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秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中
7章―2

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299.兄の応援〜ギディアスside

「少なくともバルトスと肩を並べるくらいにならないとね。

そして····」


 父王よりも狡猾になって····疑うべきなんだろうね。


 私を食おうとする者で最たる者は父王だ。

長年国王として国を統治してきた()()に敵わないのは仕方ない。

ずっとそう思っていた。

完全に甘えだよ。


 血縁者を疑った時、何故そう思っていたのかと····何ていうんだろう?

ふと思い立った?


 何の疑問にも思わず、ただ父上に敵わないのは仕方ないって思っていた。


 敵わない事を()()()()と思う事がおかしいんだ。


 今は敵わなくとも、なるべく早く敵うようにする方法を考えて動かなければならないと思ってきていたのに、いつの間に····。


 あのバルトスやレイヤードはそうしている。

2人は未だに父親に敵わない。

何せ公爵は古に伝え聞く魔族の王、魔王レベルに強い。


 魔王には会った事も見た事も、本当に存在するのかもわからないけど。

魔族はいるんだから、魔王だっているよね。


 悪魔な2人も強いけど、魔王公爵の強さは揺るがない。


 それでもあの2人は勝つつもりで動いている。


 ルドルフもそうだ。


 今のところ私の足元には及ばないけれど、仕方ないとは思っていない。


 それに私の婚約が決まれば王位継承権を放棄して臣籍に下る。

守られる立場から、何かを守る立場になる以上、今のままでは絶対に駄目なのも確かだ。


 本人もそれがわかったのか、それとも長くグレインビル兄弟や他国の者達と関わったからか、帰国してからの王子教育には以前よりもずっと意欲的に取り組んでいる。


 まあ卒業までに冒険者のA級昇格は····帰国後に色々手伝わせて悪かったけれど、ラストスパートを頑張って欲しいな。

兄は心から応援だけはしているよ。


 でもお陰で学園の卒業試験の方は問題なさそうで良かったよ。

最終学年はその年の年末から卒業までは数回の登校で良しとされているから長期間学園を離れていたのは問題無い。


 もちろんそれまでの学力と試験を優良な成績でクリアしておくのが前提だし、問題があれば補講となって登校を促されるんだけどね。


 ルドルフは1年生の頃から全く問題がなかったから、あのタイミングで外交に出て学園に通わなくても問題なかったんだ。

元々最終学年は卒業後の就職活動に充てる期間と認められているから、この制度を利用して学園から遠ざけた。


 ルドルフも薄々は気づいているだろうけど、その理由までは知らせていない。


 帰国して学園の様子は表向き問題無かったけれど、やはりザルハード国の第3王子は色々と問題があった。


 そこにイグドゥラシャ国の第2王女の影が窺えるけれど、第3王子の異母兄であるゼストゥウェル第1王子のお陰か表面化まではしていない。


「問題はルドルフが卒業してからかな。

対策は一応考えているけれど····ふう」


 うっかりため息が出たけど、ここには誰もいないのだから気にしない。


「アリーが成人するのを待って婚約って方法が実は1番無難だったんだけど、なかなかに難しそうだ」


 結局あれからまともにアリーとは話せずに帰国となった。


 ヒュイルグ国王の双子の兄は死の間際にいたはずだ。

棺桶に片足どころか腰かけて横たわるのを待つくらいには間際に。


 それが棺桶を蹴散らして生還したばかりか、何故か回復していたのには心から驚いた。

帰国する頃には普通に歩いていたし、初めてグレインビル兄妹の寝室から普通に出てきた時は2度見してしまったよ。


 そもそも何故大公が寝室から出てきたのかも意味がわからなかったし。

まさかの兄弟揃ってのロリコンじゃないよね?!て1人で焦ってしまった。

特に大公は既婚者で、奥さんは他国の元王女だったから外交問題にならないかとまで一瞬で考えてしまったのは秘密だ。


 薄情にも弟はその理由を知っていたみたいだけど、目を泳がせても口は割らなかった。

何となく、あの転移に失敗した日が怪しいとにらんでいるんだけど、本人は城のよく知らない所に転移して、たまたま国王と出くわして送ってもらったと言っていた。


 転移の失敗は命にも関わるからこっちは滅茶苦茶心配したのにさ。

少し顔色が悪かったのはそのせいなのか、それとも何かを見たからなのか。


 まあ、絶対アリーが大公に何かしたんだろうし、それを目撃したんだろうね。

仲間外れは寂しいけど、アリーには殺すなんて釘を刺されたから深追いは止めた。


 それにあの日を堺に大公の身代わりになるかのように、アリーの方は著しく体調を崩してしまったんだ。

帰国するまでほぼ毎日白い獣姿で兄達のどちらかの服の中で過ごすから、私も直接話すタイミングを掴めなかったし。


 やけに訪問回数が増えたあのロリ、じゃない、国王と顔を合わせないようにする為もあったみたいだけど。


 それにしても帰国するまで国王はめげなかった。

最後の最後に抱っこをせがんで油断させてからの、とどめの言葉はなかなかにえげつなくて、こっそり風を使って盗み聞きした私も、真横でうっかり聞かせちゃったルドルフも顔が引き攣ってしまったじゃないか。


 うっかり同情しちゃったし。


 それでも彼は諦めない気がする。

何となく。

アリー限定でドMじゃないかな、あの国王。


「強敵揃いだけど、うちの弟はどうするんだろうね?

あの国王はあの子の苛烈さも含めて惚れてるみたいだし、本当に手に入るなら国王の座すらポイ捨てしそうだけど。

いい加減自覚して動かないと、むしろあの子本人が強敵だよ?」


 私には無理だ。

だからアリーを婚約者にとの考えはとっくに打ち捨てている。


 あの子を畏怖した時点で、そう判断した。

自分の手に余るけれど、気になる者は、できれば身近な者に押しつけたい。


「それに、王太子という立場を捨てるつもりのない私には絆されてくれないだろうし」


 アリーの苛烈さに付き合えるのは、少なくともあの子が何かしら絆されている者じゃないと難しいだろうな。


 意識的か無意識的か、ルドルフは王子の立場を捨てるからね。


 アリー、うちの可愛い弟にうまく絆されてくれると兄としても、君の兄を友と慕う私個人としても嬉しいな。

いつもご覧いただいてありがとうございます。

ブクマ、評価はありがたく頂いており、感謝しかありません。

お陰様でそれなりの更新頻度を保てています。

記念すべき300話目はギディアス視点の締めくくりでした。

次も別の人視点になります。

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