄上こそ」

「天使のデビューを見ないはずがない」

「ですね」


 僕は商業祭に来てすぐにアリーを見つけた。

アリーの護身用の魔具には位置情報を知らせるような仕込みを入れている。

抜かりはない。


「それにしてもうちの天使は本当に男装しているつもりなのか?

ニーアは何をしていたんだ」

「兄上、アリーの可愛らしさがあの程度で隠せるはずがないでしょう。

アリーは1人で用意すると言って聞かなかったみたいですからニーアもなす術がなかったんです。

それに気付かない所が天使なんですよ」


 アリーはどこかうっかりさんだからね。

何かあったらもちろん僕が助けるけど。

兄上も大きく頷く。


「それもそうだ。

おい、ケルトは近すぎだろう」

「····そうですね。

とりあえず後で雷落としましょうか」

「そうしろ」

「「いや、駄目だ!」」


 やれやれ、ついて来るなら口を挟まないでもらいたい。

どうやら兄上も同じ事を思ったみたいだ。


「勝手について来て口を挟まないで下さい」

「この機会に便乗しない手はないよ。

それにルドばかりずるいじゃないか」

「な、ギディ兄上こそ春に商業祭の申請が回ってきた時点で俺にレイを見張れって····あっ、いや、何でもないぞ、レイ!」


 予想はしていたから、軽く睨むだけにしておく。

にしても仮にもこの国の王太子と王子が護衛を撒いてお忍びとかいいのかな。

それも小さな令嬢を追いかけるって、何してるんだろ。

暇なのかな。

祭りって柄悪いのも犯罪も一定数いたり、あったりするものだけど、知らないよ?


「この国で君達に敵う刺客なんてそうそういないよ。

ちゃんと認識阻害と目眩ましの魔法はかけてるし」

「俺達に即気付かれたでしょうが」


 ホントにね。

近寄るなら自分も気配消す努力しなよ。


「特にルドはもっと緻密に魔力練らないと、僕達が気付く以前にすぐ解けるよ」

「わ、わかっている」

「そうですよ。

俺達がアリー以外を助ける気になるかは保証できませんから」

「王宮魔術師団副団長なんだから、そこは助けてくれてもいいでしょ」

「今日は非番ですから、無理言わないでいただきたい」


 僕の物言いたげな視線に気付いたギディ様には悪いけど、アリーが優先に決まっている。


「ん、何か食欲そそる匂いが····お、アリーが何かに食いついたぞ」

「何だ、あの黄色い獣人は。

アリーを誘っているのか。

凍らせるか」

「バルトス、落ち着くんだ。

うーん、ブランドゥール国の商会から今年初出店したリーじゃないかな?

美味しそうに食べてるね。

西のブースに行くみたいだ」


 ルドって無駄に鼻が良いね。

兄上はギディ様に任せとこう。

てかやっぱり読唇術を使えるんだ。

この前の大会で色々おかしいと思った。

言葉通り、アリーは毎年買ってるカステラを途中で鞄に納めてから目的のブースへ入って行った。


「それにしても、アリーは毎年あんな感じで祭りを楽しんでるのかい?

視察してるみたいで、興味深いなぁ」

「多分去年みたいに物珍しい物を買うに違いない。

レイ、またアリーの試食会してくれ!」

「何を毎年のイベントにしようとしてるのかな。

雷撃するよ?」

「去年この夏までには会えると言った!

もう秋だぞ!

お前達ばかりずるいじゃないか!」

「会わせると言った覚えもないよ。

それに大会の時にルドもアリーを見たんだからいいじゃない。

僕達は兄様なんだから、ずるくない」


 冗談じゃないよ、ルド。

ギディ様までアリーにからむタイミング見計らい始めたじゃないか。


「あれは見ただけだ!

大体、話す間もなく連れ帰ったじゃないか!

俺だって年に1度は兄貴気分を味わいたいんだ!」


 ルド、いくら認識阻害や目眩ましの魔法かけてもそれだけ騒げば意味ないと思うよ。


 あれ、霜?

兄上の周りの温度が物理的に下がって····。


「お前達、煩いぞ。

アリーの声が聞こえん」


 うわ、魔具も無しに風を使ってブースの中を盗聴してる。

今度僕も練習してみよう。


 地獄の番人みたいな声に王族達は黙った。

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