表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/491

38.事前準備

「やっと戻ってきたね。

それで、何もされなかったかい?」


 うん、義父様ってば僕が戻った途端にご機嫌で嫌味の先制攻撃だ。

そんなに長く散策はしなかったはずなんだけどな。

王子のお顔が引くついてるけど、まぁいっか。

王族だからって甘やかしてばかりじゃダメだよね。


「何も無かったですよ。

それより、父様とゼストゥウェル殿下と私だけにしていただけませんか?

もちろん護衛の方も外して下さい」

「おや、私は蚊帳の外?

3人だけなんて心配だな」

「いけませんか?」

「後で話せると思った事は話してくれるかい?」

「もちろんです」


 ギディアス様はあらかじめ分かっていたはずだけど、名残惜しそうに撤収する。

そんなに混ざりたがらなくてもいいのに。

僕達をそれぞれ色んな意味で心配してるっていうのもなくはないだろうけど、それよりもあれは単なる好奇心だろうね。


 かくして広いお部屋には僕達3人だけになった。

ひとまず王子には身につけた魔法石の類いを外して座っている長ソファの反対側の端に置くように言うと、やっぱり上着を脱いでいた。

あ、ギディアス様の時もそうだけど、盗聴なんかを防止する為だよ。

どうでもいいけど、このソファ4人くらいがゆったり座れそうだよね。


 王子はギディアス様と違ってまだまだ発展途上な伸び代のある体型だった。

レイヤード義兄様と少し似てるね。


 義父様が僕達を囲むように結界を張って防音、防視、守護の付与を行う。


「それでは、私が叶えて欲しいことを今からしていただきます」

「あぁ、かまわない」


 先日のバルトス義兄様と同じように、義父様がどこからか魔法誓約書を取り出す。


「これから私が話すことを秘匿するとこの魔法誓約書に署名し、真実の名で誓った後に締結の血を注いで下さい。

もし誓約を意図のあるなしに関わらず破れば、その瞬間に心臓が止まります。

念のためお伝えしますが真実の名以外を署名すれば、その時点でわかります」

「····それだけ?」

「それだけですよ?」

「····君、私が嫌い?」

「むしろ好かれる何かがありましたか?」

「···ない」


 古語が読めないとボヤいてから、署名する。

あっちの世界だったら騙されて借金背負わされるタイプなんじゃないかな。

うちの家族だったら自分が読めなければ相手に読ませて内容に誤りがない事を魔法制約でもって証明させるくらいしそうだけど。

自分の命が絡んだ誓約なのに、さっきのお庭で王子として云々言ってた割りに抜けてるよね。


「ゼストゥウェル=ドルマニガ=ザルハードの名において、アリアチェリーナ=グレインビルの秘密を命をとして守る」


 うん、ちゃんと祝福名が入った正式な真名みたいだね。


 彼はそう言うと義父様が手渡したナイフで左手の親指を切って誓約書に血をたらす。

すると前回同様に誓約書が淡く光る。


「誓約を受け入れます」


 僕も同じくナイフで切って血をたらす。

すぐに義父様が傷を癒してくれた。

誓約書の光が消えると義父様はすぐに紙を放り投げて消した。


 ふふふ、これで僕の目は守られた。

どうせバレてるかもしれないのなら、バラされないようにすれば良いだけだもんね。

僕はやっと心の平安を手に入れた。


「それで、何をすれば良い?」


 王子ってば前のめりに積極的だね。

僕はまずは紅茶を一口。


「今の状況を教えて下さいますか。

何も知らず精霊見えてるだろうから手伝え、では何をすれば良いのかわかりませんよ。

あの大会で私達があの場から消えてから時系列で説明して下さい。

それから、お話を伺っても何もお手伝いできないかもしれませんよ?」

「わかっている。

どのみちもう私に打つ手はないのだ」


 そうして思い詰めた顔で何があったか話し始めた。

7/26からホラージャンルの作品を投稿しています。

https://ncode.syosetu.com/n5229hc/

すみません、めっちゃ宣伝です。

夏のホラー2021に乗っかりました。

ヒロインは『【溺愛中】秘密だらけの俺の番~』の関係者ですがそっちを読まなくても問題ありません。

全4話で毎日朝4時投稿(ホントは4:44に投稿したかった)ですが、よろしければ生温い目でご覧下さい。

ホラー話が好きなんですが、最近好みの話が見つからなくて自家発電しようとしましたが自分でお話作るとなると高難度でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ