405.第3王子のお願い
誤字脱字報告頂いた方、ありがとうございます。
誤用部分については、かなり多用している部分もあるので、少しずつ修正していこうと思っています。
今後とも宜しくお願い致しますm(_ _)m
「それで?
ザルハード国の第3王子ともあろう方が、何をされたいの?
そもそも現時点でも、ご自分が何をなさったのか、わかっていらして?」
誰に引率されて来てるんだろうかと、心からびっくりしちゃう。
けれどそれよりも、本人の危機感の無さにイラッとしちゃった。
お陰で声の不機嫌さが抑えきれない。
「わかっている。
だけど俺は何も知らぬのだ。
母上や教皇の言いなりで、光の精霊王の加護を受けた選ばれし者だと自惚れて、何もしてこなかった。
どうしたらいいのかもわからない。
だがそれでもコッへを助けたい。
頼む!
共にザルハード国に来てくれ!
母上も、グレインビル侯爵令嬢を連れてくれば助けると、そう仰ったのだ!」
全くわかっていない。
最後の、本来真っ先に話すべき必要な母親情報も、しっかり抜けてて今聞かされたぞ。
突然押しかけてきたザルハード国の第3王子と、見た事ありまくりの熊属の獣人さんと、フードを被っている小柄な何者かを、やっぱりムスッとしながら見やってしまう。
「……そもそも何がどうなってどうしたら、私がザルハード国に行く話になっているのでしょう?
何故ザルハード国の側妃が私を連行しろと?
もしあなた達と行ったとして、私の身の補償はどうされるおつもり?
私、体がとっても弱い魔力0人間なのだと、ご存知ありませんでしたか?
ともすれば息を吸うだけなのに、普通に死にかけるくらいには、虚弱なのですけれど?
その上、昔からどこぞの第3王子やその側近だかお供だかのように、理由もなかったり、あったりしつつも、危害を加えようとする破落戸から、鍛えたどこぞの元将軍や元騎士団長まで、狙われ放題に狙わるし、誘拐やら攻撃やらされて、その度に死にかけているのですが?」
「「うっ……」」
破落戸はもちろんそこの第3王子と、助けて欲しいらしいお供の……名前忘れた誰かで、元騎士団長はそこの熊さんだよ。
一緒に仲良く呻くくらいには、自覚があって良かったけれど、正直ちっとも状況は良くない。
「何の手も打たず、母親に言われるがままここに来て、言われるがまま恥ずかしげもなくお願い事をして、だけど私の身を守る事も約束できない。
それでは助ける理由も、関わる必要すらも感じませんが?」
もちろんお断りだ。
怪しさしかない。
そもそもザルハード国自体が今は内戦が勃発して、内部分裂しかかっている。
「だったら俺がベルヌ=アルディージャの名にかけて誓おう。
必ず嬢ちゃんを守る。
味方にもなる」
「うーん……どういう心境の変化です?
タコパの影響かしら?
またしたくなりまして?」
「それは違う。
旨かったから、また食いたいがな。
口調、いつものに戻さねえか?
調子が狂う」
「んふふー、またタコパしようね。
じゃあ、何で?」
「嬢ちゃんが色々ひっかかる言葉ぶん投げてきてたんだろう。
お陰でそういう目で見りゃ、引っかかりが出てくんだよ。
嬢ちゃんが俺の知らねえ事を知ってんのは、間違いねえ」
「ふーん……」
引っ掛かる事、ねえ。
歪んだ歴史に気づいたのかな?
「お願いです!
それに教会には神の実と呼ばれる果物もあるし、これでも聖女の端くれ!
必ずやグレインビル嬢のお体を丈夫にしてみせます!」
突如フードの人物が立ち上がって駆け寄ろうとして、ベルヌが肩を掴んで引き戻す。
チラッと後方を見れば、僕の出来る専属侍女、ニーアがナイフに手をかけている?!
お、おう、グッジョブ、ベルヌ。
もう少しで僕のできる専属侍女が、殺人事件を起こすところだったよ。
しかも今、聖女って言ったよね。
小柄なのはまだ若い女の子だったからかな。
可愛らしい声だったんだね。
それに何だかこの子……。
「果物ですか。
でも私の体調は放っておいて頂ければ、少しずつ良くなります。
興味はありません」
フードの女の子に本能的な何かがひっかかりつつも、ちょっと従兄様に教えようかなとも思ったりしたけれど、お断りだ。
「そんな……私の命も差し出します!」
「え、それは本当にいらない……」
ここ数年、僕の体調は寛解と増悪を繰り返しながら、少しずつ右肩下がりになっている。
一重に君達みたいな人達が僕を振り回すからだよ?
「どう、すれば……お金……でも私には。
そうだわ!
私の耳と尻尾を毛皮にしてお金を作ってきます!」
バサッとローブを脱ぐと、そこには黄金に匹敵する宝が隠されていた!
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【稀代の悪女と呼ばれた天才魔法師は天才と魔法を淑女の微笑みでひた隠す〜だって無才無能の方が何かとお得でしょ?】
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