331.カオス感の収束と計画通り
いつもご覧いただいている皆様、誠に申し訳ございません。
またやらかしていた件ですが、修正しました。
NO.327、329、330、328と並んでいたものを正しい並び順にしましたので、もししおり機能を使ってらっしゃる方はご注意下さい。
こちらの前書きもそのうち消します。
「えーっと、とりあえずセバスチャンは下ろして?
ニーアはジェン様の飲み物も用意して?」
皆スーパーモデルの迫力に驚いたのかな?
足長いから近寄るスピードが早いものね。
あっちで従兄様達はびっくりした様子で全員椅子から腰を浮かしてる。
セバスチャンは僕をお子ちゃま抱っこしたまま下ろす気配がないし、ニーアは僕を抱えたセバスチャンとジェン様の間に立ち塞がってるんだけど?
ニーア····ちょびっと殺気立ってない?
『ダメ!
アリーが襲われちゃう!
逃げて!』
僕のお顔を陣取った闇の精霊さんに、現在進行形で襲われてないかな?
そもそも視界不良で逃げられないよ?
何だろう····カオス感が漂ってる?
って、ダメダメ。
「ジェン様、お疲れ様です。
建築中の温泉施設に溶岩石を急きょ取り入れたんでしょう?
進捗状況の確認と打ち合わせで外出したって聞いてましたけど、もうよろしいの?」
とりあえず皆落ち着いて欲しくて笑顔で話を振ってみる。
闇の精霊さんがお顔にへばりついてるけど、ここにいる大半の人達にはきっと見えてないよね。
王子と向こうのリューイさんはきっと気にしな····あ、あれ?
リューイさんはどうしてか腰の剣に手を添えてる?
え、何事?!
「そうなの。
アリーが寝込んでる間に専門家に分析させたら、素晴らしい効能だったから!
まだ建築途中だったから、間に合って本当に良かったわ。
きっとあの溶岩石、うちの温泉の売りになるわね!
教えてくれてありがとう!」
あれれ?
またまたスーパーモデルのジェン様に幻のお耳様とお尻尾様が見えるぞ。
お父さんの侯爵に生えてたお尻尾様とお耳様と同じだ。
お尻尾様がぶんぶん揺れてるね。
えへへ、可愛いな。
「戻ってアリーの様子を聞いたの。
そうしたら、私のいない間に商会長さん達とあの果実水の事で会談してるらしいって聞いて、返事も待たずに思わず飛び込んでしまったわ。
ほら、あなたの専属侍女さんがうちの厨房で色々用意したみたいだから、それで。
ごめんなさいね」
途端にしゅんとするジェン様、
お耳様とお尻尾様がパタンと項垂れちゃった。
もちろん幻覚だよ。
これはこれて可愛いけど、何だか可哀想になっちゃう。
「ふふふ、とんでもない。
何かと私の体調を気にかけてくれている商会長さん達がご機嫌伺いに来てくれただけです。
ジェン様も気にかけてくれたんですね。
ありがとうございます」
お礼を言うと、ぱあっと表情が明るくなったよ。
「この弾ける果実水は、この冬に皆さんからいただいた成人のお祝いのお返しで送ったものなんです。
皆さんお気に召してくれたみたいなので、ジェン様との火口見学の時のように持参していた物をお出ししたんです。
そのついでに新たに見つけた物をお話のネタにしようとしていただけなのですよ」
「そうだったのね。
早とちりしちゃったわ。
その、新たに見つけた物って、私にも教えてもらえる?」
あれ、また目がギラギラし始めた?
でもひとまず落ち着いてくれたみたいで良かった。
次期当主として領民の未来の為に温泉街計画に心血を注いでいるみたいだもの。
辺境の元紛争領地の令嬢な僕は多少の暴走くらい仕方ないで笑って済ませちゃうよ。
領の平和と発展は大事だよね。
「失礼しました、お嬢様」
こっちも落ち着いたみたいで、セバスチャンが僕をそっと下ろすと、狭くなった視界の端にできる専属侍女が用意しに行くのが映る。
といっても後ろに置いてあった給仕台に、人数が増えたりおかわりしても対応できるように余分に用意してあったのを持ってくるだけだよ。
「シュレジェンナ殿、ひとまずこちらにかけられよ。
ほら、君も」
あ、王子が近寄って来て怪しまれない言い方をしながら、それとなく僕のお顔から闇の精霊さんの服を掴んでひき剥がした。
首根っこ掴まれてぷらんぷらんしてるけど、首絞まらないのかな?
『もう平気?
わかったよ、ゼスト』
うんうん。
もう平気だよ。
闇の精霊さんも首絞まってないみたいで良かったよ。
本当は闇の精霊さんにだけど、王子に頷いたように見せておく。
この2人はまだ契約まではしてないみたいだけど、初めてあった頃とは比べ物にならないくらいに信頼関係ができていってるね。
そろそろちゃんと契約するのかな?
王子も卒業を控えているものね。
彼がここにいるなら、弟王子よりはザルハード国の何かしらの国政に近づけたって事かな?
それともお試し採用?
難民問題と交易は間違いなく絡むよね。
ま、今の僕には関係なさそうだからいっか。
闇の精霊さんは抵抗せずに王子の肩に移り、王子は自然な流れで僕をエスコートして着席させてくれた。
その間に従兄様がジェン様のエスコートにまわり、セバスチャンが予備の椅子をどこかから持ってきてジェン様の席を従兄様と王子の間に設ける。
さらっとやっちゃうあたりが従兄様も貴族っぽいよね。
ニーアはジェン様の着席を待って他の人と同じく2つのコップとケーキの小皿を置いた。
先に食べちゃってた小皿はそのついでに片付けていったから、1人増えてもテーブルの狭さはそこまで気にならない。
「綺麗なケーキに、これは食べられる花?
初めてよ」
そうしてジェン様もここにいる人達と同じような反応を辿っていった。
ふふふ、ちょっと前後したけど計画通りだよ。