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28.魔法技術大会4

昨日時点で累計1万PVを突破しました。

正直1ヵ月たたない内にほぼ初投稿(数週間先に投稿した作品を現在同時進行中)の作品がこんな事になるとは嬉しい予想外です。

ブックマークや評価していただいた方には感謝しっぱなしです。

もうじき投稿して1ヵ月が経つのでその時に改めてお礼の前書きを書くつもりですが、先ずは1万PV突破ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

「私の娘に何か用かい」

「俺の妹に何か用か」


 義父様とバルトス義兄様の声がかぶる。

僕は義父様に縦抱きされ、義兄様は座ったまま足を組んで冷たい目を向けている。

突然僕の前に現れた黒い彼の足元が地面ごと凍りついている。

ついでに僕の愛する2人から立ち上るオーラも凍りついている気がする。

オーラなんか見えないけど。


····どうしてこうなった?


僕は義父様に抱きついて、誰にもわからないようにこっそりため息をついた。


ーーー


 遡ること少し前。

Aブロックの対戦で競技場に隣国の王子とレイヤード義兄様が立った。


 ほくほくと義兄様を眺めていた僕は、何となく王子を見た。

やっぱり彼の後ろに黒い靄が見える?

彼はあの類いの石と、特別な契約をしてるのかな?


「ねぇ、父様、兄様」

「「何かな、アリー?」」

「2人はあの王子殿下の後ろに何か見える?」


 息ぴったりな2人以外には聞こえないよう小さく聞く。

顔を見合わせた2人は改めて彼を見ると首をふった。


「アリーには何が見えてる?」

「んー···黒い靄····あぁ、そっか····」


 バルトス義兄様に答えようとした時、ふと彼の後ろの靄がこちらを見て呟く。


(え、それは····)


 僕は一瞬呆けた顔で靄を凝視してしまった。

数瞬後、義父様に抱え上げられて前述のようにため息をついたのだった。



「何だ?!」

「え、どこから?!」


 保護者席がにわかにざわつく。

闘技場にいたはずのゼストゥウェル=ザルハード第一王子殿下が突然現れたのだ。

先程まで僕がいた席の真正面に立った彼は、凛々しい顔の美少年だ。


「本当に魔力が無い者がいるんだね。

なのに見えているのだろう?

こちらを見てくれないかな」


 うん、絶対に嫌だ。

面倒な臭いしかしない。


「父様ぁ!」


 秘技、怯えた幼子作戦!

義父様の首筋に顔を押し付けてぎゅうぎゅう抱きつく。


「役得だな」

「父上めっ」


 うん、2人して発言がおかしいよ?

義父様にぎゅう返しされるのは嬉しいけどさ。


「大して恐れてもいないようだけど?

ほら、こっちを向いてみて」


 おや、騙されてはくれないみたいだ。

口調は優しげだけど、僕は断固拒否。

ほっとけば僕の素敵で無敵な保護者達が守ってくれるしね。


「ねぇ、君。

さっさと競技場に戻りなよ」


 バチバチィッと何かが弾ける音と、レイヤード義兄様の声が間近に聞こえた。

振り返ると、目の前に白金の後頭部。

弾けたのは王子の足元の氷のようだ。


「アリーは目が腐るから、見なくていいよ」


 あ、レイヤード義兄様ご立腹。

素直に義父様にギューしておこう。


「隣国の王子に対して随分と失礼な物言いだな」

「そもそも失礼なのは君だ。

そして第一に、この学園の生徒でいる間は身分は関係ない。

次に、僕は補佐とはいえ生徒会役員であり、規律を乱す生徒には指導できる立場にある」

「役得だな」

「父上めっ」


 僕にギューされる義父様、義父様を睨み付けてるだろうバルトス義兄様、黙っておこうか。


「ということで、行くよ、新1年生君」

「なっ、体が痺れる?!

うわ、仮にも王子の首根っこを掴むとは····」


 2人の気配が消える。

痺れるって、レイヤード義兄様何の魔具使ったんだろ?


 競技場をチラッと見ると猫のように首根っこを掴まれた王子が放り投げられるところだった。

うん、笑顔できれっきれの義兄様も素敵だよ。


 その後、試合開始の合図と共に義兄様に向かって駆け出そうとした王子の足元に魔方陣が光る。

大きな雷鳴とともに雷が落ちた。

完全なる容赦なき先手必勝だ。


 ····即死レベルの雷だったけど、いいのかな?

一応同時に上級治癒魔法もかけてたけど。


 うつ伏せに倒れた王子は戦闘不能で、すぐに青みがかった銀髪の専属護衛らしき人が治癒魔法をその場でかけている。

うーん、何だろう、あの護衛さんどこかで見た気がする。


 そして義兄様は即棄権を宣言。

詰め寄る審判や教員に何事かを囁くと、全員顔を引きつらせて了承された。

何を言ったのかは怖くて聞けなかった。

知らなくて良い事もあるよね。


「さ、アリー。

僕と帰って約束通りあの魔具を使おう」

「え!喜んで!」


 レイヤード義兄様、わかってる!

今日は犬耳にふさふさ尻尾がいいなぁ。

そのまま義父様からひったくるように僕を抱え上げて自宅に転移した。

もはや僕は大会の結果なんて気にならなかった。

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